第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 05 - メッセージ
第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 05 - メッセージ
もし俺だったなら、最後まで迷うだろうからだ。
検索結果はすぐにでる。
名前でソートをかければ一瞬であった。
あった。
送信先は俺。
送信元は今やソーグ帝国の英雄となったコーグ・ド・ファリス准将である。
俺が置いてきたメッセージを読み取ったのだろう。
メッセージを開いて中を確認すると、そこには俺が書き残したメッセージがそのまま書かれていた。
『言葉を話す、白い獣に気を許すな』というメッセージの他には、何も書かれていない。
もちろん俺からの接触を待つつもりなのだろう。
なぜそうしなければならないのかはいたって簡単で、誰が航行中の戦艦に侵入してメッセージを書き残したのか、確信が得られていないからだ。
このメッセージを出した相手はファーイースト・コーポレートだけではないだろう。
ようするに、手当たり次第にメッセージを投げたのである。
もちろん返信はあるだろう。
その中には白ハクと関係している英雄もいるかもしれない。
強制的に英雄同士の戦いを強いられて、未だに生き延びている英雄ならばこのメッセージの意味することははっきりとわかる。
自分の戦いにとって有利になるよう利用しようとする者や、メッセージの意味することを知ろうとする者、反応としてはそれぞれだろう。
このメッセージの出自がファリス准将ではないということを知るのは、俺とファリス准将だけだ。
いくら返信がこようが、取り違えることはありえない。
俺が残したメッセージから、俺と連絡を取りたければこのやり方しかありえないだろう。
過小評価などしていたわけではないが、ファリス准将は俺が思っていた通り優秀な人材のようだ。
もちろん、俺は連絡を取るつもりでいる。
ただし、メッセージへの返信ではなく、直接である。
間違いなく接触を図ろうとした俺が、英雄ゲームのプレイヤーの一人であることを知っているはずだ。
ファリス准将との直接対決は違反行為である。かと言って、共闘することもまた違反行為となるのだから始末が悪い。
直接会えば闘うか共闘するしかない。
ただし、それは双方が英雄同士であることを認識している場合に限られる。
そのことは、ラートラ共和国で英雄の一人をパイロットとして、俺の部下とすることで確認してある。
この行為に関しては、とくに危ない橋を渡ったというわけではない。
予め確証があったのだ。
俺が英雄の一人に接近しようとしたとき、警告は俺だけになされている。




