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その途中で意識を失った

 これで、あの顔が嘘をついていた事が証明されて、これからどうするかを話し合った。


 「あの顔が俺達を合格させるつもりがない事は分かったけど、これからどうしようか?」


 「先ずは、なんの為にこんな事をさせているかですよね、僕達が死んだって言うのも疑わしくなってきましたし。


 佐藤さんだって臨死ってスキルを使っただけで、死んだのなんて確認してないです。


 ただ、この数字だけは本当な気がするんですよね、0になったら消滅もあり得ると思います」


 「ますます性格が悪いじゃないか、最奥の部屋に行けば本当に抜け出せるのかも怪しくなるな」


 「この迷宮にいる間はずっと監視されてかもしれませんね、何とかあの顔の裏をかいて逃げ出さないと」


 この空間をあの顔が作ったんだとしたら、逃げ出すのは簡単じゃないよな、と腕を組んで考えいると。


 「そういえば、佐藤さんって傷1つないですね」


 「ん?あぁ、危ない所は八谷君が助けてくれたからじゃないかな。


 転んだりしたのも砂の上とか柔らかい所だったからだと思うよ」


 「それでも変です、僕の方が前に出てるといっても基本は逃げてばかりですし。


 さっきのゴブリンとの戦いは、僕だけが戦った訳じゃないですよ。


 失礼ですけど、僕よりも運動神経が悪そうな佐藤さんが無傷なのおかしいですよ」


 言われてみれば確かにおかしいかもしれない、俺の運動神経や体力は後付けステータスがなければ、普通のおっさんでしかない、砂で転けたし、ゴブリン相手に無傷でいられるとは思えない。


 仮にスキル臨死のせいで、俺の魂だけが連れてこられたとして、後付けステータスやスキルは俺の身体と魂のどっちに後付けされているのか。


 筋力値が上がってもムキムキのマッチョになんてなっていないから、身体よりも魂に作用している気がする。


 そう考えると、ステータスが見えなかったりスキルが使えないのは、何かが影響しているか、そう思っててるだけで。


 いつもと調子が違うけど、ちゃんと魂に付属されたステータスやスキルを意識すれば、使えるんじゃないだろうか。


 無意識にステータスだったり、回復魔法を使ったりしたのかも、魂を意識するとか全然ピンとこないけど、自分が何となく使っていたステータスやスキルをイメージして身体を動かしたり、体内の魔力の動きに集中した。


 俺の様子を不思議そうに見ていた八谷君が、驚いて声をかけてくる。


 「佐藤さん、ちょっと何をしたんですか?」


 慌てた様子の八谷君の声で止まると、俺の手がいつの間にか部屋の壁に穴を空けていた。


 穴の外には、最初に目が覚めたような真っ白な空間が広がっていて、突然、後付けステータスとスキルの感覚がはっきりと戻ってきた。


 「八谷君、少し離れていて、今からこの部屋をぶっ壊すから!!」


 俺は八谷君に声をかけると同時に、空間収納から大剣を取り出して、大きく壁を切り裂いた。


 部屋にある物全てを大剣で切り裂いて、バラバラにすると部屋が形を保てなくなったのか、ガラスが割れるような甲高い音を立てて砕けて、最初の真っ白な空間に放り出された。


 「何をしたんだ、お前達ぃ!」


 部屋を壊して出て来た俺と八谷君に向かって、浮かぶ顔が石膏像みたいのに怒りの表情が見てわかる。


 俺が壊した影響なのか、真っ白な空間の至る所でガラスのに割れるような音が断続的に響いて、そこから集められた人達が飛び出して来た。


 飛び出して来た人の数は最初に会った時の半分もいない、手の甲の数字は22になっているけど、たった2時間で半分以上の人が迷宮の犠牲になったと事だ。


 しかも、モンスターを倒しても、いくら一生懸命探しても手に入らない宝玉という希望を与えられて。


 そして、生き残った人と一緒に迷宮内のモンスターも真っ白な空間に出てくる、数は1000体以上、100しかない赤の宝玉の数と合っていない、この光景を見た残りの人達と八谷君が青ざめていた。


 「くそ、イレギュラーが混ざっていたのか、せっかく死ぬ運命にない魂を集めて、我の糧にしてやるつもりだったのに。


 最初から遊ばすに、殺してやれば良かったわぁ」


 浮かぶ顔の言葉で、1000体のモンスターが一斉に襲いかかって来た、モンスターの雄叫びと、残った人達の悲鳴が混ざって空間に響く。


 俺は真分身を使って二手に分かれ、1000体のモンスターに突っ込んだ。


 意識してステータスとスキルを使ったのが良かったのか、いつもよりも身体の動きがいいし、スキルの発動が早い。


 真分身はステータスは同じだけど、スキルが使えないからバフをかけて残った人達の守りに徹させた。


 俺はモンスター達を切り捨てながら、死霊魔法で倒したモンスターを動かし、さらに精霊を呼んでモンスターを殲滅していく。


 因みに、精霊魔法も死霊魔法もレベル10でMAXなのに、精霊は無属性の精霊しか呼べないし、アンデッドもウォーカー(歩く死体)しか生み出せない。


 それでも数はそれなりの力になる、俺や真分身が倒したモンスターが味方になれば、浮かぶ顔のモンスターはどんどん勢いを無くして、最後の1体にトドメを刺した。


 「なんなんだぁ!お前はぁあ、せっかく管理機構にバレないようにひっそりと力を蓄えて来たのに。


 まさか管理機構の回し者かぁ、ちくしょおぉう、お前さえ殺せば、また別の場所で死ぬ運命にない魂を集めて楽しめる」


 真っ白な空間と同じ、石膏のような白い顔の目だけが真っ赤に光って咆哮をあげると、口から無数の光線が降り注いだ。


 残った人達を守る為に、精霊やアンデッド達が盾になって光線を受けて消えていく、真分身も大剣を使って光線を防ぎながら、身体のあちこちに光線が被弾していた。


 俺も障壁を出して守りながら、浮かぶ顔に向けて重力の魔眼を使った。


 浮かんだ顔が、真っ白な空間から引っ張っぱられて剥がされる様に地面に落ちた。


 「ぐうぬぅぐぐ、こんな過重力ごときぃ、直ぐにぃ抜け出してやるぅぐぅぁ」


 睨みを強くすると、顔の化け物が口から泡を吹いて文句を言っている。


 俺は1歩ずつゆっくりと、顔の化け物に近づいていく、真っ白な空間のせいで遠近感が狂っていたけど、近づくと、一口で俺を飲み込めそうなほどデカかった。


 恨みとも怯えとも言えない大きな瞳を見下ろしながら、俺は顔の化け物に大剣を振り下ろし、顔の化け物は耳を塞ぎたくなるような絶叫を上げて、光の粒になって消えた。


 真っ白な空間は、顔の化け物の消滅と共に端の方から黒くなって消えていく、残った人達全員が白い空間の真ん中に集まって、どうすればいいのか途方にくれる。


 「ここからは僕の出番ですね」


 その中で八谷君だけが冷静に状況を観察して、手を合わせてお札を挟みブツブツと何かを唱え出す。


 八谷は呪文なのか経文なのかが唱え終わると、文字がうっすらも光リ出したお札を宙に投げて、ヒラヒラと舞って落ちると思っていたお札が残った人達を囲う様に八方に飛んでお札同士が線を結んで、小さなドームになった。


 ドームの端に黒い空間が触れるとバチっという激しい音と光を放って、周りが完全に黒色に染まって八谷君が作ったドームが消えるのと同時に、黒く染まった空間も消滅して、元の世界の景色が広がっていた。


 そして、残った人達の身体を1人、また1人と淡い光が包むと彗星の様にくらい空に消えていく。


 最後に俺と八谷君が残り。


 「僕の勘はやっぱり当たってました、僕じゃあの顔の化け物は倒せなかったので、佐藤さんがいてくれて良かったです。


 それにしても、まさか佐藤さんがあのウサギ男だとは思いませんでしたよ」


 「なんでそれを‥‥」


 つい認めそうになって、慌てて口を閉じたけど、残念ながらバレバレだった。


 「大丈夫です、佐藤さんがテロリストとかやる人には見えませんから。


 そんなにバレるのが嫌なら、あの大剣はなるべく使わない方がいいですよ、良くみれば水族館でウサギ男が使ってた大剣だって分かりますから。


 それじゃ、ありがとうございました、また何処かで会えるといいですね」


 そう八谷君が言うと、俺と八谷君の身体も淡い光に包まれて空に向けて飛んでいき、その途中で意識を失った。

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