第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 23 - その先へ
第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 23 - その先へ
戦艦の転移ポイントは赤色太陽の中であり、俺たちが死にかけたのはそのためだ。
だが、核融合反応が随分と衰えた赤色巨星だったからこそ助かったとも言える。
ライジンの装備と装甲ではとても耐えられないし、たとえ戦艦だろうが、核融合反応の中で耐えられるとは思えない。
「こんな所にワームホールがあったんじゃ、誰も気づかないはずだね」
ミルバが後に続いて、つぶやくように話した。
「ピンコードを1992に合わせろ」
俺は新たに指示を出す。驚くのはひとまず終わりだ。
すぐにでも行動に移らなくてはならない。
「おっ? こいつだね。乗り込んだとき、戦艦に仕掛けたんかい?」
さっそくミルバが俺の指示に従ったようだ。
「転移先で何があるかわからんからな。ちょっとした保険だ」
偽トラマンを放置したとき、一緒に位置を知らせるブイを置いてきた。
俺が教えたのは、ブイから一定間隔で発信されるピンである。
実際には気を捉えているので、俺が見失うことはないが、それだと連携が取れなくなる可能性があるので保険をかけておいたのだ。
「それで、どうすんだい? 外周部とは言っても、あんなとこじゃ機体がもたないよ?」
当然の質問をミルバがしてくる。
「そこは心配ない。条件はやつらも同じだ。強力なシールドを持ってるといっても、いつまでもいられるわけがない。出てきたところで、後を追う。向こうは戦闘機部隊を失っているから、索敵範囲もだいぶ狭まっている。ギリギリのラインでピンを追えば、こちらの動きも気づかれない」
俺が話しているうちに、戦艦が赤色巨星から抜け出してきた。
「ハイパードライブ準備。すぐに、やつらは超光速航行に入るぞ」
俺が言い終わるか終わらないかのうちに、戦艦が突然姿をけした。
ハイパードライブを開始したのである。
「いくぞ。3、2、1、今」
俺がタイミングを取り、ライジンによるハイパードライブを開始する。
他のタツギ三機も同じタイミングでハイパードライブに入った。
ここらの対応は、息を飲むくらいみごとなものである。
しかもそれを、まったく打ち合わせ無しにやってのけられるのが超一流パイロットの証であろう。
正確に計っていたわけではないが、ハイパードライブに入っていた時間はおおよそ10分少々の時間だ。
ハイパードライブ中の加速もあまりやっていなかったので、移動距離はせいぜい数光年といったところだろう。
ハイパードライブから抜け出した先は、ソーグ帝国の中枢部。




