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変な疑いをかけられる事になった

 木の影から出て来た数人が俺と狼男を取り囲む、顔は変なマスクで隠していて分からないけど、スケさんも人間だと言っているので、たぶん人間。


 「『お前らは何だ?』」


 「それはこっちの台詞ですよ、貴方は何者ですか?


 それを倒すなんて普通の人間には出来ないですよ、日本の秘密組織ですか?それとも他の国の?」


 「『つまり、お前らは日本じゃないんだな、他人の国で何をしてるんだ』」


 周りからクスクスと笑い声が聞こえる、話をしている奴が手をあげるとピタリと止まった。


 「この国ってさ、実験をするにはちょうどいいんですよ。


 法がしっかりしているせいで、こういうモノに対応が遅いんですよね」


 また周りから笑い声が聞こえてくる、今度は話している奴も一緒だ、言いたい事はなんとなくわかるけどイラッとする。


 「『取りあえず、もっと詳しい話を聞かせて貰おうか』」


 「お断りします、話をするのはの方ですよ、それと一緒に連れて行きま‥‥す‥‥!」


 話をしている間にすでに全員スケさんが捕まえている、マスク達は身動き一つ出来なかった。


 「化け物か」


 「私達に手を出せば、上のバスもタダじゃ済みませんよ?」


 スケさんが念動の力を少し強める、捕まってるマスク達の身体が軋む。


 『スケさん!ストップ』


 『ハッタリです、バスの近くに不審者はいません、警察も直に来るはずです、ここで弱味を見せるのは悪手ですよ』


 『スケさんの言いたい事は分かる、でも、その警察が信用出来ないかもしれない。


 もし万が一美月に何かあったら‥』


 『わかりました、話を訊くのは諦めます』


 そう言って、スケさんは念動でマスク達を捻り潰した。


 「えーーーーっ!」


 予想外のスケさんの行動に俺は思わず声を出してしまう。


 「何してるんだよ、スケさん」


 『大丈夫ですよ、本体は逃げたみたいですから、死体を遠隔で操って本当の人間とワタシの鑑定視まで欺けるなんて。


 死体なんて運ぶにしろ、現地で調達するにしろ簡単じゃないでしょうに、警察に手が回されてる考えは正解かもしれませんね』


 「死体を操ってって、本体が別ならヤバいじゃないか」


 『だから破壊したんです、ワタシのゴーレムと同じですよ、操る対象がなければ本体は何も出来ません』


 「それならいいけど」


 『それに人質が有効だと思われたら余計に娘様が危なくなりますよ。


 その他の人間が人質として成立するなら、肉親や関係者なら更に効果的ですから』


 「わかった、ありがとう、スケさん、それよりもこれどうするの?」


 『どうしましょうか?』


 スケさんとしては正体も分かったし、さっきのマスク達の態度から役に立つ情報を持ってなさそうな狼男には興味がない。


 とはいえ、このままここに放っておく事も、警察に連れて行く事も、ましてやトドメを刺す事も出来ない。


 『仕方ありません、権田達に押し付けましょう』


 「大丈夫なのか?かなり狂暴だったけど」


 『ちゃんと()てから押し付けるので大丈夫ですよ。


 用心棒にちょうどいいんじゃないですか』


 権田達には悪いけど、スケさんが躾ると言うんだから任せてしまおう。


 狼男は治してあげると、キョロキョロと周りを見渡して、俺をみつけると襲いかかって来て空中でピタッと止まる。


 「がうぁあ」


 『助けてあげたのに牙を剥くなんて、厳しい躾が必要ですね』


 スケさんの念動に動きを止められた狼男が、声なんて聞こえてないはずなのに怯えた目で俺を見てくる。


 これ以上、ここに居る意味はないので俺は狼男を連れスケさんにナビをしてもらって、前の反省を生かし防犯カメラ、監視カメラを避けて家に帰る。


 狭い部屋で2mの狼男はものすごく邪魔で、動けないのをいい事に兎達にけられている。


 見た目は小さいけど兎達は普通に強いので軽くでも、狼男は少しずつダメージを受けている。


 せっかく助けたのに、このままだと兎達に蹴り殺されてしまうので俺は兎達を抱き抱えて止めた。


 夜になって狼男も連てダンジョンに転移した、今日はスケさんは狼男の面倒を見るというので、俺は適当に24階層で兎達と魔物を倒す。


 2時間後、何をしたのか聞きたくないが狼男は物凄く大人しくなっていた。


 何故か体つきも一回り小さくなっているし、俺や兎達に腹を見せて降伏のポーズを取っている。


 いっそ憐れな狼男を連れて部屋に帰り、権田に連絡をするとすぐに返事が返ってきた。


 権田は狼男の事をすんなりと受け入れてくれて、明日の夜には引き取ってくれると言う。


 名前を聞かれたが、俺も知らないので明日までに考えておこうとしたら狼男が口を開いた。


 「俺の名前は、野々原 比呂(ノノハラ ヒロ)って言います」


 「なんだお前、話せたのか?」


 「はい、スケさんにイジ‥‥、指導されてるうちに自我を取り戻しまして。


 元の姿には戻れなかったですけど、少し落ち着いたというか」


 おお、今度は国民的幼稚園児の父親と似た名前か、権田のところはモノマネ芸人みたいになっていくな。


 スケさんとも普通にコミニュケーション取れたみたい出し、兎達といい野々原といい魔物特有の意志疎通方法があるのかもな。


 「話せるなら権田達も助かるだろうし問題ないな。


 明日、権田って奴の所に連れてくから、そこで権田の言う事を聞いてしっかり働けよ。


 一応、スケさんにゴーレムを着けてもらうから、変な事はするなよ、困った事があったらゴーレムに話せばスケさんに繋がるから」


 「あの俺‥‥、人を殺してしまってるんですが‥、警察とか行かなくていいんでしょうか?」


 「本当なら、行って罪を償うのがいいんだろうけど、お前の罪は意識がない時のものだし、警察もお前を捕まえても公表なんて出来ない。


 それどころか、お前をそんな風にした組織に渡されて、また実験とかいって人を殺すかもしれない。


 だから、良くはないけど権田の所で罪を償うように一生懸命働け、権田達も同じような奴らだから仲良くしてくれ」


 俺はそう狼男野々原に言いたい事だけ言って寝た、後は本人次第だし、スケさんや権田達に丸投げだ。


 翌朝、娘からのメッセージとネットニュースに昨晩の事が書かれていた。


 娘に大丈夫だったのかと聞くと、前にニュースにもなってたウサギと、今度は黒い犬みたいなのが暴れていたと返事がきた。


 動きが早くて良く見えなかったけど、周りが壊れていくのは見えたので、暴れていたとなったようだ。


 ニュースの方は何かの力が働いたのか、バス事故として書かれ、死者や重傷者はいなかったが軽傷者多数の為、運転手の運転に問題がなかったのか追及されている。


 _なんにしても娘が無事で良かったと返したら、信じてないと少し拗ねられた。


 信じるもなにも、当事者だし全部分かってるけど、本当の事を伝えるわけにもいかず、ちゃんと信じてるとメッセージを送って家を出た。


 図書館では昨日急に早退したので色々と聞かれ、しばらく会っていない母親がぎっくり腰になったと嘘をついてその場を濁した。


 嘘をついたせいもあるが、昼休みに久しぶりに母親に連絡をして、普段しない事をした為に変な疑いをかけられる事になった。

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