第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 42 - 決着
第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 42 - 決着
ナジュは俺を……いや、たとえ自分の中だけであろと、言語化することはやめておこう。
俺には俺の夢がある。
心が少しでもナジュに向いてしまえば、その瞬間夢は霧散する。
考えすぎかも知れないが、ナジュの真の目的はそれなのかも知れない。
だが、今はそんなことはどうでもいい。
知ったところで、俺の出す結論は変わらない。
「すまんな、ナジュ。俺の居場所は君の世界には存在しない」
俺ははっきりと言い切った。
一つの宇宙を巻き込んで、俺を己の世界へと取り込もうと目論んだのだが、真相があからさまになってしまえば、どうとでも対応することができる。
俺の言葉は真実そのものであった。
「やっぱり、届かなかったね。今回はひいておくよ。でも、諦めたわけじゃないから。少なくとも、あんたと一緒に居られたんだ。また、関わることは出来る。そうでしょ?」
その言葉に、俺は軽く肩をすくめる。
「好きにするさ。これ以上、君をどうこうするつもりはない。ただ、これ以上、俺の邪魔はしてもらいたくない。さもなければ……」
俺は、結論を話し、そして最後の脅しをかけておくつもりだ。
「……さもなければ?」
ナジュは俺の言葉尻を、恐る恐るといった感じで繰り返す。
「君を嫌いになることにする。それも、永遠にだ」
俺ははっきりと断言してやった。
すると、唇を噛んで黙り込んだ。
どうやら、かなり今の言葉が効いたらしい。
ナジュのような存在にとって、一瞬も永遠も違いはない。
なぜならば、時間を俯瞰することができる存在だからだ。
だから、普通の人間が永遠などという言葉を口にしたところで、失笑するくらいの意味でしかない。
だが、俺がそれを口にするということは全く意味が違ってくる。
そのことを、ナジュは熟知している。
だからこそ、ナジュは何も言えなくなったのだ。
一瞬と永遠を同等に見ることができるナジュにとって、生と死も同様に同じように見えている。
それゆえに、殺すという言葉はナジュには脅しにならない。
俺が言った嫌うという言葉は、殺すという脅しより比較にならないくらい強いインパクトをナジュに及ぼすことになる。
それも当然で、ナジュには何もできないからだ。
もちろん、それにはたった一つの前提条件が必要である。
それは、ナジュが心の中に秘めている俺への……。
「わかった、よ。二度と、あんたの望まない干渉はしない。約束する」
結局、ナジュは折れてきた。折れるしか選択肢がなかったというのが本当の所だろう。




