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13/18

「ノア先輩と二人旅!!」

一週間振りの更新ですが、宜しくお願い致します!



 たんとんとん、と包丁を使いながらキッチンでキュウリを刻み、ハムを切る。


 ニヤニヤしそうな口許を抑え抑え、卵を割って溶いて、出汁と砂糖を合わせてから、玉子焼き器に流し込み、じゅわっと音を立てさせる。


 よく『煙が上がるまで熱してから入れろ』とか言うけどさー、テフロン製じゃそーゆーのはNGなんだよねー。しっかりと油回してから、それなりにあっためて卵を入れればOKなんだよー?


 「かんたんなことよ~♪ だれにだって~♪ でっきるはずぅ~♪」


 鼻歌を唄いながら、玉子焼き器に流した卵の泡を箸の先で潰して火から離し、四方に傾けながら卵を玉子焼きに変えていって、


 「……よっ、……ほぉ~い、……とっ!!」


 箸で摘まんでまな板の上に移してから、包丁で刻んで金糸玉子にして……


 「……そっれがぁ~♪ みんなのぉ~♪ ねっがいならぁ~♪」



 ……ヨシオさんの分と、私の分とを分けて……



 「……さて……茹で上がったかな?」


 お湯の中で踊ってる中華麺をザルに取って、わしゃわしゃと流水で洗って粗熱を取ってから、氷水に入れてキンッキンに冷やしてから……しっかり振って、水気を切る!!


 「ねぇ~、紅生姜は載せるぅ~?」

 (……載せていーですよー)


 盛り付けた麺に、キュウリ金糸玉子ハムもやし……それと、カラシとトマトも忘れずに……で、めんつゆに少しだけポン酢入れて……


 「……出来たっ!!」


 夏と言ったら、冷やし中華っ!!


 ……やっぱ、これですわ~♪




✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳




 じーわ、じーわじわじわじわ……


 セミの鳴き声を遠くに聞きながら、好みのドレッシング(ヨシオさんは中華風、私は胡麻ミソです!)を振り振りしてから……いただきます!!


 「……どう? 酸っぱ過ぎなかった?」

 「ううん! そんなことないよ! ……金糸玉子も甘くて美味しいよ♪」


 ヨシオさんは几帳面に、箸で盛り付けた具材を崩さずに分けながら、美味しい美味しいと言って食べてくれてます! 作った甲斐が有ったわ~♪



 「……ところで、カズミさんに言っておかないといけない事が有るんだけど……」

 「……ん? なぁに?」


 二人で向かい合って座りながら、カラシのツーンとする刺激でチョイとウルッて涙目になってると、ヨシオさんが麦茶を一口飲んでから、何か言いにくそうに切り出してくる。




 「……ゴメン!! 来週のお休み、どうしても外せない仕事が入っちゃった!!」


 ……ちゅるるん、と吸い込んだ麺が、ぽとり、と口から落っこちた……。




 「えええええぇ~ッ!!??」


 その麺が、Tシャツから谷間に入ったけど……それよりもッ!!! ……それよりもぉ~~ッ!!!




✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



 「…………ヨシオさんの……ばかぁ……」

 「まぁまぁ、そんなに落ち込んじゃダメよ?」


 私は今、こーしてヨシオさんと行く筈の夏の小旅行に、じゃむキャット先輩と二人で行く事になりました……


 「それにしても、私で良かったの? 他に行きたいって人も居たんじゃない?」

 「……えぇ、和子は一番行きたがっていましたが、大学時代の同期クンに誘われて海に行く予定が入って、長月(なつき)さんは飼育係の都合で休めないって……」

 「じゃあ、仕方なかったのかぁ~。ウチもダンナと娘は里帰りだし、事情を説明したら『たまには息抜きしてきたら?』って二人に言われちゃったのよね……」


 ……こうして既婚者二人で電車の旅、ってなっちゃった訳で……






 ……電車だから、ついビールなんて飲んだ訳で……



 「きゃはははははははは~♪ だーからぁ!! センパイなんてかたっくるしいよびかたしちゃダメっ!!」

 「そーですよねぇ~♪ それじゃ~今日は乃愛(ノア)ちゃんってよんじゃいますからねぇ~!!」

 「そ~そ~!! カズちゃん飲みがたんないのよ~!! ほらほら早くメートルあげなきゃダメよ~?(プシッ!)」





 ……てな具合で、気付けば車内でノアさんと私の宴会が繰り広げられて、皆様の困り顔を他所にガンガン飲みまくってた訳で……



 ……あ~っと言う間に目的地の駅に着いたけど、


 「カズちゃ~ん!! ココで降りるんだよね~? 『真幌場』駅だったっけぇ?」

 「そ~そ~! 海が見えるトコに宿がありゅんで~しゅ!!」


 へべれけに酔っ払った私達、よくもまぁ、無事に到着出来たもんよね……とりあえず、よっこらしょ、と言いながら荷物を肩に掛けて、お互いに寄っ掛かり合いながら駅舎を出ましたよ~。


 「おじしゃ~ん!! りょーしりょきゃんまひょろばってとこまで、おねがいしま~しゅ!!」

 「カズちゃ~ん、言えてないよぉ~♪」

 「あ~、漁師旅館ね? それじゃたぶん真幌場だったらあそこかな?」


 親切なタクシーの運転手さんは、私の全っ然言えてない宿の名前で判ったらしく、キチンと送り届けてくれました……さすがプロ!!



✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



 「あ、こんにちは! 予約したヤマダです!」

 「ふへへー♪ ノアちゃんがヤマダしゃん~っていってるにょ~♪」


 立派な瓦屋根の漁師旅館に着いた二人は早速チェックイン……て言うか、ノアさん回復早くない!? アルコール抜けるの早過ぎですよ……私はまだ呂律も怪しくて頭の中もフワフワしてるのに……


 「あらまぁ!! お早いお着きで!! お疲れになったでしょう? チェックインは3時からですが、お荷物はお預かりしますからそちらでゆっくりしていらしたら?」


 スリッパの沢山並んだ大きな玄関から、中に入って挨拶すると、赤いロングヘアーを丁寧に纏めてお団子にした、いかにも若女将! みたいなヒトが出てきて、荷物を受け取って近くにあるソファーを指して勧めてくれたけど……漁師の奥さんって感じで若いけどしっかりしてそうで、白いTシャツとジーパンがピッタリな溌剌とした御姉さんだなぁ~。


 「ありがとうございます! でも、まだ陽が高いから海に行ってみたいんですが……大丈夫ですか?」

 「勿論大丈夫ですよ? 日焼け止めは持ってます?」

 「それはご心配なく! ちゃんと日焼け止めと日傘と帽子と……」

 「それだけ有れば安心して行けますよ!」


 こうして私とノアさんは、旅館で着替えさせて貰って、荷物を預けて海に行く事になりました! ……酔いが醒めるまでは泳いだりしないけどね……





 「うわっ! ノアさん……本当に娘さん居るんですよね……?」

 「そーゆーカズちゃんだって……ヨシオさん対策水着よね? ……スゴいじゃないの!!」


 旅館の部屋で着替えた私達は、お互いの水着姿を見せ合って、お互いに相手を確認してちょっとビックリ……。


 ノアさんは白基調のバンドゥビキニ……なんだけど!! 何よその反則チックな谷間強調で【ここのリボン外したら……】なデザインはっ!! 男なら誰だってソコに視線が釘付けじゃん!! ヨシオさん居なくてよかったよ……ホント。


 「……カズちゃんの黒ニットも十分反則よ? 白い肌に凄く似合ってる!」

 「そ、そうですか~? まぁ、結構冒険だったんですけど……」


 私の方は通販でサクッと決めて買ったんだけど……モデルさんと私の体型があまりにも違うせいで、ブラの丈もギリギリだし、ビキニもかなり小さめだったからどーかなーって感じだったけど……鏡の前でクルッと廻ってみて、うわぁ……ちょっぴり恥ずかしいよぅ……。



 ……でも!! もう着ちゃったし、海のそばまで来ちゃった訳だし!! お酒も抜けた訳だし!!



 「じゃ、行きましょうか? カズちゃん!!」

 「は、はい!!」


 ……こーして(ほぼ)アラサー魔法少女のバカンスが始まった訳だけど……



 ……何事も無く、フツーに終わる筈も無いじゃん?




ちなみにホントは和子さんと来る予定でしたが、ノアさんに名前を付けたかったのでアラサー&ガチサーコンビになりました!! ああ、また若い読者が逃げていくぅ~♪ ……ブクマ評価、宜しくお願い致します!

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