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役目を終えた(はずの)聖女は世界を憂う 1

もう少し詰めたかったのですがなかなか進まないので…後で大幅直しが入ったらすみませんm(__)m



別々の場所で見つかる被害者には何の関連性も見出せず、事件はひたすら混迷を極めているーー そんな最中。


私は異動辞令を受け取った。異動と言っても同じ庁舎内ーー私の勤務先は区役所であるのでーーの異動ではあるが季節はずれすぎやしないか?主だった異動は終わっている時期で新人が逃げ出すにはまだ早い。


辞令先は「広報内部統括情報部」

随分ご大層なネーミングだが知ってる限りそんな部署はうちにはない。そもそも意味がわからない、何する部所なんだコレ?


上司に尋ねると何でも上からのお達しらしい。

「都内で次々と異常な遺体が発見されてるだろう?あの件で、防衛省との連携ーーといってもうちは受け取るだけだがな、その連絡係を君にやってもらいたい」

「?なぜ私なんでしょうか?」

とくにやらかした覚えはないが。

「職員リストから君が適性と判断されたそうだ。まあ広報部の一端なのは変わらん。部屋は別に用意されるがあちらからの要請がない限りは今までの通常業務で構わんそうだ」

いやだからなんで私なんだ?

「良くわからんが君は英語が堪能だろう?防衛省の担当者には外国人もいるらしいからその関係じゃないかと思うんだがー」

…確かに私が広報部にいるのは訪日・在日外国人の対応も兼ねてるからだが…

腑にはおちないものの嫌です。

とも言えず

「わかりました」

仕方なく頷く。

「で、早速なんだがーーとりあえず先方にこれを届けて欲しいそうだ」

いきなりだな。

ーーまあ、いいけど?

茶色のありふれた封筒を受け取り、不承不承ながら防衛省へ向かった。


既に話は通ってるらしく受付でその旨を告げるとすぐに別室に通される。

ーーなんだかなあ。まあ、「直接渡す、人を介さない」為の連絡係とはきいたけど、この部屋までがやけにセキュリティ厳重だった気がする。そりゃあ防衛省のセキュリティが甘々は不味いけど。


すぐにぱっと見黒髪なのに良く見ると赤毛が混じったーーどちらにしろ日本人ではないのは顔立ちでわかるー男性が入ってきた。身長180センチくらい、細身、黒縁の眼鏡の中の瞳は紫。どっかの誰かみたいな派手さはないが美形だ。

シャツ姿に白衣のその姿は防衛省職員というより研究員、なのだが?

「今回の件そちらの区役所との窓口担当を任されたウィリアム・シジョウです。よろしく」

と握手を求められる。

間違いではなさそうだ。

「咲坂 雪乃です。よろしくお願いします。こちらが必ず直に渡すようにと言われたものです」

と託された封筒を差し出す。こんなとこに長居はしたくない。

「はい 、確かに」

「では 私はこれで」

「あ ちょっと待って?担当者はもう1人いるんだ。すぐ来るはずだからー」

言うと同時にノックの音が響く。

「入っていいよー」

「ウィル?来客とはーー」

言うと同時に入ってきた男性は。


クレイルだった。


「ああ通達は行ってるだろ?今回の件で区役所との窓口担当者のサキサカ ユキノさん」

「…はじめまして。咲坂です」

「こっちはクレイル・ツキノ、僕達2人が窓口になるから以後よろしく」

「…よろしくお願いします」

「あ、ああ…はじめまして。すまない、こんな格好で」

両手に何か大きな紙袋を提げている。

「なにソレ?」

「雛人形の礼だそうだ。渡してくれと頼まれた」

律儀に一旦それを置いてこちらに向き直ろうとするのを制して

「いえ、私はただのお使いですからどうぞそのままで。他に顔合わせの必要な方はいらっしゃらないんですよね?」

「…まあ、そうだね」

「では私はこれで失礼させていただきます」



そうして何喰わぬ顔で部屋を辞し、建物を辞した後、どっと冷や汗が噴き出し頭の中を様々な事が駆け巡る。


何故。


何故、なんでーー…?




なんで、クレイル(あの男)がここにいる。



私の事がわからないのは当然だ。

私はあちらから戻ってきた時見た目を変えた。


長い黒髪を明るい茶色のショートボブに、目もサークルレンズで髪と同じような茶色、髪は伸びたらすぐバレるので当然ウィッグだがーーわざわざフェイスラインを隠すように切り揃えてあるし、メイクもしている。

”ツキナ”と印象が間逆になるように。


そもそもツキナは本名ではない。

私はただの本好きで研究家ではないが魔法に於いて”真名(まな)を知られてはいけない” という考えがある事くらいは知っていたし、いきなりあんな場所に引っ張られて本名なんか名乗る気にはならなかった。他の人は知らないけど、いやカンナちゃんは本名だったけどさ?

私はキラキラネーム世代じゃないし。

”ツキナ”は当時やってたゲームのユーザーネームだ。きかれて咄嗟にそう名乗ったにすぎない。

この現実に、日本に、ツキナという元聖女なんかいないのだ。


「珍しいタイプだよねぇ、彼女」

「? 何がだ?」

「君を見てもちょっと驚いただけで見惚れたりあからさまに媚び売ったりアドレス押し付けてきたりしなかった」

「仕事中なんだから当たり前だろう」

「いや〜僕が知る限りでは全部勤務中にあった事だ」

「…やかましい」

確かにあったがごく僅かだし、そもそも奴にもあるはずだ。自分がここに来てから減ってウィルの奴が喜んでいた事を知っている。

確かにいきなり秋波を送ってくる女性もいるしーー確かにあそこまでそっけない対応をされたのは初めてかもしれないがーユキノ・サキサカだったか?

一目見た時確かに既視感がはしった気がするのは、何故だろう?


ーー大丈夫、初対面の外国人に驚いた、て顔出来てたよね?向こうもまるきり気付いてなんてーーなかったよね?


「はい これ彼女の調書。犯罪歴 行方不明歴 経歴詐称一切なしーーそれ優先で選んでるんだから当たり前だけどクリーンだよねぇ」

渡された調書をみて少し驚く。

「…年上だったのか」てっきり年下かと思った。

「日本人は若く見えるからねぇ」

ーーそういえば、ツキナはいくつだったのかーーそれすら知らないままだった。


(クレイル)が入ってきた時はほんとに驚いた。

よく似た別人?転生体?転移者にしてはこちらに馴染みすぎてる、もしかしてあちらの記憶がない転移者とか?

だって雛人形贈ったとか普通に言ってた、ーーやっぱり別人か?

だが、クレイル・ツキノ。


この名前ってーー…


そもそも(クレイル)の名字、異世界(あっち)では家名か、

て何だっけ?貴族の後継ぎだったはずだがそれしか知らない。

興味なかったし。

とりあえず今名乗ってる名前は後付けなんだろう。

………

………

深く考えるのはよそう。


ーー奴が荷物を持ってて助かった。

握手など求められてたらバレてたかもしれない。

いやーーでも。

そもそも手を握った事なんてあったっけ?

ーーいや、ない。


拘束されたり 拘束されたり、拘束されたり は、あったけど。

手に手を取り合うような関係ではなかったーー握手なんてした事ないわ。

ーーもし、最後に私が伸ばした手を、あの男が取ってたなら。

感触くらい、覚えてたかもしれないけど。







”如月”はカンナの名字です。本名が何であれカンナは「お姉さま」としか呼ばないですしね(^^;;

そこんとこの説明もしたかったんですが入れられませんでしたm(_ _)m

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