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01:職決めの儀

※この物語は完全フィクションの超オリジナルであり、某毒とは何の関係もなく何の要素も含まれません。ただのよくある異世界転生ものです。某町兄貴のファンや某グレートティーチャーのファンの方は速やかにブラウザバックする事をお勧めします※



 私の名前は空町タカコ。

 いや、それは前世での名前。今はピーゾンという名の女の子だ。


 二五歳の若さで死に、気付けばこの世界にいた。

 突然、産まれたばかりの幼児となった当時の混乱っぷりはヤバかった。


 おまけとばかりに剣と魔法の世界で、ステータスやらスキルやらあるのが当然とくれば、夢かゲームの世界かとしばらくの間疑ったものだ。

 まぁ結局は現実だったんだけどね……。

 グラフィックと五感反応が異常に発達したVRMMOだと言われたほうがまだマシだった。

 魔物が溢れる世界でセーブなし、コンティニューなしの初見ノーデスプレイとか無理に決まってるでしょ。興味はあれど死ぬ気はなし。


 だから私は普通に生きるのだ。

 村にある実家の食堂を両親と共に経営し、料理させてもらえるようになったあかつきにはマヨネーズ無双をするのだ。

 それくらいの知識チートはしてもいいでしょう。せっかく前世の記憶を持って転生したんだから。



 そして今日、私には十歳にして人生最大の転機が訪れている。


 村から離れた都市『オーフェン』。

 人混みの中を進んだ先に見えたのは白く立派な神殿だ。



「何突っ立ってんだよピーゾン。早く行こうぜ!」

「はいはーい」



 前を歩く少年――アルスがこちらに振り向きそう叫ぶ。

 この子……と言っても私も同じ十歳なのだが、同じ村から来たいわゆる幼馴染だ。

 事あるごとに何かと絡んでくるが、村には同年の子供が居ないので私に構って欲しいのだろう。まぁ精神年齢がすっかり大人の私からすれば元気な少年だなーという感じなのだが。


 わざわざ村から離れた都市に十歳の子供だけで来た理由は、この神殿で『職決め』が行われる為だ。


 この世界は『(ジョブ)』が全てといっても過言ではない。

 しかも神官による神託魔法で勝手に決められてしまう。そこに自由意思はない。

 【魔法使い】になったけど剣が好きだから頑張って剣士になります!……というのはまず無理。スキルもステータスも装備に至るまでが、勝手に決められた(ジョブ)に沿われたものなのだから。


 ……だから私も普通に生きようって決めたんだけどね。廃ゲーマーは学生時代で卒業したのだよ。


 剣も魔法も頑張れば熟せて、レベル上げてヒャッハー出来るのならそれで良かった。

 ファンタジー世界、スキルやステータスがある世界で冒険するのは憧れもした。

 でも運で決まる(ジョブ)に左右される人生ってどうなのよ、と。

 しかも魔物あふれる危険な世界で。ろくな未来が見えません。



 そんなわけでアルスと神殿に来たのだ。

 十歳にして人生が決まる日。

 大いに期待しようじゃないか。第二の人生、ファンタジー世界での普通な人生を!



 ちなみに第一希望は【村人】である。

 レベル10になれば生活魔法を使えるし、派生職で【料理人】に行く可能性もある。

 【農家】に派生して食堂用の菜園を作るのもいいし、【経理士】に派生すれば食堂的には大助かりだろう。

 一般的にはハズレ扱いされる【村人】だが、だからこそ私は希望する。


 次いで第二希望は【料理人】。

 派生職や上級職がいきなり選ばれる事は、少ないながらもあるらしい。

 この日の為に(ジョブ)について調べまくった私に隙はない。

 ただまぁそこまで期待するのもアレなので、私としては第二希望。


 あとは【剣士】や【魔法使い】などの戦闘職。

 冒険するつもりはないが、食堂を手伝いながら上手くいけば魔物食材もゲット出来そうな気がする。

 食堂の用心棒的なポジションでもいいし。

 ただ、同じ戦闘職ならば【神官】や【巫女】のほうが望ましい。回復や治療が出来れば健康で普通の生活が送れそうだ。戦闘職ならこっちが本命。



 とまぁ、何が選ばれても両親と食堂で働くのには変わらない。

 そういう意味では気も楽だ。



「ではこの紙に手を置いて。では行きます―――」



 私とアルス以外にも子供は沢山居た。都市内の子供の他、付近の村からも集まって来たのだろう。

 神官さんが一人一人に神託魔法をかけていく。



「やったー!【魔法使い】だ!」

「俺は【鍛冶師】だって!」

「派生職じゃん!すげー!」

「あー、【村人】だー。なえるわー」



 おい、そこの少年。【村人】を残念がるのはヤメロ。

 私【村人】だったらガッツポーズする自信があるぞ。


 そんな事を思いながら流れ作業のような神託が続く。

 私の前に受けたアルスは【剣士】だった。はしゃぎっぷりがスゴイ。

 うんうん、ずっと【剣士】になるって木剣振ってたもんねぇ。それをきっと神様が見ていたんだよ。思いは実を結ぶってね。私もちょっと感慨深い。



「では、次の子、前へ」

「あ、はい!」



 ああ、アルスなんかに構ってる場合じゃない。

 私の人生の大一番だったわ。

 というわけで神官さんの元へ。

 紙に手を乗せ、神託魔法を受ける。



 紙にはまず私の名前と(ジョブ)が表示された。



―――――


名前:ピーゾン

職業:無職Lv10


―――――



 これが神託魔法により変化する……!

 期待に小さな胸が膨らむ……!気がする……!

 さあいでよ!私の(ジョブ)よ……!!



―――――


名前:ピーゾン

職業:毒使いLv1


―――――



 ……………………毒?




ドゥーデドゥデーン、ドゥードゥデドデーン

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