魔剣だった
権田達の所に狼男の野々原を連れて行く、俺はもちろんウサギの被り物だ。
「兎さん、ソイツが預かって欲しいって奴ですか?」
「『野々原だ、表には出せないが頑丈な奴だから働かせてやって欲しい』」
「兎さんの頼みだし、俺達も新しい仕事始めたばかりで人手は欲しいですからいいですけど、その頭は?」
「『野々原のは本物だ、だから表には出せない』」
「本物の狼男ですか信じらんねぇ、いや、兎さんを疑うわけじゃないんです。
狼男なんて見た事ないし、そのあまり恐くないっていうか」
「『ちゃんと躾たからな、暴れる事もないしちゃんと言う事も聞く』」
躾たのくだりで野々原がビクッとなった、俺は詳しい内容は知らないから無視してスケさんの言葉を続ける。
「『厄介事に巻き込むかもしれないから、俺も出来る事は力を貸すからよろしく頼む』」
「わかりました、厄介事は元々抱えてましたし、兎さんが力を貸してくれるなら心強いです」
力を貸すとか聞いてないけど、人1人を預かってもらうんだから、それくらいはしないといけないのか。
権田に快く野々原を預かってもらえる事になって、俺は安心して家に帰った。
野々原がいなくなったので、ダンジョンの攻略を進める、24階層から25階層に移動しても氷の洞窟が続く。
25階層からはタイムリーな魔物?ワーウルフが出てきた、毛色は野々原と違って白色で強さも全く違う。
俺が転移されるダンジョンの世界では、獣人と獣頭人で区別され、獣人が獣耳や尾などの獣の特徴を有しているが顔は人に近く亜人、獣頭人が字の通り人の体に獣の頭がそのまま乗っている感じで魔物。
それと体内の魔石の有無が違いになっている。
ダンジョンでは魔石だけを残して死体は消える、ダンジョン外だと解体をしないと魔石が手に入らない代わりに魔物から素材も手に入る。
魔物の素材とかまさにファンタジーだけど、首から下は人間に近い魔物の解体は出来そうにないので魔石をポイントに替える俺はダンジョンで良かったと思う。
そんな訳でワーウルフは、魔物で間違いないのだけどちょっとだけ戦い難い。
スケさんや兎達には関係ないみたいで、次々に25階層の魔物を倒している、俺はこっそり向かって来るワーウルフ以外は無視して、他の魔物を倒していた。
世間がお盆休みの間も、仕事とダンジョンと忙しく27階層まで進んだ。
26、27階層は周りに墓地の広がる教会を中心にした廃墟となった街の階層。
今までの階層よりも狭いし、前の階層の出入口は街の入口に、次の階層への出入口は教会の奥にあって階層内では少し強い魔物が守っている構図の分かりやすい階層だった。
その代わりに階層の魔物アンデッドの数が半端じゃなかった。
草原階層のオーガの群を思い出すレベルで、様々な魔物のゾンビやスケルトンが襲ってくる。
今までの階層のボス以外の魔物が、アンデッド化して再登場とか見てて鳥肌が立った。
助かったのはアンデッド化したから、魔物のランクが上がるとかはなく、速度が落ちて耐久力が上がるだけだった事。
アンデッド特効のある聖魔法の破邪効果で上がった耐久力もほぼ無視しての攻撃と、魔物の数が多すぎで足らなくなった魔力量を回復するのに呪魔法のドレインが大活躍だった。
知らない内にキッカはドレイン効果のある攻撃スキルを手に取得して、オウカは破邪効果のある攻撃スキルを取得していた。
キッカのステータス、体力999、魔力2997、筋力1998、知力2997、スキルが跳躍、天駆、縮地、衝撃、超音波、波動咆哮、吸魔、隠密、気配察知。
オウカのステータス、体力1998、魔力1998、筋力2997、知力1998、スキルは跳躍、天駆、縮地、蹴撃、耳斬撃、浸透勁、聖光撃、隠密、気配察知。
順調に強くなっている兎達のお陰で、俺も全能力値+4096までスケさんによって上げられている。
そのせいで最近は魔物から奪った武器が俺の力に耐えきれなくなってきた、リザードマンの剣や槍では数回使えば折れたり曲がったりして、ミノタウロスの斧ですら十数回で柄が耐えきれない。
在庫はまだあるけど、このままだといずれ素手で戦う事になってしまう。
鍛冶とか錬金術とかのスキルをとった方がいいんだろうか?
でも、俺はラノベの主人公達のように器用じゃないから、理想の武器や防具、魔道具や魔法薬とか作れる気がしない。
武器が俺の力に耐えられないのは、俺の使い方が悪いせいもあるんだろうけど、アンデッドの階層で武器がなくなって素手で戦うのは嫌だな。
26階層で教会の奥で待っていたのはグールが10体、グールはBランクでも上位の魔物で腐蝕の特性がある。
グールに触れると武器が脆くなってしまう、最初の1体をミノタウロスの斧で頭から一刀両断して地面当たった斧が壊れてしまった。
柄じゃなくて刃の部分がだ、1体倒すのに武器が1つ壊れるのは勿体ないけど仕方ないか。
俺は武器の在庫を減らしながら、10体のグールを倒した。
兎達はグールの腐蝕が危ないのでスケさんと一緒に、教会に入って来ようとするアンデッド達の相手をして貰った。
27階層の教会の奥には、アンデッドプリーストとリビングアーマー3体、スケさんと兎達はまた教会のお守り。
リビングアーマー3体が大剣と大盾構えて距離を詰めてくる、速度はそうでもないが盾の使い方が上手く攻撃を流し体勢を崩しにくる。
3体は常に防御に重点をおいて、攻撃は俺の死角に入った時か、俺の体勢が崩れた時だけ。
一定の距離を保って致命的なダメージだけは受けないよう立ち回り、少しのダメージはプリーストが回復する。
俺がプリーストを狙うと、リビングアーマーが邪魔をする、この時はリビングアーマーは攻撃を優先するから、ダメージを大きく与える事が出来るけど、鎧の耐久力が高くて倒し切る前に他のリビングアーマーが援護に入ってくる。
するとプリーストに距離を取られて、他のリビングアーマーの相手をしている間にダメージを与えたリビングアーマーが完全に回復してしまう。
俺が苦労しているのは、リビングアーマーの大剣が欲しいからだ。
盾に受け流されながらミノタウロスの斧の起動を変えて攻撃したのを、大剣で防がれミノタウロスの斧の方が刃が欠けた。
大剣の方が頑丈な証拠だ、あの大剣なら俺の力に耐えられるかもしれない。
それに見た目がちょっと格好いい、大盾もついでに奪うつもりだ、だから隙を伺っている。
その気になって武器を犠牲にすれば、大剣や大盾ごと、リビングアーマーを倒せるのだ。
グダグダになった戦いも、最初の大剣を手に入れるまで、大剣は予想以上の業物でいとも簡単にリビングアーマーを切り裂いた。
1体倒れてバランスが崩れたら後は早い、リビングアーマーの動きに合わせて盾を弾き、大剣を持った腕を切り落とす。
落とした大剣をすぐに回収、弾いた大盾が戻ってくるまでにリビングアーマーを袈裟で切り伏せる。
1体目を倒してから3体目を倒すまで、だいたい1分くらいで方が着いて、残ったプリーストは、リビングアーマーがいなければ瞬殺。
盾は間に合わなくて1枚しか手に入らなかったけど、大剣は目的通り3本手に入ったので満足した気分で、28階層に進んだ。
部屋に戻ってスケさんに大剣を解析して貰ったら、大剣は自動修復付きの魔剣だった。




