第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 11 - 小隊再起動
第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 11 - 小隊再起動
「当初の計画は全て放棄して、すぐ引き返す。俺の予想だと、ラートラでも同じことが起こる可能性が高い。それを防ぐ」
現実的な可能性としては、もう手遅れということもありえるが、俺のことを待っている可能性もある。
今は、その可能性を前提にして動くしかない。
ただし、バリアブル機に搭載されているハイパードライブを使う移動だと、到着までに数週間の時間がかかる。
途中に存在する難所のことを考慮すれば、さらに時間は長くなる。
ハイパードライブ航法だと、とても敵が艦隊を潰しにくるのに間に合わないだろう。
「そいつをあたい達が止めるって? 艦隊をまとめて沈めるような相手をかい?」
呆れたような声でミルバが話しかけてくる。それと並列で機体をフォーメーションをとるための位置に移動させながら。
「そっちの相手は俺がする。君たちには他に相手をして欲しい相手が他にいる」
俺はフォーメーションを取ったタツギ三機の背後にライジンを移動させて取り付いた。
バリアブル機体は全機人型に変形しており、手足を使って離れないように固定する。
「他にって、なんだい?」
ミルバがすぐに聞き返してくる。
「行けばわかる。こっちを発見しだい、すぐに攻撃してくるはずだ。装備はラートラ共和国の正規軍そのものだから、十分に対応は可能だろう」
俺はあえて、踏み込んだ説明はせずに直接の対応のみに限定しておく。
「軽く言ってくれるね。まぁ、あたいらにとっちゃ、目の前の敵を倒せばそれで良いってこったろ?」
ミルバは実に単純化して答えを返してきた。
「そう考えてもらってかまわん。ただし、あくまで作戦目標は敵の撹乱であって、撃破ではない。くれぐれも、熱くなりすぎて墜されないよう気をつけてくれ」
三人とも分かっているとは思うが、あえて念を押しておく。
少数精鋭と言えば聞こえはいいが、ようするに手持ちの戦力はこれしかないということである。
一機でも落とされたら、この先の展開は非常に困難なものとなるだろう。
「分かってるって。あたいだって死にたくないからね。あたいより、心配なのはコラッドじゃないか? すぐに調子にのりそうだからね」
ミルバは笑いながらコラッドに話しをふる。
「てめぇに言われたくないぜ。ちったぁゲイルを見習ったらどうなんだよ?」
コラッドはコラッドで話しをゲイルに飛び火させる。
「三機、位置に付いた。いつでもいける」




