第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 47 - パルテノ社オフィス
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 47 - パルテノ社オフィス
やるべきことは多いが、ここらあたりの工作は自分の力だけでなんとかする他ない。
情報を手に入れたことはいいとしても、実際の行動はここからだった。
そうそう時間をかけてられないが、だからと言って一足飛びにできるようなことでもないので、慎重にやるべきだろう。
そうこうしているうちに、パルテノ社の事務所へ行く時間になっていた。
もうすでに予定の時間を過ぎているので、車での移動は断念する。
俺が所持したままの光学迷彩はまだ生きている。近くにあるビルの中に入り、人目がなくなったところで使う。
そのまま空中を移動した後、パルテノ社が買い取ったビルの屋上に降りて光学迷彩を切る。
ビルの中は全体が喧騒に包まれていた。
今、パルテノ社を本格的に立ち上げるために、社員総出で働いている状態だった。
その中にいると、俺はまったく目立たないので実にありがたい。
代表者のオフィスがあるフロアまで降りると、その喧騒もさすがに幾分収まった。
とはいえ、落ち着いて仕事をしているような感じの人間は一人もいない。
俺が近づいて行くと、先に向こうの方から美しい女性が話しかけてきた。
ナビリである。
「ナルセ。ジョンはまだ戻っていません。それと、パイロット候補なのですが、すでに全員と契約は完了しており、現在ラポに向かわせています。それと、資産管理のほうなのですが、パルテノ社の株価の上昇が止まらず現時点で朝から比較すると10倍以上になっており、現在提携しているメインバンクでは資産の管理に限界が生じています。この問題には現在ジョンが対応していますが、ご報告する必要があると判断いたしました。もし、なんらかのご指示があるようならお申し付けください」
メインバンクを決めたのは俺だった。
緊急で契約できる銀行である必要があったこともあったが、正直そこまで考えが回らなかった。
改めて報告を受けるまでもなく、いずれそうなることはわかりきっていたのだが、ここまで急速に成長するなどとは想定外であったからだ。
異常なほど有能な人材が集まってきたことが理由なので、俺の想定から外れていてもいかんともしがたいことである。
「その件に関しては、すべて任せる。それより、上院議長の子飼いの議員すべてに献金をしておいてくれ。ただし、額に関しては目立たない程度に制限するが、少なすぎないように」




