第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 57 - 次の段階へ
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 57 - 次の段階へ
AIが俺のパーソナルデータを読込むと、ライジンが起動し全天スクリーンモニターに周囲の様子が投影される。
前回と違い、今回は他の三機との回線はすでにリンクされている。
「武装は完了してるか?」
俺がライデンの武装を確認しながら尋ねると、他の三人から返答がある。
「基本武装は完了しています」
これは猫男のコラッドだ。
「こっちもいいぜ」
続いて鳥男のゲイル。
「問題ないわ。追加武装は必要?」
最後に質問してきたのがフェロモンの塊であるミルバ。俺以外の英雄だ。
「ゲイル、狙撃は得意だったな。超長距離用のスナイパーライフルを装備してくれ」
俺が確認した書類には、超長距離射撃で敵を撃破した記録ホルダーであることが記載されていた。
ちなみに搭載されるスナイパーライフルとはレールガンである。
「わかった」
先程までとは違い、一切無駄口をたたくことなく答えてきた。
次は猫男のコラッドである。
「コラッド。君は反応弾を搭載してくれ」
反応弾とは戦闘機が搭載可能な最終兵器である。
一発で戦艦を沈めることも可能だ。
「了解した。この機体は、四発まで搭載することができるがどうする?」
コラッドが聞いてくる。
反応弾は確かに威力があるが、その分重く大きい。
四発まで搭載する場合、通常兵器との換装が必要となる。
「搭載できるだけ搭載してくれ」
俺は支持を出す。
前回までと違い、今回はフォーメーションを組んだ小隊での出撃になる。
一機だけで戦う必要はない。
それよりも、それぞれの機体がそれぞれの役割を果たすことの方が大切である。
「今から換装を行う。少し時間をくれ」
コラッドが冷静に答えてきた。
反応弾をコラッドの機体に搭載させたのは、こういう冷静な判断ができる男だからである。
「あたしはどうすればいい?」
最後はフェロモン満載の英雄ミルバだが、俺が言うより先に聞いてきた。
「搭載可能なだけ、ガンポッド用の予備弾倉を持っていってくれ」
この指示の意味することは、ミルバに補給要員をやってもらおうというものである。
「あたいに補給をやらせようってのかい?」
不満を隠そうともせずミルバが言ってくる。
「俺の機体には、通常武装の他に近接格闘用の剣を装備する。敵の攻撃を交わしながら張り付いて剣で切る。その戦闘方法でよければ代わってもいいがどうする?」
俺は超のつくようなフォワードを担当するつもりだったので、そのことをミルバに話す。
実際、戦闘機で戦艦を沈めるためには、反応弾を戦艦の急所にぶちこむか、剣で船体を切り開きメインエンジンを直接破壊するかのどちらかしかない。
俺が言ったのは後者のやり方である。
「い、いや。あたいは補給が得意なんだ。補給をやらせてもらうよ」
急に遠慮深くなったミルバが答えてきた。
まぁ、それは予想通りの答えであったから、俺は何も言わない。
俺は剣をライジンのハンガーにセットする。
もう一つのハンガーには予備のガンポッドをセットした。
これで装備可能な武器をフルでセットしたことになる。
俺がライジンに搭乗してから初めての完全武装状態であった。
あとはコラッドの換装待ちである。
今回の出撃ではフォーメーションが重要になる。
ただ、ライジンとタツギはあまりに機体特性が違いすぎて、フォーメーションを組むのに向かない。
一緒にライジンとタツギが一緒に戦闘行動を起こしたら、互いが互いの特徴を潰し合うことになってしまう。
だから、俺が乗るライジンに超フォワードの役割を担当させたのだ。
後方から三機で援護させて、俺が一機で敵の懐に飛び込む。
そうすれば、どちらの長所も活かすことが可能である。
もちろん、そんな計画、実戦に突入すればどうなるかなどわかったものではないが。
基本的に、このやり方でやるしかあるまい。
「反応弾への換装が完了した。いつでも出ることができる」
コラッドが報告してくる。
時間だ。
「先に三機で出て、フォーメーションを組みつつ、指定ポイントに向かってくれ」
俺は他の三機に向かって、リンクを使い先程入手した指定ポイントのデータを送った。
「了解」
ゲイルが即答し、
「わかった」
コラッドが答え、
「そんじゃいくよ」
が同時に行動を起こす。
三人は同時にカタパルト射出から、数秒で戦闘機形態に変形しつつフォーメーション移動へとうつる。
初めて扱う機体で、初めての相手と見事なフォーメーションを組めるのは単に熟練したパイロットというわけではなく、超のつく一流パイロットの証であった。
俺はそれに続いて単独で発進し、その後を追いかけた。
< 宇宙英雄伝説04 英雄達の終焉編へと続く >




