第2章1ー7
(世はまさに、絶対肯定時代!はがゆくも、切なく、はたまた、屁が出てしまうほど愉しく、オモシロおかしく、とことん片想いし、とことん愛し尽くしてやる!これぞ、神秘家の日々の努めたるもの…!!!)
王は、彼や彼女に会うのが、滅茶苦茶怖かった。もうハチャメチャが押し寄せてきて、パフパフと溺れた。しかしながら、王にある無垢さが、復活してきていた為に、赤子のように、マンマを求められる力も不可思議なほど、養われてもいた。まあ~、元々、王の性質には、甘えん坊なところがあり、原点回帰となる自分を取り戻しつつある仕合わせを、ヨチヨチと噛み締め、歩き出しているのであるが…。
最近、しかも現在進行形で、ころころとダンゴ虫や芋虫のように、過ごしているベッドの上から、王は部下達に言った。
「これから大事な仕事があるんじゃ。しかも、みんな来てくれないと、困る…、困るんじゃ!」
まあ、要約すると、このようなことを部下に伝えた。
それからまもなくすると、宮殿の留守番をしなければならない者達以外は、全員集まった。そして、王は、このように、いっちょまえ、に言った。
「さらば、これまでの人生よ!来たれ、これからの悦びよ!」
そして、ほぼ全軍を率いて、ちっぽけな宿舎であるアメオに、ドレフ軍がやってきた。
ワラコの街は、騒然としていた。人々も何事かと、舌を巻いて、大注目していた。たとえば、人々のなかには、このような事を言う者達もいた。
「きっと、アメオの地下には、莫大な黄金があったに違いない」
また、こう言った人もいた。
「やっぱり、あの看板娘を、強引に、王の妃にするつもりだ」
また、腹をかきながら、惚けた声で、心のなかで呟いた人もいた。
「どうなるの、どうなるの…、どうなっちゃうの!?なに、な~に、なに?ウフフッ、久々に、興奮するわ」
お馬さんに乗っている、王は、そのお馬さんから、仕えの者の肩を借りながら降りた。
それから、王、直々に、アメオの扉を叩き、いつにもなく畏怖の念を抱き、恭しく、言った。
「し…、し、しつれい…、失礼致します。わたしは、わたしは、王を降りてしまいたい、この国の王です。どうか、どなたか…、どなた…。アミ様やカナ様…、いらっしゃいますでしょうか……。もしいらっしゃいましたら、お会いさせて頂きたく、存じ上げます……る、ら」
すると、ゆっくりとおもむろに、扉が開いていった。
王は、その扉がだんだんだんと開いていく度に、仕えの者達の肩に捕まり、抱き付きたくなるほど、ガタガタ震えが起こり、恐ろしくて仕様がなかった。
そして、ついにアミとカサが約3ヶ月ぶりに、王のまえに、現れた。
王の予想とは、裏腹に、アミ達は、なんの緊張感もなく、微笑みながら、アットホームに迎えるのであった。
それから、アミは、王よりさらに、腰が低く恭しく言った。
「こちらこそ、お逢いしたくて仕方がありませんでした。ワラコの王様。これからゆっくりと、お話し合いましょう」
躊躇いもなく、アミは、泥の付いた、ワラコの王の足元にキスをした。