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頑張るしかないんだから

 魔法使いと会う前に死ぬかもしれない。


 やっぱりダンジョンは危険な所だ、気を抜くととんでもない殺意に襲われる。


 思い込みのせいで心の準備が間に合わず、戦闘開始に一足遅れてしまった。


 相手はどちらも体の大きさに見合わない素早さを見せて、即死級の攻撃をしてくる。


 それに一番厄介なのが、どちらも再生能力が半端ない事だった、攻撃は通用するけど次の瞬間には回復してしまう。


 どうやって倒せばいいのか分からない、ダンジョンの事はスケさんに相談だ。


 「というわけでスケさん、アイツらの倒し方教えて下さい」


 『何がというわけ何ですか、思ったよりも余裕がありますね』


 「余っ、裕なんてないけど、倒し方聞かないと倒せないし。


 咄嗟の時に念話するのは、慣れてないんだよ!」


 ボス達の攻撃を避けたり、防いだりしながらの会話は舌を噛みそうだ。


 『わかりました、サイクロプスの弱点は目です、目を潰せば再生能力が無くなります。


 ただ、狂乱状態になるので筋力値が倍になりますから気をつけて下さい。


 ヒュドラは9つの頭を全部落とせば死にます、同時じゃなくても再生前に9つ落とせば問題ありません』


 スケさんの説明を聞いて先に倒すのはサイクロプスに決める、俺は空間収納から剣を取り出して投げた。


 寸分の狂いもなくサイクロプスの目に向けて剣は飛んでいく、しかし弱点の目を簡単に攻撃させてくれる訳なく、やっぱり防がれてしまった。


 わかりやすい弱点を守るのは当然のこと、目以外はいくら攻撃を受けても回復するんだから、腕を盾にすればいくらでも攻撃を受け止められる。


 スケさんは俺がサイクロプスに集中出来る様に、ヒュドラの相手をしてくれている。


 俺は振り下ろされる棍棒を避けながら、サイクロプスの腕を重力の魔眼で睨みつけて、もう1度収納から剣を取り出して投げた。


 サイクロプスはまた腕を盾に防ごうとするが、重さを増した腕は思った通りには上がらず、間に合わなかった。


 剣はサイクロプスの1つ目に突き刺さり、巨人の咆哮がボス部屋に響き渡り、サイクロプスは暴れ出した。


 俺は目茶苦茶に振り回される棍棒と、空いた手と足が地面を叩き踏みつけるのを避けて、両手に持った斧が届く場所を切りつけ続ける。


 肉を削ぎ骨を削り続けて、数分でサイクロプスが立っていられなくなって倒れた。


 やっと手が届く距離になったサイクロプスの首を俺の斧が切り落として、サイクロプスは光に変わった。


 サイクロプスが地面を叩いて弾かれた石や、攻撃を掠めて出来た傷や痣を魔法で治して、次はヒュドラの相手だ。


 覚悟を決めてヒュドラの方を振り返ると、ヒュドラの最後の首が切り落とされる所だった。


 くるくると空中を高速で飛び回る数本の大鉈が、ヒュドラが光に変わっていくと、スケさんが空間収納に仕舞う。


 少し前にスケさんも、ゴーレムの保管や材料の確保の為に空間収納を取得している。


 お互いの収納は別々だけど、お互い同意があれば収納から収納でのやり取りも出来る、実質は収納量が2倍になった。


 これはスケさんが俺のスキルであるお陰で、普通はスキルを二重で取得する事はないので、新しい発見だとスケさんが喜んでいた。


 空間収納は、魔力値✕㎥、魔力値✕100kgが容量で、どちらかが最大になると収納出来なくなる。


 俺の場合は魔力値が512なので、512㎥か、51・2tだ、 今の所ほまだまだ余裕がある。


 収納内は完全な時間停止ではなく、大体10分の1位のゆっくりな時間が流れている、俺は勝手に時間停止だと思っていたので、スケさんに説明された時に少しガッカリした。


 そんな感じで空間収納には、お互いの使う物を別けて収納のしてある、大鉈を仕舞ったスケさんが。


 『足止めのつもりが、倒せてしまいました』


 と話しかけてくる、ヒュドラをどう倒そうか思いついてなかったので倒してくれて問題ないけど。


 やっぱり、俺よりもスケさんの方が強いんじゃないかと思う、このまま魔法使いの相手もスケさんがしてくれればいいのに。


 階層ボスからは魔石以外にもドロップ品がある、ミノタウロス時は斧がドロップした。


 今では空間収納を利用して、魔物から武器を奪っているので、有り難みはなくなってしまったけど。


 そして、サイクロプスとヒュドラからのドロップ品は、サイクロプス瞳の結晶とヒュドラの毒牙だった。


 俺には全く使い道がないけど、スケさんが嬉しそうに要らないなら自分が貰っていきますと、収納していた。


 何に使うのかは詮索しない、聞いてしまったら俺も共犯になってしまう。


 「今日はここまで、また明日20階層を回って最後に階層ボスだな」


 『はい、明日はマスターがヒュドラの相手をしましょう。


 最終的には、両方をワタシの助け無しで倒せる様に頑張って下さい』


 「俺にはヒュドラは無理じゃない?」


 『頑張って下さい』


 どうやら、俺の意見を聞くつもりはないらしい、スケさんも危なくなれば助けてくれるだろうし。


 嫌だけど、明日の事は明日考える事にして、ゆっくり寝よう。


 翌日、宣言通りにヒュドラと戦わされて、予定時間を過ぎても倒せなかったので、スケさんが助けてくれた。


 サイクロプスの方は、スケさんの相手じゃなかったのか、気がついた時には光になって消えていた。


 俺はスケさんに、ヒュドラは新しいスキルがないと難しいと相談したが、今のままでもヒュドラくらいは倒せると反対された。


 戦い方が下手だからとか、スキルを使いこなせてないとか、色々と言われて凹む。


 あまりに俺が凹んでいたので、スケさんからヒュドラを倒せて、両方の相手をする時は新しいスキルの取得を考えると言われ、何が何でもヒュドラを倒そうと決意する。


 次の日、惜しい所までいったが時間が来たので終了し、その次の日にやっとヒュドラを倒す事に成功した。


 またその次の日は、1日どんなスキルを取得しようか仕事中も考えていて、ボーッとし過ぎて渡辺さんに注意された。


 1日悩んで決めたスキルは、レア(希少級)スキルの障壁3000ポイント。


 障壁は厚さ2㎜程度の無色透明の魔力の壁で、強度は魔力値✕Mpa、自分から5m離れた所までなら好きな場所に展開出来る。


 上手く使いこなせれば、防御以外にも利用出来そうなので、ダンジョンで試すのが楽しみだ。


 なんだかんだと魔法使いに会う迄に、20階層を周回して俺もスケさんも目標のスキルレベルまで上げる事が出来た。


 障壁はまだまだ使いこなせてないけど、サイクロプスとヒュドラをスケさんの助けなしで倒せる様になっている。


 図書館の本の匂いで少し気持ちを落ち着かせる、今夜は権田と一緒に魔法使いに会いに行く、出来る準備はしたけど不安は消えてくれない。


 「お疲れ様です、どうしたんですか?今日はずっと怖い顔してますよ」


 帰りに、渡辺さんに声をかけられて、鏡がないので両手で顔を触って確認する。


 「そんなに怖い顔してましたか?」


 「はい、朝からずっとです、何か悩み事ですか?」


 「悩みなんてないですよ、ちょっと今日の夜の予定が憂鬱なだけです」


 「どんな予定知りませんけど、そんなに憂鬱ならスッポかしちゃえばいいんじゃないですか」


 「そういう訳にもいかないんですよね」


 「じゃあ頑張るしかないですね」


 「ありがとうございます、頑張って来ますね」


 渡辺さんと話をして覚悟が決まった、魔法使いがどんな奴でも、頑張るしかないんだから。

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