変な名前になる自信あるかも
無事にダンジョン転移を乗り切ったら、偽者を操っていた奴に一泡吹かしてやる。
今夜は27階層で、リビングアーマーから大剣をサクッと手に入れたら隠密を使ったままダンジョンの出入口をくぐる。
寝たフリをしていた真分身に、そのまま朝まで寝たフリが出来るように魔力を注ぎ直して病室から出て行く。
スケさんが知覚範囲で、俺の事を監視している不審な男を捉えている、夜中までご苦労な事だ。
ソッと不審な男の後ろに立って声をかける、この時代にまさかの忍装束で顔は分からないけど、体格はなかなかいい。
「『こんばんは』」
振り向こうとする男の動きを止めて話を続ける、この為にコモンスキルの変声を取得した。
試しに使ってみた時は自分の声を色々と変えて遊んだ、気分はコ○ン君だった、今男に話し掛けた声は練習して決めた落ち着いた感じの声だ。
「『なんか、俺を探しているみたいだから会いに来てやったぞ』」
「本物のウサギの男か、頭の言った通り姿を見せたな」
「『頭って事はやっぱり組織みたいなのがあるって事だな、狼男を追って来た奴らの仲間?』」
「俺が言われたのは、偽者が襲った奴の監視をしておかしな事があれば報告をする事だけだ」
「『随分と余裕があるみたいだけど、仲間を呼んだから?』」
「よくわかったな」
男が言葉を言い終わると同時に、四方から攻撃が飛んでくる。
俺が攻撃を避けると、その中の1つが男の背中を深く切り裂き、男は小さく呻き声をあげた。
「『仲間ごと攻撃してくるなんて、酷いな』」
「いいんだよ、あれくらいの攻撃避けれないなら、頭に会わせる必要なんてないからね」
攻撃を仕掛けてきた男が姿を見せる、さっきの男と同じ忍装束で少し細身な感じだ。
「『こんな事されて、素直に頭って奴に会うと思ってるのか、もっと友好的な接触の仕方を考えろよ』」
「仕方ないじゃないか、正体が分からないんだから炙り出すしかないでしょ、それにちょっと痛い目に合われば素直になるし。
帰還者や覚醒者って、力に溺れて我の強い奴が多いからさ」
そう言った男からまた攻撃が飛んでくる、攻撃は男とは関係ない方向から無数に飛んでくる。
俺には全く見えないけど、スケさんの動印視には見えているので指示通り躱していく。
「俺の断裂をこんなに避け続けるなんて、なかなかやるね」
『スケさん、断裂ってどんなスキル?』
『ワタシの記憶にはないスキルですね、ですが空間魔法で似た様な事が出来ると思います』
『空間魔法って格好いいな』
『扱いの難しい魔法なので、取得してもマスターに使いこなせるとは‥‥』
『持ってるだけで、俺は満足するけどね』
『無駄使いですし、マスターは取得条件を満たしてないので取得出来ません。
どうしても空間魔法を使いたいなら、ワタシが取得してマスター代わりに使ってあげます』
ユニーク以上のスキルには取得条件を満たしてないと取得出来ないスキルがある、例えば治癒魔法は回復魔法をレベル10にしてスキル進化という形でしか取得出来ない。
空間魔法にもそういう条件があるんだろう、スケさんは条件を満たしてるみたいだけど、取得しないって事は本当に扱いが難しいんだろうな。
「ちっ、なんで当たらないんだよ」
俺達が他事を考えてながら避けていると、どんどん相手が苛立っていく。
最初の余裕はどこに行ったんだろう、腕試しみたいな事を言ってたのに。
スケさんの解析だと、この断裂の能力はかなりの実力差があれば無理矢理防ぐ事も出来るが、普通は同じ原理のスキル以外では防御不能の攻撃らしい。
そんなの腕試しには絶対に向いてない能力だと思う、罠にかけられた時は頭と呼ばれてる奴は頭がいいと思ったけど、こんな奴に任せる辺りそんなでもない気もする。
「絶対に殺してやる」
頭に血が昇って主旨を忘れてるし、スケさんに言われた通りに挑発してみたけど、これで大丈夫なんだろうか?
「馬鹿が、落ち着け」
細身の方の断裂を食らって倒れたと思っていたガタイのいい方が叱咤する。
「ウサギの力が本物なら、頭の所に連れて行くのが俺達の仕事だろうが」
結構ざっくり背中を切られたと思ったのに元気いっぱいだな、ガタイのいい方も何か能力を持っているんだろうな。
「分かってるよ、今のところ身体能力はCクラス、能力は感知とか索敵とかそんな感じのを持ってると思う」
「俺の動きを止めた力もある、フュネラルからの情報にもあった念動力の能力だな」
「『思った以上に分析されてるんだな、もう十分わかったんだから帰ったら?』」
思った以上に忍者達は優秀で、戦いながらこっちのスキルを分析していたみたいだ。
念動はもうバレてたっぽいし、感知とか索敵とかはまだ憶測の範囲、スケさんも否定はしてないから気にする事はないのかな。
「調子に乗るなよ、どんな能力でもCクラス程度の身体能力なら相手じゃないんだよ」
「おいっ、挑発に乗るな」
ガタイのいい方の静止を無視して、細身の方が断裂を回避する隙間がないくらい発動して、ガタイのいい方の舌打ちが聞こえた。
確かにこれは、クラスの基準は分からないけど身体能力がいくらあっても関係ないな。
「あはははは、バラバラだな、調子に乗るからだ、バーカ」
「馬鹿はお前だ、死んだら俺には治せないと言っただろう、あれじゃ聖女でも治せない。
頭になんて報告するつもりだ?」
「仲間にはなりそうになかったから、敵になる前に始末したでいいじゃないか」
「いいわけないだろ、俺は見たままを報告するからな、他の連中だってウサギを捕獲する為に動いていたのに、お前の短気で台無しなんだからな」
「俺だけ怒られるなんて嫌だぞ、賢者が呼んだんだから連帯責任って奴だろ」
「はぁ、一番近くにいたのが、お前だった俺の運の無さを恨むしかないな。
せめて、死体の処理だけでもきっちりして怒られる内容を減らすか」
ガタイのいい方が手をあげると、闇がバラバラになった死体を飲み込んで血の一滴すら残さずに現場は綺麗になった。
忍者達は夜の闇に溶ける様に消えて行った。
『聖女とか賢者とか言ってたな』
『最初に帰還者とか覚醒者とか言ってましたし、能力に関係した名前なんじゃないですか』
『戦士の方が似合いそうだけど、賢者なんだな』
『見た目は関係ないんです、最後の闇魔法は見事でしたし、回復魔法か治癒魔法も使えるんでしょうね』
『それは確かに賢者かも、でも、そんな呼ばれ方恥ずかしくないのかな』
忍者達のいなくなった方を見ながら、俺とスケさんが話をする。
『マスターがもし仲間になっていたら、なんて呼ばれたんですかね。
スキル構成にまとまりがないので、スキルで名前を決めると変な名前付けられそうですよね』
『俺のスキルか、投擲Lv10、念話、変声、透過、隠密、障壁、真分身、重力の魔眼、空間収納、極魔導、熱耐性、回復魔法Lv10、聖魔法Lv10、呪魔法Lv10、治癒魔法Lv7。
スケさんが、アシストスキルとして知覚範囲とスキルスロットに、念動Lv10、神眼Lv10、クリエイトゴーレム、極魔導、マジックハンドLv4。
確かにまとまりがないな、変な名前になる自信あるかも』




