第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 35 - 真相
第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 35 - 真相
「知ってるよ。それに、とっくに準備はできてるはずだよ。あんたのツレ、チロって言ったか? 彼女から決着をつけるにふさわしい宇宙がある、異世界の位置を教えてもらってるよ」
その言葉を聞いて、俺は少し驚いた。
さすがにナジュに伝えろとまでは、俺も指示を出していなかった。
ということは、ナジュがチロに聞いたのだろう。
「すんなり教えたのか?」
チロは強い。大抵の異世界では無敵と言える存在だろう。
だが、高次元の存在であるナジュとの戦いになれば、まず勝ち目はない。
「しぶとかったよ。正直、そこのジィさんがいなけりゃ、皇帝をやってもらってたかも知れないね」
やはり、チロはナジュに抵抗したのだろう。だが、結局の所無駄だった。
「当然の結果だろうな。その後、自分の正体を告げたということか」
戦いになったかどうかはひとまずおいといて、そのことがナジュの正体を明かすことになった。
もちろん、勝利することが俺のターゲットであることの証明にはならないが、チロならば十分理解しえたはずだ。
そういうことであれば、たとえ自分の身がどのような状態であれ、かならず役割を果たしたはずだ。
俺としてはチロの身が心配であったが、今はそれより優先させるべきことがある。
不死者ではあるが、高次元の存在を敵にまわせばそんなことなど意味はない。
存在そのものを消滅させることができるからだ。
だが、情報を告げたということは、まだ存在している可能性が高い。
たとえ虫の息であれ存在しているならば、チロはそうそう簡単に死んだりすることはない。
今は、そのことに望みを賭けるしかあるまい。
「それでは、先に行ってくれ。俺もすぐにいく」
俺はナジュに向かって、そう促した。
この世界で戦うようなことはしたくない。
それは、大前提である。
俺だけでなくナジュもこの世界の消滅を望んではいないはずだろう。
「そうかい。それじゃ、あたしは先に行く」
ナジュが姿を消した。
俺とは違い常に高次元で活動することが出来るのだから、いたって普通のことである。
ここで初めて俺は後ろを振り返る。
すると、ひどく疲れた表情を浮かべて皇帝が立っている。
「ということだ。これでわかったとは思います。すでにあなたの役割は終わっていました。どうするかは、もうあなたの自由だ。じゃあ」
俺は簡単に別れを告げると、最新の注意を払いながらバルベル号の外に出る。




