「アラサー魔法少女の日常」
平和な時間に、アラサー魔法少女達はどうしているのか?
「わたし、魔法少女になるっ!!」
普通の少女が決意と共に、モジャ毛の動物を従えて……パステルカラーのきらびやかな衣装を身に纏いながら、輝く光の中……爆☆誕♪
「……全ての【マジョ】と【カイジンブツ】は……私が倒すのっ!!」
決意と共に空に舞い上がる彼女は、画面の向こう側で何やら……戦ってます。
「ね~、お姉ちゃんの時もこんな感じだったの?」
ゴマ煎餅を齧りながらお姉ちゃんに問い掛けてみる。
「……全然違ったよ? 私の場合はハッキリ言われたからね~【待たせて悪かったのぅ。契約してからキャンセル待ちで十六年掛かって魔法少女になったのはキミが初めてじゃのぅ】って!」
「うえぇ……そんなんだったんだ! 私はお姉ちゃんの【友達枠】だったからスンナリなっちゃったけど……良かったのかな?」
「いいんじゃない? キャンセル待ちしないでサクッとなれたんだから。運が良かったのよ?」
だらけたジャージ姿でテレビを眺める私は、キッチンで洗い物をするお姉ちゃんの後ろ姿に話し掛け、お姉ちゃんもそのまま答える。
大学を卒業して、適当な会社に就職したけれど、お局様とセクハラ上司にウンザリして、さっさとドロップアウトした私。
アパートでだらけたニート生活を始めようとしていた矢先に、魔法少女の格好のお姉ちゃんが現れて一言、
「youも魔法少女にならないかーい?」
……一瞬、我が目を疑いましたよ? そりゃ~ね。だって一流企業に就職した年下彼氏と大恋愛の末に結婚して、新婚生活を謳歌してた筈のお姉ちゃんがいきなり魔法少女ですからね、誰だって信じられませんって。
……でも、私も魔法少女になっちゃったんだよね、結局。
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「さーて、それじゃサクッと納税しに行っちゃいましょうかね?」
「うえぇ……サクッって納税したくないよ~」
「ダメだってば! 魔法少女たるもの、納税の義務は果たさないといけないものよ?」
渋る私を引っ張り、必要書類と振り込み通知の束をヒラヒラさせながらお姉ちゃんが促す訳で。
「あのさ……せめて普通の格好で行っちゃダメ?」
「ダメに決まってるでしょ! 魔法少女が収入あったら、魔法少女のままで納税する決まりなのよ?」
そう言いながら一足お先にとばかり、【マジカル☆ecoモード】であっという間に変身するお姉ちゃん。
「あ~、隣が税務所だったら便利なのにな……」
ぶつくさ言いながら、わたしも渋々変身……。
……で、このまま歩いて行くの?
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(うわっ!? ……あ、【ほーりぃ☆パルすいーつ】さんだ!!)
(本物だよな? ……キレイだなぁ……!)
周囲のどよめきを他所に、颯爽と所内を歩くお姉ちゃん。普通、こんな状況だったら写メ撮るのが普通なんだけど、魔法少女の無許可撮影は法律で固く禁じられているから、誰も写メは撮りません。代わりに直接見られまくりです。
受付に居た所員さんに書類を手渡して、【魔法少女撮影許可証】とヨーチューブからの振り込み証明書を一緒に提出したお姉ちゃんは、
「らふれしあちゃん、こっちで待たせて頂きましょ?」
ベンチに腰掛けて、ポンポンと隣を叩きながら手招き。
「ふあ~い。幾ら税金取られるかなぁ……」
「さぁねぇ。でも義務だから仕方ないわよ?」
二人でそんなことを話していると、隣に小さな女の子を連れた女の人が座った。女の子はお姉ちゃんの姿をじーっと見て、次第に表情を輝かせながらお母さんだろう女の人の腕をグイグイ引っ張って、
「まま! まま! おねーしゃん、まほーしょーじょさんだよね!?」
「えぇ、魔法少女さんよね? よかったわねマリちゃん♪」
マリちゃんは両方のおさげ髪をぶんぶん振り回しながら、何回もお母さんとお姉ちゃんの顔を見て、ふはぁ~、と息を吐いてからゆっくりと頷き、
「やっぱりまほーしょーじょさん、いたんだねぇ♪」
「居たわねぇ! それも二人もいらっしゃるわね?」
そう答えたお母さんの言葉に、小さなマリちゃんは完全フリーズ。
「……あああぁ!! もーひとりいたんだねっ!! それにもっとわたしみたいなまほーしょーじょさんだねっ!!」
……ええ、背格好はお姉ちゃんよりマリちゃん寄りですよ? その方が魔法少女らしいと思ったからですからね? 本物は普通の二十五才ですけど。
マリちゃんは物凄い食い付きようで私を眺めてから、私もなれるかな? とお母さんに尋ねて、なれるかもね? と形通りの答えを聞きながら、
「おねーさん!! まほーしょーじょさんにどーなってなったの!?」
……ええ、当然そーなりますね。
「うーんと、好き嫌いなく何でも食べて、うーんと勉強するとなれるわよ?」
私はこれまた形通りの答えをすると、キラキラな笑顔でお母さんに、なるなる!! ピーマンもおさかなもちゃんとたべるよ!! と嬉しそうにお話ししてます。
私は昔、そんな事を言ってたかなぁ……と思い返して、たぶん言っていたのかな、と納得する。
お姉ちゃんの後を追って、魔法少女になった。何でも敵わないお姉ちゃんだったけど、魔法少女になった理由は「好きな事が出来るから」だった訳で、それがあの銃器を撃ちまくる事なんだけど……
……マリちゃん、それを知ったら、魔法少女になるんだろうか?
「【ほーりぃ☆パルすいーつ】さん、【ぴゅあ☆ラフレシア】さん、窓口にどーぞ」
私達の名前が呼ばれて、二人が立ち上がると、マリちゃんは嬉しそうに手を振ってくれた。
こうしています。そんなお話しでした。ブクマと評価もお待ちしております!




