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第7話 残業禁止!

厄介な案件が発生した。

なんとしてでも今週中に片付けたい。出来れば今日中に。


「首相、あまり無理をしては…」

秘書のチャーリーが心配そうにジャスティンの様子を伺う。


「心配ないよ。若返った以外は健康だから。それよりも、この問題を長引かせることこそ問題だ」


とある地域のゴミ処理場で問題が発生した。ゴミ処理が滞ると公衆衛生の問題が発生する。子供や老人、弱いものから病気になるだろう。

こうしている間にもゴミは発生している。発生したゴミは速やかに処理する必要がある。

問題は一刻も早く解決せねばならない。


「問題のゴミ処理場の設備ですが、やはり稼働再開には部品の交換と修理が必要なようです」

「どのくらい時間がかかる?」

「最短で5日から7日だそうです」

「その間、近隣の処理施設で分担してゴミを処理するようにしましょう」

「ゴミを出さないよう家庭の努力も必要です」


「まずは近隣の処理施設での分担を確実にしよう。市民への協力依頼はその後だ」


首相の指示で素早くゴミ処理場の関係者が集められ、運転再開までの間、近隣の施設で分担してもらえることが決まった。



── 子供首相が映像で協力を呼びかけることになった。


「皆さんご存知の通り、南地区のゴミ処理場で問題が発生しています。稼働再開には最短で約1週間かかります。

ですがその間のゴミ処理は近隣の施設で請け負ってもらえることになりましたのでご安心ください。

皆さんには出来るだけゴミが発生しないようお願いいたします。生ゴミを庭に埋めて堆肥にしたり、過剰包装を断ったり…普段から実践されている方も多いと思いますが、今まで意識されてこなかった方にもご協力をお願いしたいのです。出来る範囲で、どうかご協力をお願いいたします」


全国ニュースでこの映像が流れた。

そして炎上した。



子供首相の目の下に大きくて濃い隈が出来ていたのだ。


子供首相は再び声明を出した。


「私の健康問題でお騒がせして大変申し訳ございません。しかしすでに報道されている通り、見た目が若返った以外、健康に問題はありません。

今回は、速やかに対処する必要があり無理をしましたが無理をしたのは私だけではありません。

今回の問題が解決いたしましたら、私だけでなく、組織全体の残業問題と働き方について対応することをお約束いたします」


再びやつれた姿をメディアに晒した結果、ネットで炎上した事が原因で子供首相を追い込んだ説が出てきた。


その結果、ゴミ削減運動が盛り上がり、首相周辺の労働環境を責める論調が下火になった。


宣言通りゴミ処理場の稼働が再開した。5日後の再開なので関係者が頑張ったのだろう。


「宣言通り残業対策を進めよう」


首相の支持で、仕事もせずにぽやぽやして、何もしていないのに残業してるふりをして居座っている“Windows 2000”と呼ばれる年俸2000万の窓際族を、サボりようのない部署に配置転換した。


次に業務を効率化したスタッフの賃金を上げた。これは“Windows 2000”に無駄に支払っていた残業手当てで賄った。


いずれ効率化を邪魔する者が再び現れるだろうが、定期的に対策してゆく予定だ。



***********

「う…」

「首相、お眠ですか?今日は朝が早かったですからね」

「これだけは今日中に…」

秘書のチャーリーが手元の書類を覗き込む。

「明日でも良いものですね。今日はお終いですよ」


秘書に抱き上げられて背中をポンポンされ、今日もすやすやと眠ってしまった。



── 定時勤務を徹底した結果、首相官邸はホワイトな職場の見本となった。問題は首相の子供化だけだが、首相が子供でいるメリットがあり過ぎて治療法の研究が今ひとつ進まなかった。


小児インフルエンザの特効薬が開発されたのはジャスティンが首相の任期を終えて直ぐのことだった……。

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