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65:毒使い、渋々認める



 一言で斥候職と言っても色々とある。

 例えば【スカウト】であったり【盗賊】や【暗殺者】なんてのもある。

 変わり種だと【罠師】や【マッパー】なども含まれる非常に広い定義を持つ職柄だ。


 その中でも最上位と目されるのが【忍者】である。

 私がこの世界に来てその(ジョブ)の存在を知った時、少なからず前世との繋がりを感じたし、「リアル忍者がいるのか!」と興奮したりもした。


 しかし【忍者】まで辿り着ける者などごく僅か。

 ある意味で固有職(ユニークジョブ)と同じような希少性を持っている。

 暗部の現頭領でさえ【忍者】ではないらしいのだが……



―――――

名前:サフィー・フォン・ストライド

職業:スタイリッシュ忍者Lv16

スキル:忍びの直感Lv2、スタイリッシュ忍術Lv2、短剣術Lv2、投擲Lv1

S忍術=火遁、水遁、隠れ身、影縫い

―――――



「普通の【忍者】がいいんだけど」


「んなっ! なんでですの!? スタイリッシュですわよ!? スタイリッシュ且つ【忍者】ですのよ!? まさに究極の(ジョブ)ですわ!」



 スタイリッシュさは求めてないんですよねぇ……。

 これ【NINJA】の可能性あるしなぁ。とりあえず「忍べよ」と言いたい。


 さておき、スキルを一つ一つ教えて貰う。

 <短剣術>と<投擲>は予想通りだから大丈夫かな。ただし短剣は(ジョブ)の装備制限で忍刀になるらしいけど。

 同じように槍を<投擲>とかも出来ないらしい。あくまで『投擲専用武器もしくはアイテム』に限られると。

 じゃあ投げナイフがどうなのかって話しなんだよね。ナイフは(ジョブ)制限で装備できない。投げナイフならオッケー? と思ったらダメらしい。でもクナイは大丈夫らしい。おい! 世界システムさんよぉ! どうなってんだよ!



「<忍びの直感>ってのは所謂″複合スキル″だな。【忍者】でも確認されてる。<直感>ってスキルが気配察知・危険察知の複合なんだが、<忍びの直感>はそれプラス、罠察知と罠解除・急所察知も含まれる」


「そりゃすごいね」


「オーーッホッホッホ!そうでしょう!そうでしょうとも!」



 素直に超有能スキルだと思うよ。さすが【忍者】。



「<スタイリッシュ忍術>ってのは知らねえ」


「だろうね」


「ウオッホン! 説明いたしましょう! 所謂<忍術>をスタイリッシュに放つスキルですわ!」


「全然分からねえ」


「だよね」



 <忍術>というのは火遁であれば炎を放ち、水遁であれば水流を放つ、魔法とは一風変わったものなのだそうだ。水遁って潜るやつじゃないのか……。

 隠れ身は気配遮断、影縫いは敵の影にクナイとかを刺し込むことで行動阻害させる。

 何を行うにしても本当に有能なスキル、それが<忍術>。さすが【忍者】。



「つまり、スタイリッシュな構えから、忍術を放てばスタイリッシュに決まる! まさにスタイリッシュなスキルなんですわ!」


「全然分からねえ」


「だよね」



 なんかね、『サフィーがスタイリッシュと思うポーズ』と共に″火遁″を放つでしょ? 普通の<忍術>だと火炎放射的なものになるらしいんだけど、<スタイリッシュ忍術>だと火柱が相手を包んだ後に花火っぽく炎が散るらしい。

 ちなみにポーズなしだと発動しないらしい。どういう事? よく見つけたね、その法則。

 あと花火っぽいエフェクトいらないよね? 邪魔だよね? 忍ぶ気ないよね? さすが【スタイリッシュ忍者】。



「やっぱ普通の【忍者】とチェンジしてもらっていいかな?」


「ちょっとおおお! お待ちなさいなっ! これだけワタクシの有用性を説いてますのにどうしてそうなりますのっ!?」



 他の四人を見回す。

 ポロリンとおっさんは「うわぁ……」って顔してる。

 ネルトは無表情だがどことなく面白そう。

 リーナは真面目な表情で頷いている。どうやら<忍術>の有用性を認めているらしい。「素晴らしいですね、さすがはサフィー様」と。



「いや、【忍者】の能力の高さと<忍術>のレパートリーの多さは素晴らしいよ。確かにパーティーに居たら助かると思う」


「そうでしょう、そうでしょうとも!」


「だけど命懸けで戦ってる最中にさ、となりでスタイリッシュポーズ決めてるわけでしょ? そんなの邪魔だし笑うし無駄じゃん?」


「辛辣っ!?」



 とまぁそういう事だよね。【スタイリッシュ忍者】だからこそ固有職(ユニークジョブ)なんだろうけど、その″スタイリッシュ″が邪魔すぎるっていう。


 逆に言えば、スタイリッシュさをどうにかすれば、非常に使える人材だ。

 <忍びの直感>だけでも素晴らしいし、スタイリッシュさに目をつむれば″火遁″と″水遁″は今までパーティーになかった『属性攻撃』なわけだしね。

 本当は『属性』って【魔法使い】とかの役割なんだろうけど、うちらの魔法担当はニートなもんでね。属性とかちょっとアレなんですよ。



「うーん、どうしようか……とりあえずパーティーには入れたいと思います」


「ホントですのっ!? アゲサゲが激しいですわねっ!」


「色々と言ったけど、サフィー自身も(ジョブ)も有能なのは間違いないからね。だけど実戦で試す前にさ、考察させてくんない? 実際にスキルを見てからどうやってパーティーで戦うか決めたいし」


「もちろんですわっ!」


「リーナもね。能力は知ってるけど使ってるとこほとんど見てないし」


「承知しました」



 という事でリーナもサフィーも仲間にしました。

 いかにも「弄ってくれ」「突っ込んでくれ」って(ジョブ)だったからウダウダ言ったけど、二人的にも私たち的にも揃ってたほうが良いんだろうしね。



 ついでとばかりに私たちの能力も明かしておく。

 これから同じパーティーなのだから明かさないわけにはいかない。



「私は【ニートの魔女】」


「なんと、【魔女】でしたか……それで見た事のない魔法を……」


「ワタクシ以上の索敵をお持ちでしたわね! 負けませんわよ!」



 リーナが言ってる魔法ってのは<念力>だと思う。だけどそれは魔法じゃなくてスキルなんだよね。

 そして<空間魔法>のグリッドとホークアイは限定的で反則的な索敵だからね。サフィーとは土俵が違うと思うよ。



「えっとボクは……【セクシーギャル】です……」


「「えっ……」」



 正しい反応だよ。

 この後しばらく問答が続いた。そうだよね、訳分かんないよね。

 男だけど【セクシーギャル】とか、<セクシートンファー術>って何、とか。

 あ、ポロリン、ハーレムパーティーになっちゃったね。良かったね。でもね、お前が一番かわいいんだぞ? どういう不具合ですか、これ。



「そんで私が【毒使い】ね」


「これは……本当に<剣術>もなければ、回避系のスキルもないのですね……」


「お爺様が知ったら絶対スカウトに来ますわぁ……良い暗殺者になるでしょうに……」



 やめて下さい。私【漆黒†幻影(ファントムシャドウ)】とかいう中二集団に入る気ないです。


 とにもかくにも、これで二人が我ら【輝く礁域(グロウラグーン)】に加わった。

 これからしばらく慌ただしくなりそうだ。

 二人入ってやる事が目白押しだね。



―――――

名前:ダンデリーナ・フォン・ジオボルト

職業:サシミタンポポLv17

武器・なし

防具・指定学生服(防御+3)

   指定学生外套(防御+2)

   指定学生ブーツ(敏捷+1)


HP:118

MP:65

攻撃:138

防御:72(+5=77)

魔力:25

抵抗:48

敏捷:122(+1=123)

器用:84

運 :151


スキル:タンポポ乗せLv2、解体Lv2、包丁術Lv2、パッケージングLv1

包丁術=ぶつ斬り

―――――

名前:サフィー・フォン・ストライド

職業:スタイリッシュ忍者Lv16

武器・なし

防具・指定学生服(防御+3)

   指定学生外套(防御+2)

   指定学生ブーツ(敏捷+1)


HP:79

MP:118

攻撃:114

防御:22(+5=27)

魔力:97

抵抗:57

敏捷:150(+1=151)

器用:145

運 :7


スキル:忍びの直感Lv2、スタイリッシュ忍術Lv2、短剣術Lv2、投擲Lv1

S忍術=火遁、水遁、隠れ身、影縫い

短剣術=急所突き

―――――




ドゥーデドゥデーン、ドゥードゥデドデーン

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