第05話Puls 異能者達のディスコード03 - 現状分析
第05話Puls 異能者達のディスコード03 - 現状分析
結局の所、俺一人で疲れていたほうが色んな意味でダメージは少ない。
そうこうしているうちに、朝の授業が始まった。
俺の得意とする数学の授業なので、この時間を使ってまずは今の状況を整理してみることにする。
それから、今の状況を打開する策を考えるのだ。
斎藤に話した通り、俺の家には今六人で暮らしている。
俺一人を除いてすべて女だ。
一応、俺が男だという意識があるうちはまだ良かったが、一番最初に住み着いていたルーファとシリンにはそんなものなどとっくに消え失せており、一方チロはすっかりとペット化してしまっている。
そこに新たに加わった女二人は、さらにたちが悪い。
そのうちの一人、橘美咲はチロが下僕にしてはいるが、家事全般におけるスキルが欠如しており、なんの役にもたっていない。
それだけならまだしも、退屈そうに寝転び、日がな一日テレビを見ながらポテチをつまんでいる。
こいつがやっている事といえば、食べかすをそこらに中に落として、チロの仕事を増やすくらいのものだ。
昼間は正社員として働き、帰ってきたら六人分の炊事や洗濯それに掃除に至るまで家事全般をほぼ一人でこなしている完璧ヴァンパイアペットであるチロは、まったく気にしていないようだが俺はムカついてしょうがない。
もう一人のギャル娘、天野ひびきにいたればもっと悲惨な状況になっている。
俺が帰ったとたん、どこからともなく現れると、いったいいつ息継ぎしてんだよ、とツッコミたくなるくらい一方的に話しかけてくる。
もちろん、俺は聞きたくないが、そんなことなどおかまいなしだ。
『レガシー』関連の話しがおもだが、内容は悪口と愚痴が大部分を占めており、鬱陶しいことこの上ない。
第一、その話しに登場してくる連中のことを、まずもって俺は知らない。そんな知らない人間の悪口を延々と聞かされるというのは、ある意味拷問に近いものがある。
同じ『レガシー』仲間である橘美咲に話せと提案したが「あっしぃ、なおんとぉなぁしーったって、つまんないしぃ」と頭が痛くなるようなギャル語で言われてスルーされた。
ムカついたので、それ以来極力こいつには近づかないように努力している。
今のところ、その努力がまるで陽の目をみる様子はないが。
俺が自宅内でどうにかプライベートを確保できるのは、自分の部屋とトイレくらいのものだろう。




