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第2話 落ち着け自分、冷静になるんだ

妻に子供抱っこされるとは……。


最愛の妻のお膝に座って混乱する頭の中を整理していた。


「パパ可愛い〜」

「ええ、可愛いわね」

愛する妻と娘達が私を愛玩する…むふふ、悪くない。


妻と娘たちに撫でられていると秘書と医師団が訪ねてきた。


「おお、待っていたよ! それで私はどんな病気なんだね?」

「非常に珍しい症例ですが…このような症状は他に例が無く…小児インフルエンザで間違い無いと思われます」

「小児インフルエンザ?」

「はい。非常に症例が少ないため、原因や対処法が見つかっていないのが現状です」


私を抱く妻が震えている。

安心させたくて妻の手を握る。


── 自分の手が小さくて凹む。


「首相?」

「き、聞いているぞ。原因も治療法も分からないということだったな」


ぽたり。

妻がこぼした涙が私の上に落ちてきた。


「エリー」

安心させたくて妻の手を握る。

── 自分の手が小さくて落ち込む。


「ですが命に関わるものではありません。隔離の必要もなく通常通りの生活を送ることができます」

「ううっ…良かった…良かった……」

妻が私を抱きしめてすすり泣く。心配をかけてすまない。


「ですが治療法は見つかっておりません」

「大人に戻れないということか?」

「はい。残念ながら…。過去に罹患した患者は皆、若返った年齢から通常の速度で再び成長し、健康問題を抱えることなく普通に生活して普通に老いて寿命で亡くなっています」

「そうか」

「閣下の精密検査の結果も出ました。健康に問題はありません。すべての数値が見た目年齢にマッチしています」

「…そうなの?」


「閣下の視力は0.1以下でしたね?」

「ああ」

「現在、眼鏡を掛けておられませんが視力に問題を感じていますか?」

「……いや、そういえば見えている」

「閣下の視力が落ちたのは?」

「16歳ごろから…」


「閣下は小児インフルエンザに罹患しています。肉体が若返っておりますが、それ以外の健康問題は見られません。過去の患者の記録によると、知識や経験を持ったまま肉体だけが若返るようです。閣下もでしょうか?」

「うん、通常通りの執務を行うことができるよ」


さらなる検査の為にと採血された。

治るのかな…。

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