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追いつけなかった

 その前に蘇生魔法を取得して、剣聖の妹を助けに行きますか。


 八谷君と会った後に剣聖に連絡を取って、妹さんの病室で直接落ち合う事になった。


 俺は前と同じように、誰にもバレないように病室に忍び込んで、剣聖が来るのを待った。


 病室に着いて数分後に、病室のドアが開いて剣聖が中に入ってきた、常人より高い身体能力がある剣聖の息があがっているのを見て、かなり急いで来て事が伝わってくる。


 そして、俺の顔を見るなり肩を掴んで勢いよく揺すりながら、質問してきた。


 「本当に妹は治るのか?」


 6年の間、裏組織の庭番で活動をしながら、魔道具や聖女の力を試して、それが悉くダメだった。


 諦めかけていた時、最後に俺の事を信じてくれたけど、やっぱり何処かで疑う気持ちもあったんだろう。


 「大丈夫、ちゃんと治してみせるから」


 俺は肩を掴んでいると剣聖の手を、優しく放してから答えて、剣聖の妹のすぐ横に立って、蘇生魔法を使う。


 蘇生魔法を使い終わるとドッと汗が流れて、身体から力が抜けて膝をつく。


 「おい、大丈夫か!?」


 心配して俺に駆け寄ろうとした剣聖が足を止めた。


 「あ‥‥、ら‥蘭、お前起きて」


 剣聖の目に涙が浮かぶ、俺の蘇生魔法はちゃんと成功した。


 「お兄ちゃん、どうしたの?」


 ずっと眠っていて状況が分からない妹が、涙を流す剣聖を見て首を傾げる。


 俺はソッと病室から出て、再会の邪魔をしないようにした。


 良い事をしたと気分よく部屋に帰って、ステータスを確認する。


 魂を意識する為に取得したスキルは全部失くなってしまっている。


 蘇生魔法はポイントだけじゃなく、取得しているスキルを幾つか犠牲にしないといけなかった。


 俺にとっては、幽体離脱とか口寄せとか、臨死とか蘇生魔法の取得条件を満たす為に取得したスキルだから、これから使う事もないし全然問題ない。


 しかしレジェンド(伝説級)スキルとはいえ、今まで取得したスキルを犠牲にして取得するのは、俺以外の人にとっては、かなりの覚悟が必要だと思う。


 取得に必要なポイントも200000ポイントと、普通には取得不可能な感じのポイント量だった。


 俺はダンジョンで苦手な30階層で、使ってしまったポイントを取り戻す為に、兎達も呼んで30階層の魔物を殲滅した。


 2時間ダンジョンを走り回って、ポイントを稼いで部屋に帰り汗を流してスッキリして眠りにつく。


 翌朝、コーヒーを飲みながらスマホを確認すると娘と剣聖からメッセージが来ていた。


 娘からは朝の挨拶と兎達の近況報告、毎晩会ってるので兎達が元気なのは知っているけど、兎達が娘の前で大人しくしているらしいのが、なんだか可笑しくて仕方ない。


 剣聖からは妹の事を感謝する内容が、かなりの長文で送られて来ていた、剣聖だけじゃなく剣聖の両親も妹の目覚めに、泣き崩れる母親を父親が支える場面があったとか。


 妹が目を覚ましたのは、俺の願い通り原因不明として処理をしてくれた。


 改めてお礼をしたいという剣聖の誘いを断って、お礼はいいから、また時間が出来たら権田を交えて一緒に飲もうと約束した。


 目を覚ましたとはいえ、剣聖の妹は6年もっと目を覚まさず寝たきりだったんだから、これこらリハビリとか色々と大変だろう。


 それでも、生きて動いている姿が見られるんだから、大変だけど苦ではないだろう。


 家を出てバスに揺られて図書館に着いて、事務所で作業をする。


 「佐藤さん、なんだか嬉しそうですね、何か良い事あったんですか?」


 「そうなんですよ、知り合いの入院していた妹さんの病気が良くなったって連絡があったんですよ。


 他人の事なんですけど、なんだか嬉しくなっちゃいました」


 「なるほど、それは良かったですね、誰か幸せって此方まで幸せな気持ちになりますよね」


 そんな会話をしながら、朝会の前に昨日終わらなかった分の作業を終わらせる。


 図書館の仕事も特に問題なく終わって、久しぶりに近所のスーパーで安くなっている惣菜を買って帰った。


 朝炊いたご飯の残りを温めて、買ってきた惣菜と一緒に口の中に放り込んだ。


 『誰かが来たみたいですね』


 スケさんの言葉に、二口目を口に運ぼうとしていた手が止まる、娘や元嫁なら誰かが(・・・)なんて言い方はしないはずだ。


 八谷君や剣聖も、スケさんも知ってる人だから、態度が誰かがとはならない。


 誰だろうと考えているうちに、玄関のドアがノックされた。


 少し面倒いのを隠しもしないで、ドアの先ノックした相手に向かって声をかけた。


 「どちら様ですか?」


 俺がドア越しに突然の訪問者を警戒すると、訪問者はその空気を感じとっ、自己紹介を始めてしまう。


 訪問者はまさかの庭番の頭で、俺が呆然としていると、慣れた手つきで鍵がかかってるはずのドアを開けるとスルリっと部屋の中に入って来てしまった。


 今は得体のしれない相手に警戒をして、デバフをかけていなかったのに簡単に中に入る動きは早い訳じゃないのに、追いつけなかった。

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