第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 08 - 後へ
第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 08 - 後へ
もちろん、今のこの状況が続けばの話だ。
ナジュに関しては、それとはまったく別の結末もありえる。
現時点ではまったく判断がつかないので、やれることはやっておくことにしたのだ。
結果無駄になったとしても、それはそれで構わないと思っている。
その場合、簡単にすべての決着がつくはずだからだ。
いずれにしても、最終的にたどり着くのは俺をこの世界に引きずり込んだやつである。
そこの所は何も変わらない。
そんなことを、今の時点でナジュに話したりはしない。もちろん、ここにいるナジュにそんなことを認識できるわけがないから、俺の言葉をいたって素直に受け取って話しを続けてくる。
「それって、答えは一つしかないじゃん。いくよ、あの金塊は正直惜しいけど、現金に変えられなきゃ意味ないしね」
ナジュはまったく迷う様子もなく答えてくる。
「チロ、すまないが、こいつがここを離れるまで護衛してくれるか?」
まだしばらくは大丈夫なはずだが、一応念の為にだ。もちろん、理由はそれだけではない。理由を話したりはしないが、チロならばわかってくれるはずだ。
「承知しました、ご主人さま」
チロは嫌な顔ひとつせず、頭を下げる。
間違いなくチロなら俺の期待に答えてくれるだろう。
「ということだ。短い間だったが、世話になった。過去と未来がつながるなら、また会うこともあるだろう。だが、とりあえずこれでお別れだ」
俺は簡単に別れの言葉を口にする。
「えっ? ええっ? 聞いてないよ。あんた来ないのかよ? あたしの相棒なんじゃなかったのかよ?」
ナジュは俺の言葉に驚いた様子だった。
この鈍さ、嫌いではない。
「俺は俺のルールでやっているからな。それに、この戦いをじきに終わらせる。ここで別れても大差はないさ」
そもそも俺はこの世界の人間ではないのだ。
成り行き上仕方ないとはいえ、俺とのつながりをあまり深くするのは避けた方がいい。もうひとつの可能性が選択されなければ、の話しであるが。
「そ、そんなことないよ。あと少しって言ったって……なんというか、無責任じゃないのかな?」
ナジュは自称海賊を名乗っている割に、肝心なところで素直になれない性格だった。
いいよどんだ末、肝心な言葉を口にできなかった。
ただ今は、その性格につけこませてもらうことにする。
「大丈夫。君の言うところの責任ならチロが果たしてくれるさ。一人で戦艦二、三隻なら十分に落とせるだけの力がある。護衛には十分だろう」




