何とか一人でアラクネを倒す事が出来た
巨体な虫型の魔物だらけ道を進んで、階層ボスの扉を開けると、人の半身と蜘蛛の下半身を持つ見上げてしまう大きさのアラクネ、子供程の大きさで半透明な羽根を生やしたフェアリー、翼の生えたリザードマンにそっくりなドラゴニュートが部屋の中央で、俺の事を待ち構えていた。
扉が閉まると同時に3体の魔物が動き出す、高速で接近してくるフェアリーをキッカとオウカが迎え撃った。
地を這う様に一直線にフェアリーに向かうキッカと、天駆を使って弧を描きながら向かうオウカ。
2羽の速度の差を埋めるのと、上下の揺さぶりを兼ねた動きで、フェアリーを挟み撃ちしてキッカは衝撃を叩き込み、動きの止まったフェアリーにオウカが蹴撃で床に蹴り落とした。
床に亀裂が走り埃が舞う中で、フェアリーは平然と立ち上がり兎達の追撃を躱す。
すり抜け際にキッカの腹部か浅く切られて、白い毛に血が滲む、フェアリーの動きに回り込んだオウカがキッカの仕返しと、耳斬撃でフェアリーを切りつけると、フェアリーの身体の表面で魔力の火花が散った。
フェアリーは羽根から舞い散る鱗粉を操って、攻防に利用していてた。
鱗粉を固めた盾でオウカの耳斬撃を受け止めて、空中に光の鱗粉で作り出した槍がオウカに襲いかかる。
オウカは鱗粉の槍を素早く避けて、キッカがオウカに注意の向いているフェアリーに波動咆哮を放って、フェアリーの背中に直撃する。
フェアリーの羽根が少しだけ焦げついたけど、一番鱗粉の量が多い背中は鱗粉の防御が堅く、不意打ちに近い形だったのにダメージは僅か。
キッカはオウカに視線で合図を送り、フェアリーがキッカに気を取られた瞬間に、オウカが浸透勁をフェアリーの背中に使う。
フェアリーの幼い表情が苦痛に歪み、口から血流れる、すぐに怒りの表情に変わって無数の鱗粉の槍がオウカを貫いた。
脇腹を深く抉られて血を吐くオウカ、フェアリーがニヤけた隙に、キッカがまた背中に張り付いて吸魔で魔力を奪う。
魔力を吸われた鱗粉が薄くなり、焦ったフェアリーがキッカを降り落とそうとした時に、血を流しながらオウカが蹴撃をフェアリーの腹に撃ち、そこに更に浸透勁を繋げた。
鱗粉の防御を失っていたフェアリーは、オウカの攻撃に大ダメージを受けて、それでも反撃をしようとして薄くなった鱗粉を寄り合わせて硬度を高めた槍をオウカに向ける。
攻撃直後なのと、ダメージもあって鱗粉の槍に対応出来ないオウカをキッカが庇い、今度は槍に刺さりながらキッカがフェアリーに反撃する。
威力を収束した波動咆哮が、完全に鱗粉を使い切ったフェアリ-の胸をレーザーの様に貫いて、フェアリーは光に変わった。
怪我をおった兎達はお互いの傷を舐め合いながら、部屋の隅に座り、自分達の戦いは終わったと休憩を始めた。
ドラゴニュートはフェアリーの後ろから距離を詰めて、フェアリーを攻撃しようとしている兎達の片方に狙いを定めて持っていた三俣の槍を突き出そうとして動きを止める。
身体を軋ませながら無理矢理動こうとして、ドラゴニュートの筋肉が膨れ上がった。
スケさんの念動を振り切った、ドラゴニュートは戦いの邪魔をしたと思い込んだ俺を睨みつけてくる。
赤く光る目が次の標的を俺に定め、フェアリーの方から離れて俺に向かってくる。
俺はアラクネの8本の足の攻撃と、口から吐き出される粘着性の糸と、指先から伸びるしなやかで硬い切れ味鋭い糸を避けるので精一杯、とてもドラゴニュートまで相手に出来ない。
だからドラゴニュートの事はスケさんに丸投げ、フェアリーと兎達が戦い始めたのを横目で見て、それもスケさんに任せる。
「スケさん、俺はアラクネで精一杯だから、他はよろしく」
『わかりました、マスターとアラクネの戦いには手を出しませんから安心して下さい』
「待って、ドラゴニュートやフェアリーを先に倒したら手伝ってくれてもいいんだけど‥‥」
『手を出しませんから、安心して下さい』
アラクネは俺が独りで戦わないとダメみたいだ、実は上半身が人の姿をしているせいで戦い難いんだけどな。
諦めてアラクネとの戦いを再開する、こんな事なら兎達が接近してくるフェアリーに向かった時に、一緒にフェアリーと戦えば良かった。
兎達がフェアリーに向かったから、俺は奥にいたアラクネに向かってしまい、俺の接近に気がついたアラクネの攻撃を避ける展開になってしまった。
ドラゴニュートは、見えない念動で動きを止められる度に力任せに拘束を振り払う。
少しずつ俺に近づいてくるドラゴニュートが視界に入って来るけど、スケさんを信じて無視をする。
ドラゴニュートは、俺の信頼に応えたスケさんが操る無数の武器の相手をする為に動きが止まる。
鋭い槍捌きと、巧みな盾使いで無数の武器の攻撃をいなしていく。
だけど、念動で動きが妨害で徐々に攻撃が当たりだし、硬い鱗も魔鉄製の武器なら少しずつだけどダメージを与えられる。
ただ防戦一方のまま、可哀想に殆ど何も出来ないままドラゴニュートは、スケさんの操る無数の武器で光に変わった。
大剣を振り回して、アラクネの蜘蛛の足を切りつけるけど、アラクネの足は硬く大剣が弾かれる。
実際に魔剣でもある大剣より硬くないけど、上手く刃との角度をずらされて、上手く切れない。
それに上半身の人型と下半身の蜘蛛各々に思考していて、下半身の蜘蛛だけを相手にしていると、嫌なタイミングで粘着性の糸と切れ味鋭い糸の攻撃が襲ってくる。
複数の魔物の相手をした事は何度もあるけど、1体に2つの思考があって、上手く連携をしてくる魔物は初めだし攻撃の手数も多いから、なかなか攻め返せない。
俺が上半身の人型と戦いを、避けているのがバレているのか、上半身が防御を無視して攻撃してくる。
人型だけど魔物だと覚悟を決めて戦わないと、それが弱点になって殺されてしまう。
現にダメージを受けているのは俺の方で、アラクネは蜘蛛の足の数本に軽い傷がついているだけ。
俺は傷を受ける度に、回復魔法と治癒魔法を使い分けながら傷を治し、戦いを継続する。
よく見たら戦っているのはすでに俺だけで、兎達も戦いの邪魔にならない様に壁際で休んでいる。
それなりにダメージを負っているみたいだから、兎達は仕方ないとしても、スケさんは俺の戦いを助けてくれてもいいと思う。
まぁ、手を出さないって言っていたから、本当に手を出してこない。
俺はアラクネの攻撃の圧に後退しながら、壁際に追い詰められて、蜘蛛の足の攻撃を大剣で受ける止めて、動きが封じられた。
人型が勝利の瞬間を想像して、ニヤリと口の端を歪めた。
「本当にピンチになっても助けてくれないのかよ」
『本当にピンチなら助けますよ』
スケさんの軽口が頭の中で響く、アラクネの上半身が切れ味鋭い糸を操る腕を振り上げ下ろそうとした瞬間に。
「ピンチじゃなくても助けろよ」
そう言いながら、床に刺して置いた大剣をリサイズで大きくして、下から蜘蛛の身体を突き刺した。
更に重力の魔眼で蜘蛛の身体に過重力をかけて、巨大な大剣が蜘蛛の身体を貫いた。
悲鳴を上げるアラクネの足元から抜け出して、上半身と下半身を真っ二つに切り裂いて光に変える。
何とか一人でアラクネを倒す事が出来た。




