第1章
【まえがき】
この作品は、あくまでも自己探求の種々のスケッチ、またはデッサンである。その為、言葉を時には、奏で、絵のように描き、実験し、木を植え、建築し、バレエ、物語が進まなかったり、彫刻、日記、モニュメント、言葉ではなかったり、忘れてしまったり、即興即興、ラブレターであったりする。
【献詩】
外界に浮かぶ雲は
風で飛ばされて消えるのでもなく
出来事はただ起きているわけでもない
私達の内界に全て融けていく
私達の内界の雲が集まれば
やがて静かな光の雨が
ぽたんぽたんと落っこちて
虹の歌声と手を繋ぎ
私達の渇いた内界の土壌を潤して
七彩の木々を育ていく
七彩の木々は、やがて
全ての存在を讚美して仕える
七宝を実らせていく
私達の内界にある
沈まない太陽の炎によって
外界の世界にある
あらゆる障壁は溶けていき
暗闇のみなしごも照らされて
艱難辛苦の眠らない絶望や
青色吐息の輪廻転生でさえも
全てが恵みの大気となり
生の源となる
私達はやがて
神秘の飛沫に包まれて
自由自在の愛の翼を授かり
清淑にひるがりながら
世界の中心を飛翔する
第1章
1
とある世界に「ひとつなるもの」という存在がいた。そのひとつなるものが、ある時に詩を詠んだ。その詩から放たれている花粉の、ひとつひとつによって、次々と受粉し、実り、芽を出し、創造されていった。その詩によって、花開かないものや、根を張らないものは、なにひとつとしてなかった。これらのものは、七彩や七宝をたずさえて、時に、まばゆく、時に、静謐に、時に、躍動感を持って、はじけ翔んでいた。世界の全てのものには、このような有形無形の「ひとつなるもの」の種が宿っている。
2
「ひとつなるもの」に詠まれた、とある存在がいた。その存在は 「ひとつなるもの」の体の一部でもあり、純粋な生命体であった。その生命体は無数に存在していた。やがてその存在は主に、二つに別れていった。
一つはそのまま純粋な生命体として、あり続けていることを「ひとつなるもの」は良しとした。
もう一つは、純粋な生命体としての部分も持ち続け、なおかつ、すでに詠まれ、存在していた、別の次元の世界があったのだが、その世界の性質を持ち合わせる具有体となった。
そのことを、「ひとつなるもの」は良しとした。
この別の次元の世界に、その具有体の一団は夢中になり、その世界に溶け、飛び込んでいった。
その世界は、その具有体達にとっては、あまりにも広大であり、美しく、不可思議であった。
時おり、様々な色をした巨大な光のかたまりが存在していた。しかも、その中に入っていけば、様々な未知の存在が暮らしていた。
やがて、この具有体達は、その巨大な光のかたまりのことを、「星」と呼ぶようになった。
また、この星々を包み込んでいる、広大な空間を「宇宙」と呼んだ。
3
具有体の一団は、様々な星々を旅していた。星々にある様々な特徴や性質、エッセンスを体感することを、この具有体達は、よろこびとしていた。
美しいメロディーが鳴り響いている星や、食べものが美味しい星、滞在しているだけで、活力がみなぎり、楽しくなってくる星、風景が豊かで、生命の潤いが溢れている星、清らかで壮麗な星などがあった。
そして、どの星も、ある程度滞在し、体感し、実感し尽くしたら、次の新たな星へと、具有体達は、羽ばたいていくのであった。
4
具有体の一団は、青く、瑠璃色に輝く、とある星に辿り着いた。
あまりにも美しく魅力的であった為に、長く滞在することになった。
そして、気が付いたら、具有体は、その星に住む他の生物達と同じように、さらに別れていき、「男」と「女」という性別まで持つようになった。
やがて男と女達は
自分達のことを「人間」と、呼ぶようになった。
そして人間達は、自分達が住んでいる星を
「地球」と呼ぶようになった。
5
人間になったことを、ずっと陰で見守っていた、もう一つの純粋な生命体達は、さすがに哀れに想い、危惧し、「ひとつなるもの」にこれらのことを伝えた。
この純粋な生命体達は、事あるごとに、人間に「ひとつなるもの」からの伝言やパワーを伝えていった。
人間はやがて、その純粋な生命体達を
「天使や菩薩、妖精」と呼ぶようになった。
6
その頃、「ひとつなるもの」の元に留まっていた、ある生命体の集団があり、その集団の中でも、最も忠実な生命体に、「ひとつなるもの」は言った。
その生命体の名はアミュー。
「アミュー。アミュー…、アミューよ!」
「はい。なんでしょうか、お父さん」
「わしの可愛い子達が地球という星から抜け出せなくなったそうじゃ。アミューよ。おまえの兄弟達を連れていき、共に、地球から抜け出せなくなった、わしの可愛い子達を助けに行ってくれ」
太陽よりも、眩しく光輝く、アミューは言った。
「はい。承知しました、お父さん。わたしは地球に行ってきます」
「わしの可愛い子達を救えるのは、おまえしかおらんのじゃ。頼んじゃぞ。愛しのアミューよ」
いつしか「ひとつなるもの」は「ひとつなる神」あるいは「神」として、子供である、アミュー達に、慕われるようになった。
7
アミューの集団は、この宇宙にイルカのようにダイブしていき、アルクトゥールスを通過したのちに、太陽系に突入してきた。
そしてなんとも美しい星が見えてきた。
あまりの美しさに、アミューの集団は、光輝く涙を流した。
アミューは言った。
「なんと美しい星でしょう。さあ、兄弟達よ。わたしと、一緒に、地球に残されている兄弟を助けに行きましょう」
アミューの集団は、父にも届くほど、胸を太鼓のように震わせて、大きな声をあげた。
8
先ずは、最初にリーダーであるアミューが地球の砂漠に降臨した。それからアミューが合図を出すと、力のある兄弟達が次々に降臨していった。
そして、地球に降り立ってから、アミューは、すぐに、地球とひとつになり、地球に流れている理の全てを、一瞬のうちに悟った。
すると、アミューが言った。
「よし。わたしは、この星に、しばらく滞在することにする。あなた達のうち、わたしが任命する、何名かだけは、わたしと一緒にこの星で、滞在しましょう。残りの者は、もうすでにわたしが用意した、天国と冥界に行きなさい。そして、わたしがしばらくしてから、また合図を出しますので、その合図によって、地球から、冥界、天国、父の元に帰る道を、わたしが直接繋いでいきます。それまでは、冥界と天国を整えておいて下さい」
アミューが次々に指名していき、それ以外の者達は、冥界や天国に向かっていった。
それから、アミューは地球に一緒に滞在する者達を、先ずは熱心に指導した。
9
準備が整ってきた頃、アミューとアミューと共に地球に滞在している者達は、直接、地球から抜け出せなくなった兄弟達と対面することになった。
アミューは、早速、そこにいて、放埒にふけっている、多くの迷い込んだ者達を、洗礼していった。
「お父さん、この者達に、ひとつなる愛と光の祝福をお与え下さい」
すると、神の種が宿っていることを忘れていた者達は、たちまち我に還り、自分達は地球にやってきた神の子供であることを思い出し始めた。また、あらゆることを感じとれる感受性が戻ってきた。
洗礼を受けたある者は言った。
「アミュー様、ありがとうございます。お陰様で、目が覚めました。わたしは、神の子供でありましたが、旅をして、宇宙の果てのこの地球にやってきたことを思い出しました」
アミューは、その者に言った。
「あなたに、今から大事なことを話します。それは、この世界の全てが、わたしたちの親である神様からの親愛なるプレゼントであること。起きる出来事、全てが、恵みであり、神様と本当の自分自身への帰り道であることです。何故、本当の自分自身をも含まれているのかといいますと、本当の自分自身とは、神様の一部でも、あるからです」
そして、アミューは他の洗礼を授けた者には、このように言った。
「自分のなかにある心、なるだけ優しくて、気高い心を主として生きていきなさい。そうして、その心がやがて、自分自身の全体になってくるまで、それを続けていなさい。この世界は、内界にある目には見えない心の在り方が、全てを決めています。外界にあるものは、内界にあるものを鏡のように、映し出しているのです。たとえば、あなたが、優しい心で何かについて、想い、接すると、その優しい心の恩恵により、あなたの元には、優しいメロディーや愛とよろこびのエネルギーがあなたを包み込み、あなたは救われていきます。逆に、あなたが意地悪なことを、想い、よぎり、接すると、あなたは、自分で自分の首を絞めることになり、あなたの元には、悲しみと痛みの苦い汁を差し出されることになるのです。どんなことも、回り回って、いつか必ず、自分の元に戻ってくるのです。何故ならば、この世界はひとつであるからです。なるだけ優しく、思いやり深い、良心を主として、これからも生きていって下さい」
また、ある者にはこう言った。
「あなたは、父なる神や地球にある豊かな自然、またここに暮らす兄弟達と、もう少し仲良くなって下さい。あなたには、すでに、充分なほど、他を厳かに崇め、敬うものを持っておりますが、それだけでは、あなたの生命体や、全世界の生命体が、完全には機能せず、まだ完成致しません。わたしたちは、父の元で、全てが同胞なのです。これからは、もっと甘え上手になり、何事にも打ち解けていき、フレンドリーになっていきましょう。厳かな面とフレンドリーな面の両方があって、初めて完成致します」
このようにアミューやアミューと共に地球に降臨した兄弟達によって、地球に迷い込んだ多くの者達が、これらの洗礼や言葉によって、救われていったのだが、地球上には、あまりにも多くの者達が迷い込んでいる為に、まだまだ時間はかかるのであった。
10
アミューは出来る限りのことは、尽くし続けていった。アミューは、はじめから、予測をしていたが、アミュー自身も性別を持つようにして、よりいっそうに、地球との一体感を増していき、より多くの者達を導けるようにした。
アミューの男性側は、アミオという名前になり、アミューの女性側は、アミリという名前になった。
アミオやアミリの肉体は、今の地球でいうエジプトのあたりで、やがて朽ち果てた。
それからアミオやアミリの霊体は、アミューの時に、父と共に、あらかじめ用意していた天国に行った。天国では、多くの兄弟達や天使や菩薩、また天国の生き物がいた。
天国には白い太陽や虹、黄金の泉、たおやかな雲が飾られており、ここかしこからは、ハーブのような美しい音色が流れていてた。
その白い太陽の光の中心にさらに向かっていくと、父とも直接交流出来るため、そこで次に、地球に転生をする時は、どのようにして行くのか、来世での主な果たすべきこと、学ぶべきことなどの、ミーティングをしていた。
アミオが言った。
「お父さん、地球では、長くても120年ぐらいしか存在出来ないのであります」
ひとつなる神である父は言った。
「そのようじゃな。アミオよ。一回一回の転生で、兄弟達と共に、存分に役目を果たしていくとしても、あと、30回くらいは、地球に転生しなければならないようじゃな。そうしなければ、残っている迷える兄弟達を、わたしの可愛い可愛い子供達を、わたしの元に帰る道すじを築けないようじゃな」
アミリが父に言った。
「そのようですね。愛するお父様。わたしも、アミオと共に、地球に転生していき、出来る限りのことをさせて頂きたいと思います。地球上で迷える子を、一人も残さないように、あなた様の元に、連れて帰るその日まで」
11
アミオとアミリ、またアミュー時代に任命された兄弟達は、地球に幾度も転生し、その度に、迷える兄弟達を助けていった。
アミューに指名された代表的な兄弟は12人いた。
エナス、ヨラン、キビ、マカエル、グラ、ユナファサス、アミタオス、エフェ、サラ、マナサオ、タマエル、ルアン。
そのなかでも当時からアミューに熱心に付いてきたものは、ヨラン、サラ、タマエル、ルアンだった。
この4人の魂は、アミューがアミオやアミリになったあとも、熱心に付いてくる者達であった。
この4人や計12人は、輪廻転生をほとんど共にしていき、神により、巡り逢わされて、ことあるごとに、助け合い、支え合って、地球上にいる、さまよう子供達を、家族を救っていった。
それにしても、聖人のデカダンスって、、どのようなものであろうか。おそらくではあるが、わがまま勝手に想像させて頂くと、それは、とても僅かなものを彩り豊かにする、魔法を持ってらっしゃるのであろうから、とてもとても可愛いらしい、聖なるデカダンスなのであろう。
※第1章終わり。第3章で完結の予定です。