第05話Puls 異能者達のディスコード09 - 説得
第05話Puls 異能者達のディスコード09 - 説得
「どっちだと思う?」
めんどくさい答えが帰ってきたが、想定の範囲内である。
正直にいうと、想定できることに少し哀しさを覚えたりもするのだが、今はそっとしておく。
こういうことに深入りすると、精神的によろしくない。
「俺が聞いてんだよ。どうでもいいから、早く教えろ」
俺は、お約束の返事をしてやった。
さすがにこれで答えるはずだ。
「もちろん、答えは……」
微妙に間を開けたので、すかさず俺は流れを潰しておく。
「CMの後はなしだ」
俺の言葉に、ルーファは口ごもったが。
「ちっ……わかったわよ、言うわよ。サーチの魔法くらい使えるってぇの」
舌打ちしくさった。
その後ようやく観念したのか、俺の質問に答えた。
たったそれだけのことを聞くだけで、俺はどうしてこんな苦労をしなくてはならないのか?
という疑問について考えることは禁忌である。
ただ、自分が惨めな気持ちになって終わるだけだからだ。
「わかった。それなら、今から付き合ってくれるか?」
これは質問というよりは要望である。
ただし、まためんどくさい流れになるんじゃないかと覚悟はしていた。
だが。
「いいわよ。っていうか、今頃? もっと、早くに来てくれるんじゃないかって思ってたんだけど、まぁいいわ付き合ってあげるわよ。他の娘たちみんな悲しむわよー。でも、チロだけは気にしないでしょうけど」
ルーファは妙に余裕のある態度でそんなことを言っている。
どうやら今ので、俺が告ったような感じになっているようだ。
一体今の会話の中のどこに告白要素があったのだろうか。
これは、もう少し具体的に言っておく必要があるだろう。
「今夜、一緒に行動してくれと言っている。ルーファの力が必要だ」
さすがにこれなら誤解もないだろう、と俺はそう思った。
「そこまで言わなくったってわかってるわよ。っていうか、出会った時からわかってたわ。あたししかいないって、ね。いいわ、いくらでもあんたの力になってあげる。全力で協力するわ」
これは想像していた以上に、力強い返答がもらえた。ただ、不安な要素があるような気がするのだが、今は気にしないようにしておこう。
俺は汚れてもかまわないように、学校のジャージに着替えた後ルーファを連れて外に出る。
ルーファは何を勘違いしているかは分からないが、ファッション誌にのっているようなコーディネートの服装に着替えていた。
ここのところずっとバイトをやっていたのは、おそらくこれのためだったのだろう。




