第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 48 - ジョンとの会合
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 48 - ジョンとの会合
新たな指示を出しておく。
正直、この鬼のように忙しい状況下で、この指示はかなり無茶な注文である。日本ならスーパーブラック企業と呼ばれてもしかたない。
俺も相手がナビリでなかったなら、こんな指示は出すことはなかったであろう。
「わかりました。今日中に調査の上対応いたします」
ナビリは即答してきた。
やはりなんなくこなしてしまうのだ、彼女は。
ナビリとのやり取りをしている間に、ジョンがフロアに姿を現した。
やたらとでかく、横も縦も俺の倍はあるのではないかと思える。
フロアの天井に頭が届きそうだ。
「やぁナルセ。ようやく会えたな。とりあえず、俺のオフィスで構わないか?」
ひどくフラットに話しかけてくる。
途中見ていたが、俺に対してだけでなくすべての人間にこんな感じであった。
「そうしよう」
俺は軽く答えてジョンの後に続く。
オフィスと言っても仮設の段階で、あるのはやたらとでかいイスと普通のイス。それに、折り畳み式の仮設の机だけである。
「適当に座ってくれ」
ジョンはそう言うと、やたらとでかいイスを机に寄せたあと先に座った。
俺は手近なイスを持ち上げると、ジョンの正面に当たる位置に持ってきて座る。
「さっき、大統領と話してきた」
俺は先に切り出す。
「ほう?」
巨体を少し前のめりになりながら興味を示す。
「やったのは作戦提示だが、実行は俺一人でやる。俺の指示に対してすぐに対応できるように準備しておいてくれ。もちろん分かっていると思うが、作戦内容に関しては一切漏らすことはできない。もちろん、大統領の勅命で動いていることも俺とあんたの二人だけに止めておいてくれ」
俺は、ここにきた目的をこれでほぼ果たした。
この後、パルテノ社には俺の手足となって動いてもらう必要がある。
そのためには、最も重要な部分での意思疎通をしておく必要があった。
「さすがにここまで大がかりな話になるっていうようなことは考えてなかった。だが、まかせておいてくれ。そういった方面に強い人間なら心当たりがある。すぐに最高の人材を揃えておく」
遅滞なくジョンが答えた。
この男はナビリの例を見るまでもないが、人材を集める天才である。
パルテノ社の株価が一瞬でここまで高騰したのはこの男の働きがとても大きい。
そんな男が最高の人材を揃えると言ったのだ、間違いなく最高の人材が作戦行動のサポートにつくことになることだろう。
「わかった。任せる」
俺が言うことは、そのくらいのことである。




