第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 02 - ソーグ帝国で
第08話 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編 - 02 - ソーグ帝国で
もちろんこんな計画は無謀というよりは妄想のたぐいだ。
一つ一つ問題点を上げれば何週間話しても語り尽くせないほど指摘ができそうだが、決定的なことは補給なしで戦えるわけがないということ。
片道特攻で主星に突入して、物資は現地調査などというような計画だったが、それこそ絵に描いた餅を食べるような話しだ。
だが、こんな計画に乗ったというか、乗せられた人間が結構存在していた。
それも、ラートラ共和国だけでなく、ソーグ帝国においても存在していた。
問題なのは、誰がそのシナリオを書いたのかということと、何が目的であるのかという話しである。
俺はそれを突き止める必要があったのだが、おおよその検討はついていた。
ただそれは所詮推理によって導き出された結果でしかなく、確証と言えるような証拠は現時点で見つかってはいない。
尻尾は捕まえているのだが、そこから先を見つける必要があるが今の所手がかりが途絶えてしまっていた。
航路を見つけたのはいいが、この歴史的な発見を己の野望を満たすために利用しようと思い込んでいる人物がいるばかりで、現実の敵が見えてこない。
ただ、手段は存在している。
クレアル海回廊開戦から帰還した英雄たちである。
ようやくつきとめることが出来た、エルミシウム銀河とアリメイル銀河を繋ぐ第二の航路は、何百年にもわたって利用してきた従来の航路が存在して初めてその戦略的な価値を有する。
つまり、クレアル回廊での戦いがこれから先拮抗し続けることができなければ、その存在価値を担保できなくなるということを意味している。
正直な話し、この航路にどれほどの戦略的な価値があるのか、甚だ疑問である。
だからこそ、誰がどのように利用しようとしていたのかという情報が重要であった。
俺は、航路の調査を自分の小隊に任せると、一旦ソーグ帝国に引き上げることにした。
今目の前にいるのは、勝手に俺の従順な下僕をやっているチロと、英雄としてのパートナーであるナジュの二人だ。
「それで?」
俺は今、留守にしていた間の話しを聞いている。
「だから、ドカーンとなってズウォーッて感じで、最後はガガガってなったんだよ!」
身振り手振りを交えながらナジュがなにやら説明をしているが、いまいちどころか何を言っているのか皆目検討もつかない。
「チロ、通訳を頼む」
俺は理解することを諦めてチロに投げる。




