9.例の少女に会いに行こう②
崖から舞い戻った蛇もどきのスライム。少女を探しに建物の中へ。
さてと、長い夢もようやくひと段落つくね。
さてさて、可愛い少女よ、どこですか〜?笑
ズリズリ体を引きずりながら、少女の屋敷に入っていくイモムシ…間違い、スライム。
うーん、側から見たら、俺、変態じゃね?
そんなこと思いつつズリズリと…進めなかった。
目の前にはいつぞやの巨人執事が…。
『せっかく綺麗に掃除したのにどこから入ってきた!このイモムシ野郎!』
「こんにちは〜、お久しぶり!少女ちゃん、居る?」
『なんだー?鳴くスライムの次は鳴くイモムシかよ!
捕まえたらお嬢様が喜びそうだな!w』
「おっさん、この前はよくも捨ててくれたな!俺じゃなきゃ死んでたぞ!」
(注意…言葉はお互いに通じていません)
巨人がいきなり素手で飛びかかってきた!
めっちゃ早い!逃げる余裕もなく、掴み上げられてしまった。
「うわ、こいつ汗くっさ。っておい、締めるな!」
何を思ったのか巨人は凄まじい力で締め付けてくる。
『あれ、このイモムシ野郎、急所抑えてるのに気絶しねえ。
これ以上は殺しちまう!』
慌てて俺を掴み直そうとする巨人。
ヤバい、そこには核がある。
殺されるくらいなら…!
俺は食欲を解放した。
二度もおっさんを食べるなんて…とヨダレを飲んで我慢していたが、限界だった。
なぜか、このおっさんは汗くさいけれども、肌に触れているだけでとてつもない旨味を感じた。
このおっさんは珍味だ。くさやだ!
そう思うことにした…
巨人はイモムシの抵抗がいきなりなくなったことに戸惑いを感じた。
『なんだ?手が…。イモムシの体に…?…吸い込まれていく…だと!?』
巨人執事が危険を感じた時にはすでに遅かった。
イモムシだと思って抱えていたソレは、半液体化しており、巨人の体を容赦なく溶かし削っていた。
『剛体』
魔力を体の表面に覆い、侵食を止めようとする。
しかし、魔力を込めれば込めるほどにスライムは喜ぶようにのたうち、
魔力ごと巨人の肉をゴリゴリ削っていく。
『化け物め…お嬢様、お逃げください…』
巨人執事の最期の言葉がいい終わらないうちに、
巨人は異形のスライムに肉を削ぎ落とされ、骨も溶かされて消滅した。
スライム 「おいちい、おいちい!あれ?巨人のおっさんは?」←