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社長
車に揺られること約七分。ツェントシスの打ち上げ会場についた。会場に入ると結婚式にあるようなレイアウトがされていた。
「楓太、社長のとこいくぞ」
父さんにつられ俺は社長のところまで連れ出された。
「社長、連れてきましたよ。疾風を」
社長と呼ばれた人はすぐさま俺の手を取った。俺はいきなりのことで少し引いたが、悪い人には見えなかったので受け入れる。
「君が疾風先生か。いやぁ疾風先生には頭が上がりません。ツェントシスのおかげでこの会社は倒産せずに済んだ。改めてお礼を言おう。本当にありがとう」
「いいですよ。お礼なんて。 こちらからお礼をお礼をしたいくらいです。」
そう言いながら俺は父さんに助けを求めたが頷くだけで何もしない。
「疾風先生、今宵はスペシャルゲストとしてみんなの前で軽く挨拶をしてほしいのだ。今日の打ち上げはツェントシスに関わった全ての人がいる。どうかお願いできないだろうか」
そう言って社長は頭を下げた。俺は少し考えたが受けることにした。
「わかりました。挨拶をしますよ」
俺は力なくそう答えたのであった。