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二人の冒険

作者: miharu

テスト、テスト。

システムがよくわからないので、とりあえず投稿しました。

小さい子の世界は広いのです。

 お揃いのピンクのワンピースに、お気に入りのお花のサンダルを履いて、小さな姉妹は旅に出ました。手には紙コップを一つづつ、お母さんから任された、とても大切な使命です。


「ゴミ箱までいって、捨てておいで」

 お出掛け先のフードコートで、お母さんが言いました。お母さんはテーブルで待っています。字が書けるようになったお姉ちゃんと、お姉ちゃんの真似をするのが大好きな妹の冒険の始まりです。

 始めに立ちふさがったのは、イスとテーブルの林でした。ずらずらと並んで、まるで迷路のよう。その間を、知らない人がいったり来たりしています。ぶつからないように気を付けて、でも急いで小さな姉妹は走り抜けます。早く捨ててこないと。もうすぐお夕飯の準備の時間なのです。

 懸命に走って次に姉妹がたどり着いたのは、給水コーナーです。そびえ立つ灰色の台のなんと高いことでしょう。お姉ちゃんの身長と同じくらいの高さです。この近くにゴミ箱があるはずなのですが、どうしてかどこにも見当たりません。ウーンとお姉ちゃんは考え込んで、少しすると「こっち!」と左を指差しました。妹も真似をして「こっち!」と叫びます。えっちらおっちら給水コーナーを二人仲良く走って回り込みます。

 ですが、あれあれ? 反対側に来てもゴミ箱はありません。お姉ちゃんはまたウーンと考え込みました。

「…………こっち!」

 お姉ちゃんが、今度は右手をあげました。大急ぎで来た道をかけ戻ります。少し遅れて妹も「こっち!」と叫んで続きます。そのまま給水コーナーを反対回りで回り込むと…………。

 あった、あった! ありました!! お母さんの言っていたゴミ箱です。

 ですがそこへ、すっと黒い影が差し込みました。白い三角巾に作業服、お掃除係のおばさんです。おばさんは二人に気づかず、いつものように手際よく一杯になったゴミ袋を回収し始めます。

 さぁ、大変です。ゴミ箱にゴミ袋がかかっていなければ、紙コップは捨てられません。どうしましょう、どうしましょう?

 そんな時、お姉ちゃんはお母さんに教えてもらった言葉を思い出しました。そうです。今こそ、それを言う時です。勇気を出して、大きな声で。

「すみません、これもすてさせてください!」

 お姉ちゃんの大きな声に、おばさんはビックリして振り向きました。お姉ちゃんは高く紙コップを掲げます。妹も両手で掲げて背伸びをしました。さて、おばさんは捨てさせてくれるのでしょうか?

「あらあら、ごめんなさいね。はい、どうぞ」

 おばさんはにっこり笑うと、二人の前にしゃがんでゴミ袋を広げてくれました。ああ、よかった。とっても優しい人みたい。

 そうして無事、紙コップを捨てると小さな姉妹は今度こそ来た道をまっすぐ引き返しました。テーブルでは、お母さんが待っています。

「おかえり。ちゃんと捨てれた?」

 帰る準備をすっかり済ませたお母さんに、元気よく「うん!」と答えるとお母さんは二人の頭を沢山撫でてくれました。


「今日のお夕飯は何にしようか?」

 お母さんと三人、手を繋ぎ、お家へと帰ります。今日はなんだか二人とも、いつもよりずっとお姉さんの気分。

「おかあさんは、なにがいいの?」

 お姉ちゃんが、お母さんを見上げると、妹も同じように見上げます。だって今日は二人とも、とってもお姉さんですから。お夕飯のメニューくらいお母さんに譲れるのです。

「じゃあねぇ、お母さんはカレーがいい」

 にっこり笑ったお母さんの言葉に二人は両手をあげて喜びました。だってカレーは、二人の大好きな物なのです。

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