僕に許嫁ができました
日本庭園が広がる、大きな屋敷の縁側で6歳ぐらいの少年が、物思いにふけっていた。
僕は、親不孝者だと思う。
生まれた家系が普通の家なら問題は無かった。しかし、僕が生まれたのは東洋の国ジパングの最高峰の魔功師の家に生まれながら僕の魔力は普通の魔功師と変わらず、かといって頭が良い訳でもない。
そんな僕を両親や姉は見捨てずに大切に育ててくれた。だが分家の連中はその事が気に食わず僕を厄介者扱いしていた。しかし、分家も家の名前が傷付くのを恐れ、分家や本家だけで話いるときだけで僕に対して辛辣に対応していた。
そんな事を考えていると、ふいに綺麗な歌声が聴こえてきた。
鈴がなるような綺麗な声が庭近くの林から聴こえ、気になった僕は林の方に足を進めた。
林の奥にある池の近くで一人の少女が歌っていた。少女はサラサラと揺れる長く黒い髪でお人形のように整った顔立ちでありながら暖かい微笑みを浮かべながら歌っていた。
しばらく歌を聴いていたがやがて唄が終わり、少女がこちらに気付くと笑顔で手を振った為、話しかけた。
「こんにちは、君は誰?」
「私はここにお父様が大事なお話があるから着いてきなさいと言われて来たの。あなたは誰?」
「僕はこの家に住んでいる皇妃大地だよ」
「私は南野枢、よろしくね」
彼女が笑顔でそう言うと優しい風が吹き彼女髪を揺らした。これが僕と枢の初めての出逢いだった。
家の方から自分の名前を呼ばれているのに気が付き後ろを向くと僕の大切な家族である父、皇妃幸治と母な皇妃唯が並んで歩いてきた。笑顔で手を振ると二人とも小さく手を振ってくれた。
父と母は40代とは思えない若々しい容姿で父は細身な筋肉質で身長が高く、母は大和撫子のような凛とした佇まいが似合う女性である。
「こんな所に居たのか、縁側に居るようにと言っていたのに」
父はそう言い、母が父を宥めるように肩に手を置いて笑って二人とも僕と枢を見ていた。
「お母さんも心配したんだけど大丈夫そうね」
母は何かを含んだような言い方でこちらを見ていたが僕はなんの事なのかよく分からなかった。
その後、両親や枢と一緒に家に戻り、居間に行くと2つ上の姉の皇妃瑠璃と父と同い年くらいの男性が居た。
「大地どこ行っていたの?父さんと母さんが探していたわよ」
「ゴメンね、姉さん。少し気になる事があって林の方に行っていたんだけど凄い綺麗な歌声が林の方からして女の子に会ったんだ」
笑顔でそう言うと姉さんは少し怒ったようすだか母親譲りの凛とした顔からは呆れた雰囲気も感じた。姉の前にいる男性は枢の姿を見ると少し怒った様子だった
「枢、どこに行っていたんだ?お前が居ないから話が進まなかったではないか」
枢は男性に対して申し訳なさそうにごめんなさいと言って隣に座った。その姿を確認して男性はこちらを向き話しかけてきた。
「ウチの娘がすいません。それと大地君、娘を見つけてきてくれてありがとう、助かったよ。私はこの子の父親の南野源之助だ」
男性が枢の父親だと知り驚いたがよろしくお願いしますと言い会釈した。
その後、枢と僕が許嫁にならないかという話で源之助さん達が来たと知り驚いた様子を家族一同が笑っていたのを見て自分だけ知らなかったのが少し嫌だったが枢のことは一目惚れだった為、嬉しくなり即答してしまい、また家族一同に笑われた。
源之助さんからも枢をよろしく頼むと言われてとっさに枢を見ると頷きながら紅くなるのを見て僕も紅くなりそれを見た二人意外の皆がニヤニヤしているの僕は一生忘れないと思う。