「宇宙刑事が来た!」
ひとまず一段目のポイント通過! ご支援有り難う御座います!!
【……さて、四人も束になって敵うかしら? ……と、言いたい所だけど……】
【カイジョ】はそう言うと、腕を組みながら右手を顎に添えて、物憂げな眼差し(ルビーみたいに真っ赤だけど)を私達に向けながら、
【……この決着は、また今度にしましょうねぇ……♪】
身勝手な彼女はそう言うと、真っ赤なドレスを翻しながら私達に背中を向けて、何もない空間に両手を差し出すと、
【……ちょっとタンマ、あー、よいしょっ、とな……】
グイグイと左右に動かして切れ目みたいな空間を作ると、何となくハシタナイ感じで足を上げて切れ目に身体を押し込み始めて……あ。逃げる気だったの!?
「ち、ちょっと待てっての!! コッチは四人も集まって、さぁこれから! って時に逃げ出すとか卑怯よっ!!」
【……うっるさいわねぇ……こっちも色々と都合があんのよ……二度と会わない訳じゃないからお黙んなさいって!】
そうやってサッサと逃げ出すかと思ったら、律儀に私の言葉に応じながら顔だけ出して、ペロリと舌を出してアッカンベー……って、……はぁ!?
【ふんだ!!……コッチはソコの元ロリっ子に養分吸われてカスカスよ? ……これじゃ肌艶悪くなって、ほうれい線が目立っちゃうわよ……ホント、やんなっちゃうわ!】
「何よそれ!! って、……もしかして、あなたもアラサー!?」
【ぶぅ~! ノーコメントでぇ~す!! 喩えアンタ達より若くても絶対に教えませ~ん!!】
……あー、【カイジョ】もアラサー確定っぽいなぁ……そーいえばヨーチューブ撮影隊も結構カメラ向けてたよね。あの人達、まじかる☆ウニょん曰く『撮影の仕事は全うするけれど、出来るなら被写体は擬ロリよりもガチなアラサーの方が萌える』タイプだって言ってたわね……ほんの少しだけ、我が身を心配しちゃうわよ?
【さーてっと!……そろそろ『ウチュウケイジ』もやって来る頃合いだから、お暇するわね? じゃ~またね~!!】
唖然とする私達を残して、そう言いながら【カイジョ】はさっさと逃げちゃったけれど……気になる事を言ってたな。『ウチュウケイジ』って……テレビで昔見たみたいな……あの宇宙刑事の事?
「おねぇちゃん!! 何でも撃って、やっつけちゃえばよかったじゃん!」
「ゴメン、和子……私の魔力、全然残って無かったから……」
詫びる私に落胆する和子だったけど、じゃむキャット先輩やエレさんの二人も……まさか?
「……ほーりぃさん、私もエレちゃんと二人掛かりで、あの結界を壊すので精一杯だったから……ゴメンなさいね?」
じゃむキャット先輩はそう言うと、手を合わせながら眉を下げてモジモジして私にお詫びする感じだし、
「私は【カイジョ】相手に戦った事が有りません……無理は禁物ですので自重していました。申し訳有りません。」
こんな時でもキリッと凛々しいエレさんですが、お股に鎮座するフェルデナント君も、鼻を垂らして何となくしょんぼりしちゃって見える……?
「まぁ、とにかく【カイジョ】は居なくなったんだから、私達も長居は無用よね? ひとまず退散しましょうか!」
みんなの微妙な雰囲気を察して、じゃむキャット先輩が手を打ち合わせながらにこやかに宣言し、私達はその場を後にしようと動き出した瞬間、
《……言わなくても判っていると思うが、無駄な抵抗はするな》
冷酷無比って、こんな声に対して使うんだって……【魔法少女】になって、初めて知ったわ……
《……【宇宙刑事】だろうと何と呼ぼうと構わん。だが、今から一切の抵抗は全て……》
さっきの【カイジョ】の時とは比べ物にならない程の速さで、巨大な結界が張り巡らされて、周囲の空間から私達はあっという間に隔離され……
《……【滅消】対象とする。例外は無いと思え》
空間を切り裂く光と共に、蒼い鎧みたいなキラキラと輝く格好の……
《……お前達、【魔法少女】に問う。お前達の魔導の源とは何だ?》
……同じ感じのフルフェイスヘルメットを被った人が、私達の前に現れて、尋問が始まった。
《……そして、【カイジョ】との違いとは、何だ?》
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《うーむ、なるほどなぁ……それって、昔から決まっていた事なのか?》
一見すると、堅物そのものの見た目と違って、案外気さくだったりする訳で……
「そうよ? 私の場合は……まぁ、結構待たされた感じかしら?」
じゃむキャット先輩が焼き鳥串を摘まみながら、少しだけ躊躇して時間経過だけ暈しつつ、【宇宙刑事】サンの質問に答えていて、
「私は農業高校を卒業して直ぐに、【魔法少女】にスカウトされましたが、実際に活動開始したのは去年からです。フェルデナントも同様です。」
「ぱぉん!!」
フェルデナントくん、そーだそーだと頷きながら、鼻で器用にバナナの皮を剥きながら、口に運んでます。エレさんはほんのり頬を赤らめながら、ビールを傾けていて、
「私は、おね……ぱ、パルすいーつサンに誘われて《友達枠》って事で【魔法少女】になりました! ……だから、まだ『ステッキ』を上手に使いこなせないんだけど……」
和子はすっかり元通りの擬ロリな見た目(吸い取った魔力は溜めておけないそーだ)とは裏腹に、激辛チョリソーやらハバネロ唐揚げやらをモシャモシャと食べながら、
「……私? ……うん、小学三年生の時にスカウトされたんだけど、『【魔法少女】キャンセル待ちが沢山居るから、まだ暫く時間が掛かるのぅ』ってまじかる☆ウニょんに言われて、ずーっと待ってたら、アラサーで既婚者になっちゃいました! ……私だけ十八年待ったのよね……物凄く不公平じゃないッ!?」
そして、私はその時の事を思い出して、【宇宙刑事】サンに向かってフランクフルトを突き出しながら問い質してます!!
《……いや、まぁ……確かに不公平だが、スカウトされた際に説明されたのだろう? なら、クーリングオフは難しいのではないか?》
「……うっ、確かに……でもでも!! 小学三年生に難しい契約の話を理解しろってのも無理難題だと思うんですけれど!!」
気付けば【宇宙刑事】サン、すっかり私の勢いに気圧されて、顎に手を当てながらジョッキに口を付けつつ、
《……ふむ、しかし……こうして話を聞いてみれば、君達【魔法少女】も大変な事が多いようだな?》
そう言いながら、口元を開けて掴んだ手羽先ギョーザを噛み締めてから、おしぼりで手を拭き拭き。
……どうしてこうなったかって?
まぁ、いわゆる飲みニケーションって感じですかね?
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