第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 45 - 帰還したら
第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 45 - 帰還したら
そのためだけに星をいくつも消滅させるのは、いくら俺でも気がひける。
「そんじゃ、あんたとはここでお別れってことかい?」
ミルバはわかっていても、やはりその言葉を口にした。
その気持は十分にわかる。
「ああ」
俺は短く答えておいた。
「いいチームができたんだけどな、残念だよ、おりゃあ」
それまで黙って聞いていたコラッドが回線に割り込んできた。
「あんたは、最初から最後まで不思議な男だった。達者でな」
ゲイルも回線に割り込んでくる。
「すまない。そろそろ、俺は行く。面倒かけるが、この機体……ライジンを頼む」
パンドラの箱となったライジンを俺はこのチームに委ねる。
「安心しな。あんたの機体だ、傷一つつけやしないよ」
ミルバはさらりと言い切った。
湿っぽい感じにするつもりはないらしい。
正直助かる。
「後は頼んだ」
それが俺の最後の言葉となった。
ライジンのコックピット内に再び召喚陣が展開される。
チロが俺のために仕掛けてくれていた召喚魔法が起動したのだ。
俺の周囲の光景が薄らいでゆき、ホワイトアウトした次の瞬間完全に変化する。
見慣れた光景に。
これこそ、俺のあるべき日常の風景。
俺の部屋の中であった。
だがしかし、俺の部屋の中に異物が存在している。
「おい、お前ら俺の部屋で何をしている?」
六畳半の俺の部屋の中に四人の女どもがいる。
三人はよく知っている女どもだが、一人見覚えのない女がいた。
「ああ、やっと帰ってきたよ、まったく心配かけやがってさ」
ポテチをパリポリかじりながら話しかけてきたのはシリンである。
もちろん、心配の意味を履き違えているであろうことは容易にさっしがつく。
「お前の心配などどうでもいい、なぜ俺の部屋でダベっている?」
成り行き上とはいえ、俺の家に住まわせてやっている。
そのうえ俺の部屋に入り込んで、堂々とくつろがれてはたまったものではない。
図々しいにも程があるというものだ。
「えーっと、それは……」
言葉を詰まらせながら、シリンは隣にいる同じようにポテチをつまんでいるルーファに視線を送る。
「ほら、あれよあれ……」
向けられたルーファもまた、自分の横に座っていたレヴンに視線を送る。
「あ、主様。こ、これはなんというか、その……いたしかたなかったのです!」
あからさまに慌てた様子で、食べかけのポテチを口の中に放り込み証拠隠滅を図ると、意味不明な言い訳を始めようとしていた。




