第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 21 - ワームホール
第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 21 - ワームホール
だが、戦艦は平気で直進していく。
その後に続いている俺たちの機体も同じで、なんの負荷もなく進んでいけていた。
ライジンの計器類もまったく正常で、視認できる異常がなければまったく認識することはできなかったであろう。
しばらくして、なんの問題もなく航行していた戦艦は突然姿を消した。
ライジンのセンサーがロストしたのだ。
もちろんそれだけでなく、俺自身も気を感じ取れなくなっていた。
すぐに範囲を広げて気を探してみる。
すると、かなり離れた場所に気を捉えることができた。
どうやら、俺が想定していた通りのようで、戦艦は銀河間を一瞬で移動していた。
やはり、この先にあるのはワームホールの一種のようである。
このまま進んでいけば、ライジンとタツギ3機も移動することができるだろう。
だが、このまま飛び込むのには不安があった。
「3機、近接編隊をとってくれ」
俺は回線を通じて指示を出す。
接触するかしないか、ギリギリの位置でのフォーメーションだ。
アームを使って固定するより、何倍も難しいフォーメーションだが、タツギの3機はなんなくやってみせる。
それを確認すると、今度は俺が3機の先頭に立つ。
「なぁ、あんた。何考えてんだよ?」
みごとにフォーメーションを維持しながらミルバが聞いてくる。
ちょうどいいので、簡単に説明しておくことにする。
「大方予想はついてると思うが、この先にはワームホールが存在している。ただ、どうも自然にできたものであるとは思えない。テクノロジーによって作られたものでもなさそうだが、今わかるのはその程度だ。転移先で何が待っているのかも分からない。はっきり言ってここから先は出たとこ勝負ということになる。俺もできる限りのことはするが、覚悟は決めておいてくれ」
自分一人なら、ほぼ不安はゼロだが、小隊を率いているとなるとそうもいかない。
危険は承知の戦闘機乗りだ。それなりの覚悟はあるだろうが、目隠しした状態で飛べと言うのはまた話が違う。
「けっ。今更だろうが。こっちは、アンタみたいな、常識ってやつがまるで通用しないやつの下で飛んでんだ。とっくにそれくらいの覚悟はできてるぜ」
真っ先に言ってきたのはコンラッドだった。
不安というよりは、何処か楽しそうだる
「あたいはアンタみたいな男、嫌いじゃないよ。あたいとヤリたきゃ、言ってくれればいつでもいいよ。ただ、死ぬ前に言ってくれって話だけどね」




