第05話 異能者達のロンド13 - ギャルっ娘
第05話 異能者達のロンド13 - ギャルっ娘
それができないのは、小島が絡んでいるからである。
「あら? 来ているのはあたしだけじゃないわよ? 『パイロ・ウイッチ』と『グラビティ・レイディ』もいるわ」
楽しそうにギャルっ娘が話ているが、新たな固有名詞が登場してくるたびに、俺の何かがすり減っていくような気がしている。
なんなのだろう、この精神耐久チャレンジは……。
「エースクラスが三人か。『不死者』と『クレイ・エンプレス』を相手に随分大盤振る舞いするんだね。それとも、別に目的があるのかな?」
小島の口から、また新たなワードが飛び出した。
どうやら俺が抱えている橘の代名詞は『クレイ・エンプレス』というらしい。
それにしても、こいつら言ってて恥ずかしくならないのだろうか?
俺にはとても耐えられそうもない世界であった。
「わかってるんでしょ『エリミネーター』。狙いはあんたに決まってるじゃん。キャハハハ」
ギャルっ娘が笑った。
「やっぱり『不死者』と『クレイ・エンプレス』を放置していたのは、それが狙いだったんだね」
これが小島の結論だった。
とりあえず俺としても、小島が狙われていることは理解できた。
とりあえず、それだけ分かれば十分で他のことはどうでもいい。
巻き込まれたことは不本意極まりないが、クラスメイトに危害を加えられるというのを黙って見過ごせるほど、俺は悪人ではない。
っていうか、なんだかんだ言っても小島は可愛い。
俺は抱えていた橘を足元に下ろす。
可愛い女の子を抱えているというのは、正直悪い気持ちはしないのだが、抱えたままでは危険が生じる可能性があった。
目の前のギャルっ娘だけなら抱えたままでも十分だが、複数に対応するとなると、限界を超えて鍛えていない人間の肉体では俺の加速に耐えられないだろう。
フェイズ・シフトをやっていない状態でも、ミリ秒単位で音速にまで加速するような闘いが繰りかえされる。
せめて大気圏外から地上に落下して、無傷でいられるくらいには鍛えていないと話にならない。
俺は、静かに自分の内部で気を整えておく。
「ところで、さ。あれ、誰?」
ギャルっ娘が俺のことを指差している。
このままガン無視されるのかとちょっぴり期待していたのだが、中々そうはうまくいかないようだ。
「ボクのクラスメイト。君たちが来ることは予測できてたからね、もしものときのためにお願いして来てもらった」
小島が簡単に説明する。間違ってはいないが、色々と説明不足過ぎてめまいがしそうなレベルであった。




