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ステータスを弄り始めた

 身体の調子を整える為に背伸びをして出掛けた。


 手摺を掴んでも壊すような事はない、安心してバスに乗る事が出来る。


 事務所の鍵を開けて、昨日の力加減が出来なくて滞っていた仕事を片付けて。


 今月にあるの図書館のイベントを考える、もう少し気温が上がると学生の図書館の利用数が増える。


 さらに夏休みに入れば、読書感想文の為の本を借りにくる学生も来る。


 普段本を読まない子に、読みやすい本を探してオススメのコーナーに置く。


 エアコンの設定温度も職員で話し合い去年より1℃だけ下げる事に決まった。


 やっぱり、図書館は入った瞬間に涼しいと感じるくらいがいい、去年は微妙だった。


 外に比べれば涼しいのだろうけど、じんわりと出てくる汗は止まってくれなかった。


 ウサギの男の話は今日もまだ続いている、まぁ、近所で起きた事件の重要参考人だし。


 防犯カメラには写っているのに、目撃者が全然いない事もネットでは騒がれている。


 俺はもうウサギの被り物を被る予定はないから、噂もそのうち無くなるだろう、良くも悪くも話題の移り変わりは早い。


 それに今の俺の関心は、家でタオルに丸められた卵だ、俺の目的はもう達成してるから卵はオマケになってしまった。


 だいたい契約した魔物は、召喚してない時はどこに居るんだろう、別の空間にいて喚ばれた時だけ来るならいいんだけど。


 うちのアパートはペット不可だから変な動物なんて飼えないし、物理的にデカ過ぎても飼えないし、人型の魔物でも変な噂が立つと困る。


 サモンエッグは今も卵がずっとあるから、産まれた後もずっと居る様な気がする。


 バレてアパートを変えるのも面倒くさい、荷物が少なくても引っ越しは大変だ。


 そんな悩みを抱えつつ、仕事から帰ると押し入れの中から卵を取り出して眺めた。


 昨日と違って卵の様子は大人しい、ハズレもあるって言ってたけど、どんな魔物が産まれるんだろう。


 ドキドキしながら待っていると卵にヒビが入った、ヒビは徐々に卵全体に広がって、一瞬目を開けてられないほどの光が溢れる。


 「うわっ」


 光に眩んだ目が元に戻った時、卵の殻は消えて2匹の兎がちょこんと座って俺を見ていた、また兎‥‥。


 「これが魔物?」


 『そうですね、体内に魔力の塊がありますし、間違いなく魔物だと思います』


 スケさんが魔物と保証してくれた兎は、手乗りサイズで明らかに戦いには向いてるいない。


 白毛で金眼の兎と黒毛で銀眼の兎がじゃれ合う姿はとても魔物とは思えない。


 手を近づけると、鼻をスンスンと鳴らして匂いを嗅ぐ仕草に癒される。


 兎が出てきた時は少しガッカリしたけど、今はもう俺的にはアタリだと思っている。


 「スケさん、この兎はどんな魔物?」


 『わかりません、ワタシの記憶にない魔物です、ホーンラビットの亜種でしょうか?


 それにしては小さ過ぎる気がします、それにサモンエッグから産まれる魔物は1体のはず。


 マスターが能力値を注ぎ過ぎたせいでしょうか』


 「そうなんだ、俺は2匹とも可愛いからいいけど、小さいし戦えなさそうだからハズレかな?」


 『体内魔力量は多いのでハズレではないと思うんですけど、確かに戦えるようには見えませんね』


 話してる間にも、兎達は俺に身体を擦りつけたり、周りを跳び跳ねたりと愛嬌を振り撒いている。


 「召喚の魔物に名前を付けるのは変かな?」


 スケさんに名付けをしたみたいなイレギュラーが起こらないか確認する。


 『契約の時に、召喚された魔物に名付けをするのは割りと普通ですよ。


 サモンエッグは卵から産まれた魔物と強制的に契約されますし、解約も帰還も不可能なので好きな名前を付けても問題ないですよ』


 「強制契約に解約と帰還が不可能って、それもサモンエッグのデメリットか。


 俺は兎達が気に入ったからいいけど、変な魔物とかだったら困るもんな。


 取りあえず、名付けも問題ないみたいで良かった」


 2匹の兎をじっと見つめて名前を考える、良く見ると兎の瞼に模様がある。


 白毛の方の、緑色の小さな葉の様な模様で金眼がミカンみたい見えるので、橘花でキッカ。


 黒毛の方は、薄桃色の花弁の様な模様が銀眼を縁取っているので、桜花でオウカ。


 「よし、お前達の名前は今日からキッカとオウカだぞ、よろしくな」


 2匹の兎は名前を気に入ったのか、耳を動かして喜びを表している。


 『マスターにしては、随分とちゃんとした名前をつけましたね、ワタシの名前はスケなんて適当な名前なのに』


 どうしよう、スケさんが面倒くさい、スケさんの時は夢だと思っていたから、本当に適当につけた名前だからな。


 今は呼び慣れたし、そんなに悪くない名前だと思うけど。


 「そんな事より、キッカとオウカは、これからどうすればいいと思う?」


 『試しにダンジョンに連れて行ってみてはどうですか?


 ステータスを見る限りは、今は戦えそうにないですけど、魔物には変わりないので戦えばレベルが上がるかもしれませんよ』


 召喚の魔物とは、契約で繋がりが出来ているのかステータスを見る事が出来る。


 キッカは体力1、魔力3、筋力2、知力3。


 オウカは体力2、魔力2、筋力3、知力2。


 というステータスになっている、俺と違って後付けステータスじゃないので+はついてないし、スキルもない。


 産まれたばかりなので本当に弱い、今の階層に行ったらすぐに死ぬんじゃないだろうか?


 「死なないかな?」


 『ちゃんとワタシも、キッカとオウカをフォローしますから大丈夫です。


 それにサモンエッグで産まれる魔物は、能力値を注いだ人間の影響を受けるとも言われてますので、どんな魔物なのか興味があります。


 なるほど、キッカとオウカはスケさんの興味を引いてしまったのか、可哀想だけどスケさんが見守っていれば大怪我や死ぬ事はないだろう。


 それにしても、俺の影響を受けて産まれたのが兎の魔物って、キッカとオウカは可愛いと思うけど、特に兎好きではないんだけどな。


 まさか、あのウサギの被り物に呪われてないよな?


 とにかく、俺はキッカとオウカをダンジョンに連れて行く事にした。


 20階層なら大丈夫と言っていたスケさんのため息が頭の中から伝わる。


 キッカとオウカは予想以上に弱かった、スケさんが

念動で動きを止めたリザードマンにキッカが体当たりして、跳ね返されて地面を転がっていく。


 続いてオウカがリザードマンに後ろ足でキックをして、同じ様に跳ね返されてキッカの横まで転がっていく。


 リザードマンにダメージを受けた様子はない、それ処かキッカとオウカの方が先にバテ始めている。


 リザードマンにはスケさんがトドメを刺して、一応キッカとオウカのレベルが上がってないか確認する。


 「スケさん、キッカにも、オウカにもレベルなんてないけど?」


 『本当ですね、まさかレベルがないなんて、ホーンラビットの亜種なんて話じないですね』


 「それじゃ、キッカとオウカは強くならない?」


 『いえ、また管理機構のミスですね、マスターが能力値を注ぎ過ぎた影響もあるでしょうけど、キッカとオウカは異世界法則とマスターのハイブリット、完全な新種です』


 さっきのため息が嘘の様に、少し早口で興奮気味に説明をしてくれるスケさん。


 『少し試してみましょう』


 そういって、キッカとオウカのステータスを弄り始めた。

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