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第05話 異能者達のロンド21 - ゴネ得

第05話 異能者達のロンド21 - ゴネ得


 あわててチロの背中から飛び降りて、ギャルっ娘は靴を脱いで自分で作った闇の中に靴を放り投げる。

 そして、いきなり土下座をした。


「ごめんなさい、今までのこと、ぜんぶ、ぜーんぶマジであやまりますから。捨てないでください、お願いします。一人になったら、あたしやられちゃうんですぅ」


 そう言って、いきなりギャルっ娘は鳴き始めた。

 嘘泣きくさいが、本泣きだったにしても鬱陶しいことこの上ない。

 もうじき、夜が明けようという時間だ。このままだと、貫徹ということになりかねない。

 いい加減勘弁してくれ、と偉大なる誰かに訴えたい気分だった。

 とにかく今は、少しでも寝たい。

 俺としては、その思いだけであった。


「分かった。分かったから泣くな。どこか適当な所で休んでくれてかまわん。とにかく、今はこの部屋から出て行ってくれ。俺を一人にしてくれ」


 懇願するような口調になっていることが情けなかったが、ここはなんと言われようがどうでもよかった。

 俺はとにかく眠りたいのだ。


「だ、だったら、あたしこの家にいていいの? あたしのことを守ってくれるんだよね?」


 なんか、とんでもないことを言い出しているような気がする。

 だが、とにかく今は目の前にいる、うるさいギャルっ娘を俺の部屋から追い出したかった。


「あー、わかった。わかったから、とにかく部屋から出てってくれ」


 俺が言ったとたん、泣いていたギャルっ娘がいきなりガッツポーズをやった。

 それも、アメリカンタイプの腰だめでやるやつだ。

 ムカつきはしたが、そのくらいはわかっていたことである。

 出て行ってくれるなら、それでいい。

 チロに付き添われて、部屋から出てゆくさい。

 ドアが閉まるのとほぼ同じタイミングで。


「じゃあ、今日からよろしくね、あ・な・た」


 ギャルっ娘はとんでもないセリフをぶっこんできた。

 一瞬、ドアを開いてそのセリフの訂正を求めようかとも思ったが、その後のめんどくさい展開を考えて聞こえなかったことにすることに決めた。

 俺に今一番必要なことは睡眠である。

 他の問題は、すべて後回しにする。何事であれ、なるようにしかならないのだ。

 俺は自分にそう言い聞かせて、制服を脱ぎ捨てベッドに潜り込む。

 ようやくこれで、ゆっくりとは言えないが、ともかく眠りにつける。

 と、俺は思った。


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