第05話Puls 異能者達のディスコード08 - ルーファと交渉
第05話Puls 異能者達のディスコード08 - ルーファと交渉
『レガシー』の正体を突き止めることは困難だということであり、逆に言えば突き止めさえすれば、解決することは容易だと思われる。
ただ、能力者から得られる情報はもう期待できないだろう。
ここまで徹底して情報を隠す『レガシー』が、一番情報漏えいしそうな能力者経由でバレるような行動をするようなことは、まずもって期待できない。
では、どうやって調べるのかであるが。
最初に思いつくのは小島である。
正確に言うなら、小島の中のもう一人の人格である。
ただそいつは、自分勝手にでてくるようなので、会いに行ったからと言って会えるような者ではない。
そもそも、あの夜以来現れてはいないようだった。
となると、実に不本意だが、もう一つの手段に頼るしかなかった。
「よう、元気してるか?」
そう俺が声をかけたのは、初代害獣二匹のうちの大人しいほうであった。
「ダイヤなら、全部返したわよ」
ケツのあたりをボリボリ掻きながら、テレビから目を話すことなく答える。
ちなみに、ポテチを摘んでいないのは、最近太り気味でダイエットしているらしい。
まぁ、俺には一グラムも関係ない話しなので興味もないが。
「そんなことは、どうでもいい。お前、探索系の魔法は使えるか?」
ダメならダメで構わないと思いながらの質問だった。
するとお尻をひとかきした後、
「あたしを誰だと思っているの?」
逆に俺に聞き返してきた。
最近、このやりとりが流行っているのだろうか?
「ルーファだろ」
一応俺も答えてやった。
「そう、あたしはルーファ。美しきハイ・エルフのルーファよ……って、そういうのじゃないのよ。ここは、あたしに言わせて。あたしの『ルーファさんよ』までが流れなんだから。ったく、持ってないんだから、あんたわっ」
ノリつっこみの後のダメだし。
このエルフは、一体どこを目指そうとしているのだろう?
疑問は感じたが、わざわざ聞くほどまでには興味がないのでほっとく。
「で、どうなんだ?」
俺は重ねて聞く。
「無視かい? 無視ですかい? いいですよ、そういう態度ならあたしだって、教えますん」
こいつ、完璧にふざけてやがる。
最近かまってやっていなかったから、案外拗ねているのかも知れないが……俺の知ったことではない。
「で、どっちなんだ?」
俺としてはどっちでもいいが、結論は出してもらう必要がある。
教えませんなのか、教えますなのか曖昧にしたのは、ウケを狙ってのことだろうがそれに付き合わされる人間は大変である。
主に俺のことだが。




