第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 10 - ライジン起動
第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 10 - ライジン起動
だが、肝心なのは、これだけの気を発したというのに、まったく俺やチロが気づかなかったということである。
それはまるで、シロハクが現れるときのようだ。
もちろん、これは俺に向けたメッセージであることは明白だ。
軽いジャブのようなものだが、この世界において俺以外には対応することができない以上、その意図は間違いようがない。
なんにしても、もうゆっくりしているような時間はなくなった。
それに、計画の変更も必要となってきた。
俺がチロを使って会見の準備を進めていた、コーグ・ド・ファリス准将の気が消えている。
乗艦ごとだ。
この攻撃は、ソーグ帝国の英雄を狙ったものであろう。ならば、その意図は完全に成功している。
俺が一度接触したことを知っているのは俺とシロハクだけであり、コーグ・ド・ファリス准将本人も知らないことだ。
いまの攻撃は、シロハクを使っている存在が自ら関与することにしたのだということを意味している。
つまり、ルールは変更になったのだ。
もちろん俺がそのルールに付き合う必要はない。
まだ確証を持てたわけではないが、ここは一つこの状況を利用させてもらうことにする。
いったん帝星系を離れると、エルミシウム銀河の外周部にある星系へと向かう。
ガス状星系で、無数の岩石状の小惑星が存在している。
これから衝突を繰り返しながら、惑星が生まれる。
まだ生まれたとも言えないような星系だった。
そこに向かった理由はただ一つ。
気を探ると、見知った気を見つけた。
俺が率いている小隊である。
星系中程の小惑星に近づくと俺が所持している端末からのピンを捉え、ライジンが俺に向かってライトを照射して位置を知らせてくる。
ライジンに乗り込むとすぐにAIが起動する。
同時に、回線が開かれた。
「驚いたな、本当に来やがった」
一番最初に話しかけてきたのはミルバだった。
「予定より随分と早いな。何があった?」
冷静な声でゲイルが質問してくる。
「帝星が攻撃を受けた。敵の正体は不明。帝星の半分が壊滅し、クレアル海から帰還してきた艦隊がまるごと消滅した」
俺は短く現在の状況を伝える。
「マジかよ。それで、どうすんだ?」
驚きながらも楽しそうに話しかけてきたのはコラッドである。




