第04話 最強伝説-14 - 交渉材料
第04話 最強伝説-14 - 交渉材料
それを聞いてシリンは素直に頷いた。
まぁ、いつまで続くかはわからんが。
さて、次の問題はヤンキー君達である。
今頃は警察で事情聴取を受けている頃だろう。
目をやられたヤンキー君達の方はシリンのことを知らないから、放置していてもいいが問題なのはシリンを利用しようとしたヤンキー君達である。
警察が信じることはまずないだろうが、不審人物としてマークされる可能性はある。
監視対象にでもなれば、俺としても鬱陶しいことこの上ない。
俺は不審人物などでは断じて無いが、俺の周囲で不審な出来事は日常茶飯事で起きてしまうからだ。
それにシリン以外にルーファとチロもいる。
こいつらは、純度百パーセントの不審人物だ。
一緒に住んでいる以上は、俺と関係ないという言い逃れはまず無理だろう。
というわけで、ヤンキー君たちの口止めをする必要がある。
一番確実な方法は彼らに片道切符で旅立ってもらうことだ。あの世へと。
ただまぁ、それをやれるほど俺は鬼畜ではないので、次善の手段を取ることにする。
飴と鞭の両方を使う方法である。
俺は再び外に出ると、全力で跳ねてフェイズ1に移行する。
そのまま大気圏を超えたところで、フェイズ3に移行して加速する。
地球の重力圏を抜けたところで、さらにそこから一気にフェイズ10に移行した。
すると強烈な時空震が起こったが、この距離だと地球への影響といえば、地表すべてで震度3程度の軽い地震が起こるくらいに抑えられる。
俺はフェイズ10の状態で『かに座55e』へと向かった。
極めて近距離の惑星であるが、準光速で向かうと40年以上かかってしまう。
だがフェイズ10の状態でならば、時間と空間を制御下に置くことが可能なので、ゼロ時間で移動することが可能だ。
『かに座55e』の主要構成物質のうち33パーセントが極めて高熱、高密度で圧縮された炭素でできている。すなわちダイヤモンドである。
俺は、その中心部へ向けて集約した気砲で穴を穿ち、反対側から抜けてくる破片の中から拳大ほどの固まりを一つ掴んだ。
地球に戻って見ると、見事に透明に輝いていた。
一旦家に戻り、この後の準備をする。
まずはこのダイヤだ。
どう見ても大きさが千カラット以上もあり、このままだとさすがに大きすぎるので指で砕いて百カラットほどにしてやる。
いい具合のサイズになったところで、破片はティッシュにくるんでとりあえず、テーブルの上に置いておく。
後で、燃えるゴミと一緒に捨てるつもりだった。




