第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 27 - 皇帝の真相
第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 27 - 皇帝の真相
おそらく答えてくれないだろうと思いながらも聞いてみる。
皇帝は会話をしながら、再戦できるだけの体力回復に努めていることは分かっているが、こっちもライジンから距離を取ることができた。
いつでも、フェイズ・シフトが可能であった。
「話すと思うか?」
皇帝はしわがれた口元を釣り上げながら答える。
「いいや。聞いてみたが、実はあまり興味はない。それより、どうやって入れ替わった?」
俺は形式的な質問をあっさりと投げ捨てると、いきなり話の核心部分に入る。
「入れ替わった? どういう意味だ?」
俺のセリフに、皇帝が反応してくる。
それまでとは違い、明らかに不意を突かれた様子で聞いてくる。
「いつだったのかは分からない。どういう方法を用いたのかもわからない。わかるのは、本物の皇帝ラーギュルヌ・フォン・リーフラーデは存在していないということだ。あんたは俺と同じ。異世界からやってきた。そして死んだ皇帝ラーギュルヌ・フォン・リーフラーデと入れ替わった。そう考えている」
俺は、簡単に説明する。
推測だが、間違ってはいないはずだ。
なぜなら、これほどの実力を身につけるには、ギリギリの戦いを続け、実戦を生き延びる他ない。
ところが、この世界には皇帝ラーギュルヌ・フォン・リーフラーデと対等に戦いうる敵は存在していない。
少なくとも俺は気を探ってみても感知できなかった。
そういった状況証拠から推論すると、皇帝ラーギュルヌ・フォン・リーフラーデは異世界からやってきた人間であるということになる。
「ほう。この状況でなんだが、どこまで辿り着いたか、聞かせてもらえるかな?」
興味深そうに聞いてくる。
もちろん、気を回復するまでの時間稼ぎもあるだろうが、それだけでもあるまい。
俺はその誘いに乗る。
というのも、この展開は俺が望んだことでもあるからだ。
「最初に言っておくと、どうやってということは問題ではない。俺が知りたかったのは、なぜという疑問だった。異世界からやってきた異邦人が、なぜソーグ帝国の皇帝なんぞになる必要があったのか、ということだ」
俺は皇帝の気を探りながら話を始める。
「ソーグ帝国とラートラ共和国連邦。俺は、最初からこの2つの国は、密接に関係しているであろうと考えていた。でなければ、五百年もの長きに渡って言語、文化のみならず、高度で複雑なテクノロジーを有する通信プロトコルに至るまで互換性があることの説明がつかないからな」




