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第05話 異能者達のロンド08 - 異能者登場

第05話 異能者達のロンド08 - 異能者登場


 もし俺や斎藤が言ったら、間違いなく『お前カッコつけてんな、ぷぷぷぷぷっ』って言われるレベルのセリフだが、おかしくなった小島が言うとけっこうすんなり入ってくる。

 なんかこう、いい慣れてる感じがするからだろうか、それとも美少年めいた雰囲気がそうさせるからなのだろうか……。

 なんにせよ、また新たな展開が始まっていた。

 チロが張り付いていた気の持ち主が、高速でこちらに接近している。

 時速で言えば八十キロくらい。二点間を直線上に移動している。

 車での移動はありえないから、俺のように空を飛ぶか、それとも……。

 突然、小島の足元が弾ける。

 直前に小島は跳ねていて、それを回避したのだが、空中にいる小島に向かって無数の石が弾丸のように襲いかかる。

 だが、弾丸と化した石はひとつたりとも、小島の体に触れることなく跳ね返された。

 高圧縮空気の壁によって阻まれたのだ。


「やはり、君が守護者になっていたんだね、橘美咲さん。でも、なぜなんだい? 君なら、もっと相応しい相手がいるだろうに」


 どうやらここから先、俺には全く意味不明な会話が始まりそうな雰囲気だ。


「あなたには関係ないわ、小島さん……いえ、今のあなたは『エリミネーター』と呼ぶべきかしら?」


 橘美咲と呼ばれた美少女がそんな答えを返していた。

 もちろん、厨二病的な話の内容にはまったくついていけないが、橘美咲が純和風の美少女であることは間違いない。

 ただ、俺が気になっているのは、橘美咲ではなくもう一つの気のほうだ。

 途中で橘美咲から分離して、公園の近くにいる。

 気の大きさはともかくとして、チロがその気に張り付いたままであることを考慮すると、どうやらヤバイのはそっちの気の持ち主のほうらしい。

 本音を言うと、俺にはその違いがまったくわからなかった。

 だが、成り行きを見守っていれば、わかってくるかも知れない。


「その名を口にするのは、君が『レガシー』の一員だった名残だね。ボクがその名を口にしたことはないし、その名でボクを呼ぶのは『レガシー』だけだ」


 ここでまた新たな固有名詞が登場してきた。

 これは、様子見を続けている部外者にとって、非常につらい展開になってきた。


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