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第05話 異能者達のロンド15 - 能力者増援

第05話 異能者達のロンド15 - 能力者増援


「なに手間取っているの『ダーク・ウィドゥ』。さっさとミッションを遂行しなさい」


 聞くだけでも妖しさたっぷりの声が聞こえてくる。

 これはきっと美人に違いないと思って、声のしたほうを見ると……。

 俺は、すぐに目を逸らした。

 世の中には、見ない方がいい物体も存在するのだ。

 たとえば俺が今見てしまった、不気味に蠢く醜悪な肉塊などもその類になる。


「はぁ? えっらそうにさぁ、後から来て勝手に文句つけてんじゃないわよ。じゃああんたがやって見れば? 『グラビティ・レイディ』」


 ギャルっ娘はどうもキレているようだった。

 上から目線が気に入らなかったということもあるだろうが、おそらく他の狙いもありそうだ。

 というのも、もう一つ別の気配が背後からじわりと間合いを詰めてきていたからだ。

 何をするつもりか知らないが、とりあえずまとめて来てくれたら色々と助かる。

 ギャルっ娘とのやり取りだけでも、けっこうな羞恥プレーだったのだが、それを後二回も繰り返すとなったら正直俺の心が持ちそうもない。

 俺が黙って見ていると、いきなりきた。


「ゆだんしたわねっ!」


 そう言ったのは『グラビティ・レイディ』と言われた肉塊だ。

 俺の全身に超重力による加圧がかけられている。

 なるほど、それで『グラビティ・レイディ』と呼ばれているわけなのか。

 ただ、グラビティ要素はこれでもかというくらい豊富にあっても、レイディ要素は皆無な肉塊なので、捏造とまでは言えなくても偏向された呼称であることは確かだろう。

 それでもせいぜい百G程度の過重力にすぎないので、俺にはなんの支障もない。

 問題なのは次である。

 俺の正面にエネルギーが集約してくる。ほっておけば、爆発するだろう。

 この公園くらいは軽く吹っ飛びそうなエネルギーだ。

 それを過重力によって効果を限定するつもりなのだろう。

 気で弾いてもよかったのだが、それだと周囲に影響がでてしまうので、とりあえず握りつぶした。

 俺の拳の中からポンという音が聞こえて、手を開くと手のひらから白い煙が立ち昇った。

 どうやら、完全には抑えこむことはできなかったようだ。

 フェイズ・シフトをやっていないし、こんなものだろう。


「あ、あなた、『パイロ・クイーン』の核爆をどうしたの? そもそも、なんで立っていられるのよ!?」


 肉塊レイディが驚いているようだ。

 俺の体重は体感上六トンほどなので、驚くほどのことはないはずなのだが。

 俺には一切関係ない。というか、関係を持ちたいとは、一生思わない。

 なんにしても、このままこの連中に付き合っていても良いことはなさそうなので、終わらせることにする。


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