スケさんの備忘録4
マスターといると退屈はしなさそうです。
権田達に狼男の野々原を預けた後に、25階層でワーウルフが出て来て戸惑うような残念な人ですけど。
人か魔物かの線引きを教えて、何とかいつも通りの動きに戻ったようです。
暑さと寒さの違いはあっても難易度は魔物が強くなっただけで、マスターや兎達の成長の方が早いので問題なく次の階層に進めました。
26、27階層はアンデッドだらけの階層でワタシの知覚範囲を埋め尽くすくらいの数の魔物が溢れていました。
強さは大した事はないですが数が厄介ですね、マスターは慣れているでしょうが、兎達が心配です。
案の定兎達は最初は苦戦をしていました、数だけじゃなくアンデッドになった事で耐久力が上がった事が原因でしょう。
フォローをしながら、兎達のステータスを上げて応急措置を行います、マスターは危なくなるまで無視でいいです。
兎達はステータスに少し余裕が出来ると、マスターの戦い方を見て学んだのか、それぞれ吸魔や聖光撃というスキルを覚えて、ワタシも負けていられない気分です。
マスターや兎達と違って覚えられるスキルが有限なのが悔しいですね、ステータスもマスターに依存していますし、ワタシは戦闘以外にも自身の有用性を追求しないと。
27階層ではリビングアーマーから奪った大剣が魔剣だった事で、マスターが大喜びです。
この人は本当に分かり易く、顔にもっと魔剣が欲しいと書いてあります。
戦力強化はダンジョン攻略に必要なので反対する理由はありません、リポップに少々時間がかかるようなので1日3本の大剣と3枚の大盾を手に入れるのが限界です。
マスターは大剣にしか興味がないので、盾の方はワタシが貰っても何も文句は言わないでしょう。
今まで使っていた武器よりも比べ物にならないくらい強度が高いですし、防御面の安定感が増すのは嬉しい限りです。
マスターとマスターに影響を受けた兎達は攻撃に偏りがちですからね。
ダンジョンの外で、マスターの偽者が現れて駅前で暴れては捕まるを繰り返しています。
せっかく、凛様と美月様と食事をして機嫌が良くなったマスターを、上手くダンジョン攻略に誘導するつもりだったのに、余計な事をしてくれたものです。
明らかにマスターを誘き出す為の実に嫌らしく面倒な罠です。
ウサギ男としての世の中の評価がどれだけ下がろうと気にしませんが、今のところは重傷者や死者が出ていないだけで、いつまで続くか分からない騒動でいつか出るかもしれない。
ワタシは暴れた奴が悪いと割りきれますが、マスターは責任を感じてしまうでしょう。
現に最初に暴れている偽者を見た時は飛び出そうとしていました、ワタシが念動で手を貸してすぐに警察に取り押さえられたので何とかなりました。
ゴーレムの情報では、捕まった偽者は暴れていた時の記憶が曖昧らしいので、使い捨てにされたんでしょうね。
何度か偽者を捕まえるのに手を貸して、その度に視線を感じたので、騒ぎを傍観している野次馬にゴーレムをつけて調べてましたが空振りでした。
相手も情報収集は得意のようですね、マスターの性格上無視をする事が出来ないので、無駄に情報を与える事になってしまいました。
偽者が暴れていた時間が、ワタシが念動で手を出した事のある時間帯に多くなり、念動が使われた疑いがある時の野次馬達を調べている。
視線に気がついている事がバレると疑いが濃くなってしまいそうですね、幸いマスターはそういった視線には鈍いですから、ワタシが黙っていれば大丈夫でしょう。
思っていたよりも相手は頭が回り、何かしらマスターの情報を持っていたのか、気が付くのか少し遅れてしまい、危うくマスターの事がバレてしまう所でした。
まさか最初から、偽者が暴れて襲っていたのは30代から40代の男性、暴れる過程でターゲット以外にも被害者はいましたが、動きをしっかりと観察すれば気がつけた事なのに失態です。
偽者のウサギ男達に襲われて反撃しようとしたマスターを念動で止めるのに間に合ったのですが、偽者が弱過ぎていくら暴力を振るわれても平気なのが問題です。
これだけの暴行を受けて平気なのは良くないので腕でも折りましょう、左腕の方がいいですよね、後はある程度打撲もないとダメですね。
病院に運ばれると凛様がいて、世の中は狭いなと感じましたが、未だ監視をされている様なので余計に気が抜けませんね。
もしも凛様に何かあれば一大事です、その前に入院中のダンジョンをどうにかしないといけませんね、まさか、あの程度で1日とはいえ入院するとは思いませんでした。
取りあえず転移されてもバレないように身代わりが必要ですね、ワタシのゴーレムではバレバレですし、新しいスキルを取得して貰うのがいいですね。
前から分身がしたいと言っていたマスターに、実体のある真分身を取得してもらい、ダンジョン転移は無事にバレずに済んだので、次は監視者に接触しましょうか。
隠密を使って近づいて、マスターに監視してる男の後ろから声をかけてもらいます。
変な格好をしていますが、魔力量は今まで見た人の中で断トツで多いですね。
会話の最中で妙な魔力の流れがあったので、仲間でも呼んだのかもしれません。
普通なら仲間を呼ばれるのは阻止をするべきですが、思いついた作戦を進めるなら都合がいいですね。
どんな仲間が何人くるのかは不安要素ですが、目の前の監視者と同程度なら何とか出来ると思います。
駆けつけたのは細身の男が1人、魔力量は最初にいた男の半分以下、同じ様な変な格好をしています。
マスターはそこまで変だと思ってないみたいなので、意外と普通の格好なんでしょうか。
目元だけしか見えないので、顔を隠す役目は果たしていますし、こういう隠れて監視する人には流行っているのかもしれませんね。
援護に来たと思った細身の男の攻撃は、マスターだけじゃなく最初の男も攻撃の範囲に入っています。
味方の攻撃で鮮血を散らして倒れる、普通の人間なら致命傷ですが魔力量も減った感じがしないので、たぶん平気なんじゃないでしょうか。
一応意識は逸らさずに、好戦的な細身の男の方から適当に話を聞いて、利用させて貰いましょう。
戦い方は単調すぐに熱くなる、思った以上に扱い易いのが少し引っ掛かりますが、上手くワタシの思惑通りに動いてくれました。
これで一時的ですが、相手の目を逸らす事が出来るでしょう、後から来た方にゴーレムもつけられたので上出来です。
後日、こちらから接触すると思ったよりもあっさりとした反応が返ってきて、前に感じた違和感をまた感じました。
マスターの対人戦のいい練習になると思ったんですが、予想以上に役に立ってくれました、技術面は本当に尊敬に値するレベルです。
これからもマスターのいい練習相手になってくれるといいですね。
マスターにもいい影響になって、ダンジョンでの動きも良くなった気がします、ステータスは変わってないので、純粋に技術が伸びたという事ですね。
少々トロールには苦戦させられましたが、マスターを焚き付ける出来事があって、少し火に油を注いでみたら、ワタシが思った以上に炎上して結果は大惨事でした。
兎達はまたマスターに引いているので、後でちゃんとフォローをしないといけないですね。
しかし、油を注ぐ為にした約束とはいえ、只の高校生を見張るなんて気が進みませんね。




