第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 37 - フェイズ50
第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 37 - フェイズ50
フェイズ50に達した瞬間、俺はナジュを特定することができるようになる。
感覚として、見ると表現はしたが実際には違う。
それを表現する手段がないので、理解可能な表現に置き換えるしかないというのが苦しいところだ。
ただし、フェイズ50を突破したと言っても、俺自身が高次元の生命体になったわけではない。
感覚だけが拡張されている状態だ。
そして、感覚があれば対処することは可能である。
戦うだけならば、それで十分であった。
だが、高次元生命体であるナジュにとっては、感覚だけではなく肉体そのものが高次元空間で行動することができる。
この差は絶対的ではないにせよ、ナジュにとって有利であることに違いはない。
俺は、気でナジュの存在を探りながら、出方を伺う。
俺からしかけても文句は言わないだろうが、ナジュを倒すことが目的ではないのでそうなる。
ナジュの気が動き、何か行動を起こしたことがわかる。
同時に、俺の周囲の光景が一瞬で変化した。
宇宙空間にいたのだが、俺が今立っているのは見渡す限り続いている地平線のど真ん中である。
大地には草も木も生えておらず、山も海もない。
どうやらここは、どこかの惑星上であるようだ。
どんな惑星なのかは分からないが、ここまで完璧に遮るもののない地平線は初めてだ。
もっとも、フェイズ50の俺が戦えば、それだけで砕け散ることになる。
だが、今問題なのはそんなことではない。
眼の前に、見知った姿の男が現れる。
これまでに、一度も直接見たことはないが、毎朝顔を洗う時になら鏡越しに見ている。
つまり、俺だった。
向こうも俺を見つけたが、反応はまったくない。
ないまま、いきなり仕掛けてきた。
一瞬の踏み込みと、至近距離から叩き込まれる右肘。
俺は、正面からそれを受ける。
受け止めた瞬間に生じた時空振動が、惑星全体に広がり無数の亀裂を作った。
瞬間的に砕け散ることはなかったが、おそらくこの惑星は持たないだろう。
発生した時空振動は、惑星のコアを砕いてしまっていた。
たが、攻撃がそれで終わったわけではない。
連撃がくる。
ローからハイへの連続蹴り。
この蹴りに、自分の蹴りをあわせる。
攻撃同士が正面からぶつかり、衝撃が時空振動となって広がる。
これで、足元にあった惑星は瞬時に砕け散る。
だが、粉砕されたわけではなく、俺同士の戦いよる衝撃波は惑星を素粒子レベルにまで細分化してしまう。




