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待ち構えていた。

 残暑も過ぎてやっと涼しくなり始めた頃、街が賑やかさを増してきた。


 「俺が子供の頃はハロウィンなんて知らなかったんだけど、いつの間にか毎年の恒例行事みたいになってるよな」


 俺が呟くと、隣を歩いていた娘が残念そうな目で俺を見ながら。


 「お父さん、去年も同じような事言ってたよ、昔を懐かしむとか親父臭い」


 と返してくる。


 「親父臭いも何も、俺は親父そのものなんだから仕方ないだろ」


 「そんな事ないよ、お母さんはむしろ私よりもハロウィンを楽しんでるんだから」


 「さすが凛さんとしか言えない、でも、10月31日が美月の誕生日だから張り切ってるだけだろう」


 「それもあるだろうけど、自分が食べたいケーキを何種類か選んでたから、お父さん気をつけてね」


 美月から、凛さんが選んでいたケーキを教えて貰い頭の中にメモをする、カタカナの横文字の羅列を覚えるのは苦手だから、スケさんにも手伝ってもらった。


 「名前を聞いても、どれがどのケーキなのかが分からないんだけどな」


 「甘いもの別に好きじゃないんだから、食べない方が無難かもね」


 「そうする」


 そんな会話をしながら、賑やかな街を凛さんが飾り付けをして待っているマンションに向かう。


 街には美月のプレゼントを買いに来た、美月が中学に上がってからは、プレゼント選びのセンスがない俺は、一緒にプレゼントを買いに行って欲しい物を選んでもらっている。


 誕生日の31日は明日だけど、その日は友達に誕生日を祝ってもらうらしいので、俺と凛さんは1日前に祝う事になった。


 友達の中に茂野君はいないみたいなので、少しだけホッとしている。


 夏休みの最後にあんな事があったから、美月の心が心配だったけど、今のところ普通に学校には行けているみたいだし大丈夫だと思いたい。


 凛さんの病院で一応精神科にかかっているし、嫌な事があった分は楽しい事で上書き出きればいいと思う。


 しかし、ハロウィンの本番前日でもコスプレをしている人はそれなりの数がいて、その中に極少数だけどウサギの被り物の人がいる。


 直接の関係者じゃなければ、対岸の火事だと言わんばかりで、一時とはいえ世間を賑わしたウサギ男のコスプレをする人もいるんだろう。


 本物はここにいるんだけど、もうウサギの被り物を被るつもりはないから、本物が現れる事は二度とない。


 美月の視界には入らないように、スケさんに協力してもらって上手く躱しながら、街を歩いて無事にマンションに着いた。


 マンションでは、凛さんが気合いを入れて飾り付けた部屋で、美月の好きな食べ物とカボチャ料理を食べて、美月は俺とは別に凛さんからもプレゼントを貰っていた。


 飾りはこのまま明日も使うらしい、日が暮れて少ししたくらいでマンションをお暇した。


 ケーキは無事に凛さんと美月で2つずつ食べて、残りは明日食べるとのこと、明日は明日で違うケーキを用意しているはずなのに凄いな。


 俺が早めにマンションを出たのは、これから陰陽庁の仕事があるからだ。


 所属して感じたのは、思ったよりも案件が多い事だった。


 八谷君に最初にあった事件も、行方不明の捜査の段階で警察庁から陰陽庁にも、協力を求められて八谷君が調査していたんだとか。


 陰陽庁は慢性的に人手不足で、条件付きでも俺が入った事で助かったようだ。


 俺から陰陽庁に出した条件は。


 ・俺の情報は陰陽庁以外には出さない事。

 ・司書の仕事を優先する事。

 ・俺の関係者に接触しない事。

 ・AM0時~2時の仕事はしない事。

 ・日帰り出来る範囲内の仕事にする事。


 こんな感じで、陰陽庁にしてみればそこまで難しい条件じゃなかったと、八谷君は安心していた。


 陰陽庁には能力を持つ、帰還者や覚醒者は俺を含めて4人、八谷君みたいに特殊な家系で力を持つ人が21人、家系での能力の相続は帰還者や覚醒者よりも能力が劣るらしいけど、その中でも八谷君は天才と言われていて帰還者や覚醒者にも、匹敵する力を持っているらしい。


 白い空間の時は魂だけで閉じ込められた為、俺が化け物を倒すまで呪符を召喚出来なくて、符術が使えなかった。


 最後に使った符術の事を考えると確かに、それだけの力はあるかもしれないと思うけど、俺がいなかったら本当に危なかったみたいなので、それだけ人手不足の影響が出ているって事だろう。


 適材適所で仕事なんて言ってる余裕がないので、空いてる人が無理矢理仕事をしている状態、能力者以外の人員も300人いるらしいけど、直接事件には手が出せないので、どうしても人手不足になってしまうそうだ。


 そんなわけで俺は毎週陰陽庁の仕事をしている、その内の半分は普通の事件だったりするけど、未知の事件じゃないと特定しないといけないので、スケさんが大活躍だ。


 スケさんと云えば、俺とは独立したステータスを手に入れて、スキルの取得上限もなくなって喜んでいたけど、まさか落とし穴に愕然としていた。


 ステータスは独立したのに、俺のステータスよりも高く出来ないという残念仕様。


 スキルも取得上限はなくなったけど、精霊や死霊に関係するスキルしか取得出来なくなっていた。


 この事実を知った時のスケさんになんて声をかけていいのか分からなくて、数日はスケさんをそっとしておいた。


 陰陽庁の仕事は、スケさんの八つ当たりには丁度よくて、俺はスケさんのオマケとして現場に行って、数時間で事件を解決する凄い人として、陰陽庁でも有名になり、凄く居心地が悪い。


 そして今日の仕事は、ハロウィンに紛れる本物の監視と排除。


 監視もあるので、非能力者を何人か付けてくれると言われたのを丁寧に断って、スケさんのガラスゴーレムをばら蒔いて監視をしてもらう。


 スケさんのガラスゴーレムは、今では100000体を超えて、街の情報なら地下だって殆ど網羅している。


 ゴーレムが視覚情報だけなのは相変わらずだけど、数が数だけにそれなりの情報は手に入るし、監視なら視覚だけで十分。


 怪しい動きをする奴には片っ端から、ゴーレムによるマーキングをして、何か問題を起こせばゴーレムを起点にスケさんの空間魔法で転移をしてすぐに駆けつける。


 日が暮れてから夜中の11時まで街を巡回して、その後はゴーレムの巡回に任せる。


 ダンジョンも2時間ずつ進めて、スケさんの機嫌も治ったので、30階層ボスと戦う事にした。


 巨体な虫型の魔物だらけ道を進んで、階層ボスの扉を開けると、人の半身と蜘蛛の下半身を持つ見上げてしまう大きさのアラクネ、子供程の大きさで半透明な羽根を生やしたフェアリー、翼の生えたリザードマンにそっくりなドラゴニュートが部屋の中央で、俺の事を待ち構えていた。

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