封じ込めながら話を進めた
何とか一人でアラクネを倒す事が出来た。
3体の魔物が光に変わって、階層ボスドロップが残った。
アラクネからは魔蜘蛛の糸玉、ドラゴニュートからは竜人の鱗、フェアリーからは魔法の鱗粉がドロップした。
ちゃんとドラゴニュートからは槍と盾も回収してくれているのは、流石はスケさんと言ったところだ。
兎達も大怪我をしながら、キッカは咆哮閃という波動咆哮よりも攻撃範囲は狭いけど、その分一点の威力が高くなるスキル、オウカは蹴り足で浸透勁を撃ち込む震脚というスキルを取得した。
ステータスは少し上がって。
キッカのステータス、体力1300、魔力3900、筋力2600、知力3900、スキル、跳躍、天駆、縮地、衝撃、超音波、波動咆哮、咆哮閃、吸魔、隠密、気配察知、空間収納、魔改造技術。
オウカのステータス、体力2600、魔力2600、筋力3900、知力2600、スキル、跳躍、天駆、縮地、蹴撃、耳斬撃、浸透勁、震脚、聖光撃、隠密、気配察知、空間収納、電脳ネットワーク。
となっている、俺のバフがあって2羽がかりだったとしても、よくフェアリーを倒せたものだ。
スケさんの鑑定視では、フェアリーのステータスは能力値の平均が5000を超えていて、一番高い能力値は8000以上、体力値が1650しかなかったから、その弱点をついて勝利したんだろう。
兎達に治癒魔法をかけてから、浄化で身体を綺麗に整える、ボロボロで元嫁のマンションに帰すわけにいかない。
無事に帰還したのを確認して、俺も汗を流して短い睡眠時間を堪能した。
朝起きていつも通りに、スケさんの淹れてくれたコーヒーを飲んでスマホを確認、娘からの今日のハロウィンパーティーを楽しみっとメッセージが来ていて、ネットニュースにはハロウィンで羽目を外した若者の話がちらほらあって、今日の本番を厳重警戒している。
俺は昨日に続いて、今夜も不可思議事件がないかの見回りをしないといけない。
コスプレのクオリティもピンからキリまであって、街を眺めているのは仕事じゃなかったら楽しかったかもしれない。
ため息を溢しながら、殆どスケさん任せの見回り中に不思議な人を見つけた。
良く出来たコスプレに見えなくもないけど、明らかに普通の人じゃない。
俺がスケさんに確認すると、知覚範囲に入った時から気にかけていたらしい、ただ、今のところ何もしてないから要観察だった。
サキュバスのコスプレの振りをした本物のサキュバスは、見た目の美しさから2人組の男にナンパされていた。
俺は隠密を使って、ナンパにあっさりとついて行ったサキュバスを追いかける。
男達はサキュバスのナンパに成功して上機嫌だけど、食べられるのは男達の方だ。
少しくらい精気を吸われるだけなら、自業自得とある意味では男達も目的達成だから、サキュバスとは少し話を聞くだけではいいけど。
もしも、サキュバスが男達から死ぬほどの精気を吸い取った場合は、陰陽庁に連絡をして俺はサキュバスを退治しないといけない。
その為とはいえ、サキュバスとナンパ男達の情事を見ているのは苦痛なので、俺はサキュバスの監視をスケさんに任せて他に怪しい人がいないか目を配る。
そして楽しそうに歩く野々原を見つけた、普段は見た目のせいで権田の所で裏方として働いているけど、ハロウィンならコスプレとしてどうどうと外を歩ける。
元は人の姿だったらしいし、楽しそうに歩く姿を見たら、元に戻してあげたいと思ってしまう。
「スケさん、野々原を元に戻すって出来ないのかな?」
『なんですか、急に?』
俺の唐突な質問に、スケさんはサキュバスの監視を続けながら、野々原の存在に気がついて納得する。
『残念ですけど、野々原を治すのは難しいですよ。
回復魔法は魔法による身体の回復力の向上、治癒魔法は身体を正常な状態に戻す魔法です。
野々原は狼男の状態が正常となってしまっていますから、回復魔法も治癒魔法も効果がありません』
「そうだよな‥‥」
と前にも一度聞いた事のある説明をされる、どんな実験で野々原が狼男になったのかは、本人もよく覚えていないらしく、俺やスケさんには原因がわからない。
『治す事は難しいですけど、普通に街を歩けるようにする事は出来るかもしれませんよ』
がっかりした俺を見かねたスケさんは、別の解決案を考えてくれる。
「本当か?どんな方法?」
『狼男から元に戻れないなら、人間に成れる方法を探せばいいと思います。
魔物には人化というスキルがあります、それを覚えられれば見た目だけなら人にバレる事はなくなるでしょう』
「なるほど、それでどうやったら人化を使えるようになるんだ?」
『それはワタシにも分かりません、でも、ちょうど知ってるかもしれない相手がいるじゃないですか』
「そんな人いたか?」
『はい、すぐにそこに』
スケさんがマジックハンドを使って指さしたのは、今まさに楽しもうとしているサキュバスと男達だった。
「サキュバス?」
『はい、今日はハロウィンなので、殆ど元の姿ですけど、本来は人に化けて相手を物色しているはずです。
サキュバスなら人化の方法を知ってると思います』
「よし、それなら早くサキュバスに話を聞こう」
『いいんですか?まだサキュバスは何もしてないですし、彼等の邪魔をすると面倒な事になるんじゃないですか?』
「どうしよう?ウサギの被り物は捨てちゃったし、正体を隠せるものがない」
『ワタシの空間収納に、クマとパンダの被り物ならありますよ?』
まだ持ってたのか、どっちを選んでも、また騒ぎになるような気がする、それでも顔を見られて正体がバレるよりはいいか。
「じゃ、クマの被り物を貸して」
『分かりました』
そして、クマの被り物をした俺が現れると男達達は一瞬キョトンとした表情をして、次の瞬間には怒りの表情に変わっていく。
「なんだ、お前は?」
「まさか美人局か?だとしたら、お前をボコボコにした後で、お前の目の前で女を犯して見せてやるよ」
怒りに任せて殴りかかって来なかっただけで、男達は録な人間じゃないな。
「はぁ~」俺は長めのため息をついて、こんな奴らならサキュバスに何かされても自業自得だし、楽しんで精気を吸われた後にすればよかったと思った。
俺のため息が聞こえたのか、男達は更に怒りを露にして、俺に襲いかかってきた。
俺は男達の攻撃をヒラリと躱して、男達の意識を奪った。
俺が男達を倒すのを見て苦い顔をしたのは、せっかく精気が溢れる食事を邪魔されたサキュバスだった。
「なんなんですか、貴方は?」
それでも、サキュバスは普通の女の振りをして、俺に話しかけてきた。
「食事の邪魔をして悪かったけど、俺も仕事だからお前の勝手にするわけにもいかないんだ。
個人的にも聞きたい話もあるし、大人しく捕まってくれると助かるんどけど」
食事っという言葉に反応して、サキュバスは本性を表して、俺に襲いかかってきた。
俺は、さっきの男達のよりも鋭い攻撃を難なく躱して、腕を掴んでサキュバスを攻撃の力を利用して床に投げ落とした。
「きゅかはっ」
床に投げ落とされたダメージで、口から空気を吐き出したような声をあげて、それでも俺の事を睨んで見上げてくる。
「お前に聞きたい事があるから、大人しくしててくれよ」
ホテルの1室、倒れたサキュバスをスケさんが念動で動きを封じ込めながら話を進めた。




