第04話 最強伝説-16 - 残務処理
第04話 最強伝説-16 - 残務処理
もう、シリンのことに関わっている余裕などなくなるはずだ。
ひょっとすると仲間同士で殺し合いに発展する可能性もあるが……。
まぁ、そこまでは俺の知ったことではない。
ようするに、連中がシリンのことを口にしなければそれでいいのだ。
なんにしても、シリンのおかげで大変な面倒に巻き込まれてしまった。
シリンにきつくは言ったが、どうにも釈然としない思いが残る。
俺はフェイズ・シフト状態を解き、家に戻った。
すると、家にはバイトから正規職員となっていたチロが帰ってきていて、夕食の準備を初めていた。
チロは我が家で一番の働き者である。
「あっ、ご主人さまっ! おかえりなさい」
俺を見つけたチロが、まるで子犬みたいに全身で喜びのオーラを全開にしながら、挨拶をしてくる。
「帰ってたんだな、チロ。ところで、このテーブルの上にあったゴミ。おまえが片付けてくれたのか?」
さっき俺が砕いた、大量のダイヤ片をくるんだティッシュがなくなっていたので聞いてみる。
すると。
「いえ、私では……。そういえば、さっきその部屋のお掃除をルーファに頼んだのですが、そこらにいませんか?」
まったく……。
一匹が片付けば、もう一匹が……。
俺は思わずため息をついてしまった。
「ご、ご主人様っ! いかがさなれたのですかっ? チロに何かいけないところでもあったのでしょうか?」
チロが不安そうに聞いてくる。
俺はチロの頭をなでながら、その不安を取り除くように話しかける。
「チロはいい子だな。心配しなくていい、ちゃんと俺の役にたってくれている」
すると、またチロは笑顔になって、子犬のようにベロベロと俺の顔中を舐めまわし始めた。
「まて……チロ……一旦おちつこう」
俺はなんとか理性を働かせて、チロをやんわりと引きがした。
チロはヴァンパイアである。俺への忠誠心も行動も、ほぼ忠犬と変わらない。
だが、見た目は美女。それも、巨大な乳房、くびれたウエスト、大きなお尻。といった性的な魅力をこれでもかというくらい詰め込んだ、妖艶極まる美女である。
いくら見た目美少女だといっても、チロに比べたらルーファやシリンは所詮はお子様にすぎない。
そんな美女にベロベロとやられたらたまったものではない。
俺の理性にも限界というものがあるのだ。
もっとも、限界を超えたところでどこからも苦情がくることはないのだが。
というより、チロ的には待ち望んでいる感がある。
今俺に向けられている熱い視線がそれを物語っている。
だがしかし、俺はけして、天地神明にかけて手近な美女で妥協するつもりなどなかった。
全ては、夢のキャンパスライフのためである。
とりあえず、俺にはすぐにでもやるべきことができた。
出元不明のダイヤなど売りに出されたら、また面倒なことになる。
今日はシリンの尻拭いだけでお腹いっぱいである。
早急に対応するため、俺は再び家を出たのだった。
<第04話 了>
次回は、対能力者戦の予定です。
休みを利用して、初めての一日複数回更新に挑戦してみようかと思っています。
ほんとにできるかどうかは未知数ですが、生暖かい目で見守って下さい。
よろしくお願いします。




