宇宙人、日本文化に惚れる。
ある寝苦しい夜、布団の上で考えついた話。
ばからしい。
私はネロ星人のペソス。今、ネロ星は日本とお互いの惑星の発展のため友好通商条約を結ぼうとしている。
その条約を締結するための会議が1ヶ月後に控えている。私達は日本の文化をリスペクトすることで日本とより良い関係を作りたいのだ。さて、私は東京に潜入取材に来ている。トランス能力を使用しているので30歳ぐらいの日本人男性にしか見えないはずだ。日本の文化を調査し、ネロ星の政府に伝えることが私の仕事である。しかし、東京のどこに行けば日本の文化を知ることができるかわからない。どこに行くのがいいか、あそこにいる若者に聞いてみるか。
「失礼」
「なんですか?」
「私は日本の文化が知りたいのだ。どこに行けば良いだろう。」
「日本の文化ですか。秋葉原とかいと思いますよ。」
「では、そこに行ってみる。ありがとう。」
「いえいえ。」
秋葉原か。よし、ここに行ってみよう。
よし、秋葉原に着いたぞ。なんだあの店は、店内にモニターが設置されているな。見に行ってみよう。
(店内では今話題のラブコメアニメの映像が放送されていた。ツンデレヒロインと主人公の掛け合いが中心だ。)
ふむ、このモニターでは男女の会話が放送されているようだ。恋愛の話だろうか。それにしても、この女性はすごく魅力的だ。最後まで見てみよう。
なんだこの女性は。いつもは主人公に対して厳しいが、時折見せる優しさはなんだ。時折見せる笑顔はなんだ。やはり、この男が好きなのだろう。そうなのだろう。褒め言葉をかけると顔を赤くして起こるのもすごく魅力的だ。なんだか先ほどから胸がキュンキュンする。なんだこの気持ちは。なんだこれなんだこれなんだこれなんだこれ… .
「なんだこの気持ち。」
つい声に出してしまったぞ。
「どうしたんですか? 」
私と一緒にこの映像を見ていた若者に話しかけられた。
「この映像を見てからと言うもの、胸がキュンキュンするのだ。」
「はいはい」
「なんだ先程の女性。男に対する優しさと厳しさが降り混じった態度はなんだ。絶妙なバランスではないか。表情の変化も素晴らしい。胸がキュンキュンしているのだ。」
「先程の女の子はツンデレというんだよ。萌えるよね。」
モエル?確かに体が熱くなるな。こころが燃え上がっているようだ。
「ツンデレというのか。素晴らしい、これは燃える。」
「わかってくれるんだ。うれしいなぁ。ツンデレは日本が生み出した素晴らしい文化だよ。」
「やはり、あなた方(日本人) と語り合うにはツンデレは必要か?」
「うん、僕ら(オタク) と語り合うには必要だね。」
「お願いだ、師匠。この文化をもっと私に教えてくれ。」
「やる気あるね。いいよ、僕についてきて。」
そして、私は秋葉原のいろいろな店に行きツンデレについて学んだ。師匠はツンデレを本当に愛していた。情熱が伝わってきた。私もツンデレが大好きになった。私はこの素晴らしい日本文化を早くネロ星にいる上司に伝えたい。
ネロ星人ペソスの東京潜入取材から1ヵ月後、無事に会議は行われた。しかし、会議から数日後に日本政府からネロ星政府に書類が送られてきた。書類にはこのようなことが書かれていた。
〈あなた方ネロ星の交渉チームは我々に対して敵意があるのか好意があるのか分かりにくい。しかし、総合的には我々に敵意を持っていると判断した。だからあなた方とは友好通商条約は結ばない。〉
ネロ星の交渉チームのメンバーは全員女性だった。しかも、チーム全員がツンデレキャラになりきっていた。ネロ星政府はペソスの報告をもとにツンデレ軍団を組織してしまったのだ。しかし、日本の交渉チームのメンバーは全員高齢者である。ツンデレキャラを理解できる人などいなかった。ネロ星の交渉チームを失礼な連中と思ったようだ。
ツンデレが好きです。
だからペソスとも友達になれると思います。
初めて書いたものなので見苦しいところもあると思いますが、最後まで読んでいただきありがとうございます。